蛇果─hebiichigo─

是我有病。

| CALENDAR  ENTRY  COMMENT  CATEGORY
ARCHIVE  LINK  PROFILE  OTHERS  RECOMMEND
留着偏分头的美男子。
映画(『全城通缉』)とドラマ(『北平无战事』)の役のビジュアルのせいかもしれませんがもう長らく劉燁さんは髪を七三に分けっぱなしです。スーツでびしっとキメたりすると、時と場合によっては七五三のお宮参りにも見えてしまい、千歳飴を持たせたい気持ちにかられたりなんかして、たいそうほほえましいことです。
そんなかわいいィヨコワケハンサムが『精品購物指南(LIFESTYLE)』2014年第90期の表紙を飾りましたよ。電子版こちら→
サイドを刈り上げた七三分けの髪形とお洋服にめがねをかければ休日のマスオさんといった趣の表1をはじめとして、P1・P12・P13・P14・P15とP149にお写真とインタヴューが載ってます。インタヴューの詳細はこちらでどうぞ→



fc10db79-e356-4c8d-a807-0d270e50074e_large.jpg


うっすらグリーンがかった水色の背景にイエローの椅子。
すごくすきな配色です。
そしてやっぱり横顔だ横顔がぜつみょうに綺麗だ。頬骨も耳の形もくちびるのラインもみなうつくしい。すがすがしい絶壁あたまも、評価は分かれましょうが(笑)個人的にはだいすきです。胸ポケットに挿すのは可憐な容姿に毒を秘める鈴蘭。花言葉は純愛。


昨今長らく七三分けとはいっても、劉燁さんの七三分けはいまに始まったことでは無い。過去にも雑誌表紙や広告なんかでびしっと分けたお写真を撮影しています。以下、そんなかわいいィヨコワケこいぬこれくしょん。
続きを読む >>
| 12:09 | Liu Ye(劉/リウ・イエ) | comments(8) | - |
はじまりのはじまり、の、はじまり。
11月21日金曜日。
『西遊記 はじまりのはじまり』劇場公開初日です。
おめでとうございます!



9月に第7回したまちコメディ映画祭で本作のジャパンプレミアを観て、あまりのおもしろさに日本公開までがまんができず、いけないこととは承知なれど某つべなどでこそこそヘビロテして2ヵ月。
晴れて銀幕で孫悟空先生@黄渤さんにお逢いできる、この日がついにやってまいりました。


西遊6.jpg


サルなのでバナナが大好物な孫先生。


さてところで初日はやっぱり地元で観たいよねと思って上映館調べてみて気づいたんですが。
地元ィ横浜の上映館は5館、そのうち自分が行きやすいとこが3館なんですが、3館のうちの2館が、
「日本語吹替版の上映のみ」
ということになっているじゃございませんか。
なるべく時間と交通費をかけずに行けるエリアで日本語字幕版を観ようと思ったら、1館(109シネマズMM横浜)しか選択肢が無いってなんだそれ。
なんだそれついでに劇場情報をざっとみわたしたところ、全国の上映館のうち日本語吹替版でしか上映しないとこがほかにもいくつかありました。そのなかでもイオンシネマさんに限っては、日本全国どこのエリアでも、すべての上映がもれなく日本語吹替版のみ。
『ポリス・ストーリー レジェンド』を観たとき、港北ニュータウンのイオンシネマさんは日本語字幕版も上映してくれていたのです。『西遊記』についてはこんなにもかたくなに「日本語吹替版しか上映いたしません」という姿勢を貫いておられるのはいったいなぜなんでしょうか。まあいろいろな事情があるんだろうなあとはおもいますが。

とはおもいますが昨今、外国語映画は日本語字幕でしか観たくないというひとがすでに少数派、ってことなんでしょうか。
昨日、
「字幕読んでるとお話がわからなくなるから吹替版で観ます」
という御意見を某所で拝読してびっくりしたんですが、そういうものなんでしょうか。
小学生時分から日本語字幕で外国語映画を観てきてそういう事態になったことは一度たりともありませんでしたが、そしてべつにそんなの特殊な能力でも無くってあたりまえに誰でもできることなんだと思って生きてきましたが、あたりまえじゃなかったんでしょうか。
もし、「字幕読んでるとお話がわからなくなるから吹替版で観ます」が多勢を占める意見なのだとすると、この先この国での外国映画上映において日本語字幕というものは、駆逐の一途を辿るのでしょうか。ううむ。

などとたかだか劇場情報だけで日本映画興行界の未来までにも思い馳せてしまう、そんな『西遊記 はじまりのはじまり』。でも勿論日本語吹替版だって観ますよ黄渤さんの吹き替え担当なさっているのが山寺宏一さんだもん。したコメ上映後に「黄渤さんの吹き替え、山寺さんがやってくれたらいいんだけどね」とひっそり言霊さまにお願いしたら叶えていただいたのでほんとうに嬉しいです。そこらへんのしょうもない芸人とかが演るんじゃなくて心の底から良かったですよ。以下山寺さんの本作へのコメント。

ホアン・ボーの変幻自在な演技に脱帽!
変わり過ぎて本人かどうかも分からない場面も(笑)
声優としても活躍してるとか。
これからも吹替えしたい俳優です。


これからもどうぞよろしくお願いしたいです(笑)。
山寺さんはじめ各界の著名人のコメントや鳥山明先生描き下ろしのかっこいい孫悟空版ポスターは公式サイトでごらんくださいませ!




| 11:09 | 電影瑣聞。 | comments(4) | - |
2014東京中国映画週間。──『無人区』
10月22日(水)
●無人区/No Man's Land



無人区3.jpg


潘肖は豊富な法律知識と巧みな法廷テクニックを持つ、強欲な敏腕弁護士。彼は北西部での裁判へ赴き、国の保護鳥類であるファルコンを違法に狩り、また警察官殺害の罪に問われていた違法狩猟集団のボス・老大を無罪放免にする。老大は10日後に代金を支払うことを約束し、潘肖は担保として赤のセダンを受け取る。広漠とした北西部の原野から都会へ、車での長く危険な旅が始まる。道中はトラブル続きで、トラクターに乗った男たちとケンカになり負傷し車を破損したり、ヒッチハイクの青年をうっかり轢き飛ばしてしまうなど散々な目に合う。潘肖はやっとのことで違法営業のガソリンスタンドに辿り着き、ここで働かされている一人の女と出会う。違法狩猟団の老大も後を追ってきて、彼の旅は更なる危険に脅かされるが……。


终极版预告片→

同日、この映画の前に『ブラザーフッド/绣春刀』を観たわけなんですが、正直こっちがあまりにも自分好みの映画過ぎたためにそれなりにおもしろかった『ブラザーフッド』の印象がすっとんでしまいまして。
2010年に公開される筈が政府の審査に通らずお蔵入り、3年経った2013年12月に漸く公開されたという因果な作品です。
導演は『疯狂的石头(クレイジー・ストーン〜翡翠狂騒曲〜)』『黄金大劫案』の寧浩。
主演が『人再囧途之泰囧(ロスト・イン・タイ)』導演兼主演の徐峥。黄渤。管虎導演の『杀生』で黄渤と共演した余男。
中国映画についてはほぼど素人ですが、乏しい知識と経験のなかでも「すき」といえるひとたち揃い踏みってかんじで、観るのをとても愉しみにしていました。そして、もうひとりの主演が多布杰。陸川導演の『ココシリ/可可西里』で密猟者を取り締まるパトロール隊の隊長を演じて台湾金馬奨最優秀主演男優賞にノミネートされた役者さんです。こちらでは打って変わってハヤブサ密猟のためなら人殺しなど屁ともおもわぬ密猟集団のボス老大を、静謐に酷薄に演じています。

600キロ続く「無人区」を舞台に展開するロードムービーでありウエスタンもどきでもあるような物語は、そして物語のなかの人物たちは、この老大という怪物に隈無く支配されています。
はなもちならない拝金エリート弁護士の潘肖が、彼の常識も価値観もまるで通用しない老大とかかわり、逆運の釣瓶打ちの挙げ句にはからずも老大に追われる身となる。密猟したハヤブサが積まれているとも知らずに、弁護料の担保として老大のセダンをふんだくってしまったからです。果たして潘肖は老大から逃げおおせるのか、あるいは反撃に打って出るのか。そのあたりが本作のサスペンスの眼目です。

老大がハヤブサに執着するのは金のためで、そこにはハヤブサという生きものへの慈悲とか愛とか、そうしたものは微塵も無いのだとおもいます。
無い筈だのに、ハヤブサを生かし無事にとりもどすため「だけ」に力を尽くし、自分とハヤブサのあいだに立ち塞がるものどもを容赦無く殺戮していく老大のありさまに、その行為がどれほど悍しいものだとしても、澄みきった一途の、激しい恋情のようなものを感じてしまいました。
物語が進むうちに、その恋情が向かう対象はもはや「ハヤブサ」という鳥ですらなくなる。老大はみずからを疎外するものを悉く拉ぎ倒してゆく一個の巨大な「欲」の権化と成り果てます。「ほしい」というただそれだけの執着が、甘ったるい余情など嗤いとばす勢いで滾り耀いている。
我欲が凝り純化した老大の姿は単なる「悪役」には到底おさまらず、なにかこう、大鉈を振るって断罪を下す神のようにも見えたり。

黄渤さんが演じているのはその老大の手下、「杀手(殺し屋)」。
管虎導演の『厨子戏子痞子』の痞子のビジュアルはこれのパロディなんだろうか、カウボーイっぽい佇まいとか銃のかんじとか、よく似ています。出番はそんなに多くなくって、あら出たわとおもったらあっというまに潘肖の運転するセダンにはねとばされて「死体」になってしまいます。そのあと後半までずーっと「死体」をやっていますが、一転して「死体」じゃなくなった瞬間にみせる凄味の利いた芝居はやっぱりすごく良かった。

余男さんは潘肖が無人区で出会う「舞女(ダンサー)」。
『杀生』において、穢され貶められながらも無垢の未来を宿して生き抜く唖者の女を演じていて、それがなんとも素敵で私はこの女優さんに惚れてしまいました(あとで知りましたが彼女の誕生日も自分と同じ9月5日だったという)。本作でも同じように、監督の、或いは観客の希望とか良心みたいなものを託される役回り。騙されて嫁に来て、無人区のなかに閉じ込められて売春を強いられ、奴隷のように扱われる彼女は、捕らえられ自由を奪われて売られてゆくハヤブサにどこか似ているかも知れません。
ともに旅を続けるうちに潘肖は、自分が見失ってしまったなにがしかあかるく美しいものを彼女のなかに見出し、それをもう一度青い空に放つため、つまりは自分自身を救済するために、老大と対峙したのだとおもいます。

相通ずるところがまるで無いような潘肖と老大ですが、じつはコインの裏表のようにどこか離れ難いもの。
潘肖が善と秩序の世界へ戻ろうと足掻くほどにその力が反転し、澄みきった純な悪へと老大を向かわせる。
潘肖が老大を道連れに死出の旅路へ踏みだす終幕の展開は正直予想を裏切るものでしたが、同時に、やはり諸共に滅んでいくしか無かったふたりだったのだな、とも。宿命的に「ふたり」が好きなこの身としては、ちょっぴりあまずっぱい気持ちになったりもいたしました。


劉燁さん絡みのことをいいますと、無人区で潘肖に絡むトラックの運ちゃんが『小さな中国のお針子』の村長さんだったり、最後の場面にカメオで出てるバレエ教室の先生が、『天上の恋人』で王家寛が片想いしてた朱霊だったりしました。
朱霊こと陶虹さんは徐峥さんの奥様。『人再囧途之泰囧』にも徐峥さんの嫁役で出ています。『黄金大劫案』では満州映画界のトップ女優、そのじつ抗日グループ「救国会」のメンバーである芳蝶を演じていて、ものすげえいろっぽくてかっこよかったです。最近では9月からスタートした電視劇『紅色─The Red─』で張魯一さん、周一围さん、そしてがおだおさんこと高島真一さんと共演なさってます。気球に乗って飛んでっちゃった朱霊のその後がずっと気に懸かっていましたが、佳い女優さんになったんだなあ良かったなあとかあさってのほう向いてなんだか嬉しかったり(笑)。


さて寧浩導演、黄渤・徐峥ふたたびの主演作『心花路放』が9月30日に公開されました。11月頭時点で早くも11億元超えのヒット、ハリウッドリメイクの可能性も浮上、なんだそうです。『人再囧途之泰囧』みたいな、弥次喜多旅的ロードムービーのようなのですが、今回は王宝強のかわりに(笑)こいぬとか出しやがってますよ『心花路放』终极版预告片!!!→

ちょっとうすよごれた、寄る辺無いみなしご感満載の、可憐なひとみのしろこいぬ……。
そんなしろこいぬと黄渤さんが絡むという、じつに卑怯きわまりない映画です。
預告片だけでなみだぐんでしまうわし……。

今週金曜日に劇場公開される『西遊記 はじまりのはじまり』で孫悟空@黄渤さんの認知度がまんがいちにも(笑)ぐぐっと高まれば、『無人区』も『心花路放』も、あといまわしがいちばん観たい『亲爱的』も、日本で劇場公開される可能性がたかまるかも。たいがいそんなこと期待しても皮算用で終わるのが通例ですが。でも考えてみれば黄渤さん出演作って劉燁さん出演作より(とほほ)コンスタントに日本公開されているような気がしないでも無いので、存外、皮算用じゃ終わらないかも知れませんぞ!


| 15:53 | 電影感想文。 | comments(4) | - |
2014東京中国映画週間。──『ブラザーフッド/绣春刀』
10月22日(水)
●绣春刀/Brotherhood of Blades


135717-1.92201471_1000X1000.jpg

明朝末期の皇帝・崇禎が即位した後、権力を欲しいままにしていた宦官・魏忠賢が失脚し、それに伴い閹党一派は追われることとなる。そんな折、錦衣衛(明の禁衛軍の一つ)にその残党を捕える命令が下される。錦衣衛の盧剣星、沈煉、靳一川の3人は兄弟の契りを結び深い絆で結ばれた盟友。一番年上の盧剣星は出世を望み、二番目の沈煉は教坊司(宮廷音楽芸術を担う部署)の遊女・周妙彤を密かに慕っていた。そして一番年下の靳一川には誰にも言えない秘密があった。ある日、後宮の宦官・趙靖忠は彼ら3人に皇帝の命として都から逃亡しようとしている魏忠賢の暗殺を命じる。3人は魏忠賢の暗殺を成し遂げ、彼の首を持ち帰ることに成功。しかしこれは巨大な陰謀の始まりに過ぎなかった。3人の身に更なる危険が迫っていた……。


终极版预告片→


やっぱり私は劉詩詩がきらいなのだわ。
ということが本作を観てよぉくわかりました。

『宮廷女官若曦』というドラマは、八・九・十三・十四の皇子様ズは素敵だったけど、劉詩詩演ずるヒロイン若曦の思考と行動が苦痛でしか無く。バレエダンサー出身というわりにはどうにも立ち居が鈍臭いし、喜怒哀楽の表現も判で押したみたいだし、なにより綺麗でもかわいくも無えのに(あくまで主観ですから)綺麗でかわいいらしいっぽい役を演じている、その乖離っぷりと説得力の無さがつらかった。そんな劉詩詩が本作で演じているのは、沈煉(張震)が心に秘めた想い人、教坊司一の売れっ妓遊女・周妙彤。己が苦界に身を沈めるきっかけをつくった沈煉の愛に、ひっそりと憎でこたえる美貌で薄倖のヒロインという、とても複雑な役なのです。だが、そうした複雑な女の業を背負って立つだけの芝居の力が、中の人には如何ともし難く不足しているとおもわれました。辛気臭い顔で辛気臭い芝居すりゃ「不憫で可憐」が成り立つとおもわれてもこまります。吹き替えだった『若曦』とちがって地声で演じているんだけども、またこれが悪声と呼んでいっこうに差し支えない低音ガラガラ声だったのには腰が抜けました。声質としてはべつに嫌いじゃないけれど、少なくとも本作の役柄にはまったく合っておりませなんだ。あーもー劉詩詩の悪口ばっかになってしまってほんとうに溜飲が下がもとい申し訳ございません。『若曦』はだめだめだったけど、こっちはもしかしたら……と期待したぶん落胆が大きかったの。てな次第で劉詩詩はかえすがえすも残念のきわみですが、劉詩詩がでてないパートはおもしろかったですよ(酷


そうですよ。

武術の達人の美しき宦官・趙靖忠(聂远)とか。



靳一川(李東学)の秘密を握って彼を強請る(どっからどうみても一川と身体の関係があったとしかおもえぬ)かつての兄弟子・丁修(周一围)とか。



主役三兄弟にネットリ絡みまくる因果なステキキャラだっていらっしゃるんですもの、男ばかりのブロマンスに徹すればもっともっと素敵な映画になったとおもうんです。せっかくタイトルでbrotherhoodて謳ってるんですしね。

さて、本作は明朝に実在した「錦衣衛」をモチーフにしています。
錦衣衛とはこういうもの。

錦衣衛(きんいえい)は、明朝の秘密警察・軍事組織で、禁衛軍の1つ。
明朝の洪武15年(1382年)に、儀鸞司が再編・改称されたもので、侍衛上直軍の1つとして親軍指揮使司に属し、勲戚の都督の下に南北両鎮撫司・十四所を統轄して儀仗と宮禁守護が職務とされたが、実際には特務機関としてその側面が強くなり、北鎮撫司の処理する招獄が別称となった。東廠設置後は、その下部組織として兵刑両権を行使して恐怖政治を実現し、人々から恐れられた。
(fromウィキペディア)


国と時代はちがいますが、なんかどっかこう、新選組が彷彿しませんか。

映画では三兄弟のひとり靳一川が肺病を患っている設定で、治療に通う医者の娘とほんのり恋仲になる、というくだりが出てきます。なんだこれ「沖田総司の恋」のぱくりみたいなお話だなあと思って家に帰って調べてみたら、ほんとに司馬遼太郎の『新選組血風録』収録の一篇「沖田総司の恋」をもとにしていますと書いてあったのでひっくりかえりました(from百度百科)。
つまりなんだ、本作の主人公である三兄弟は、

盧剣星=近藤勇

154933.27080673_1000X1000.jpg


沈煉=土方歳三

135717.74204181_1000X1000.jpg


靳一川=沖田総司

154934.40096232_1000X1000.jpg


ってことみたいなんです。

そうおもえば、出世を果たすものののちに捕らえられ斬首されるという長兄・盧剣星(王千源)の顛末は、近藤勇の軌跡そのままを描くようだし。
血を吐きながら闘って死ぬ末っ子・靳一川は沖田総司だし。
そして、志なかばで斃れたふたりの義兄弟の仇を討つために独り戦いつづける沈煉に、幕末の京から鳥羽伏見、戊辰戦争を経て箱館・五稜郭まで、剣と共に生きて剣と共に死んだ新選組副長・土方歳三の姿が重なる。

わたくし17歳のころから土方歳三に惚れつづけて幾歳月の者なのですが、中華方面の明星さんならば無理は承知でこのひとに土方を演じさせたいものだのう、と脳内で白マフラーに洋式軍装とかこっそり着せてみて「うわなんだこれ死ぬほどにあうよ!!」なぞと密かにずきずきしていた張震が、土方そのひとでもあるような役を演じている。
『绣春刀/Brotherhood of Blades』とは、とても個人的な理由で、自分にとってはそういう映画でもあったのでした。

観ている最中は迂闊なことにそこまで考えが及びませんでしたが、つらつら惟るうちに、ああそういやあんなとこもそうだったよこんなとこもそうだったわ、といまになって涙に暮れておる始末。
日本で劇場公開叶った暁には、きっちり劇場で涙に暮れる予定です。
だいすきな司馬遼太郎の名作が、単行本刊行から50年経った時代に中国で、こういうかたちでひとつの転生を果たした。

そんなふうに観てみるのもありかなと、おもってます。

| 11:36 | 電影感想文。 | comments(4) | - |
2014東京中国映画週間。──『失恋の達人〜上手に愛を手放す方法/分手大師』
お馬に乗ったりお酒を呑んだり仕事に追いまくられたりで毎度わたわたしています。感想書かなきゃとおもいつつうっかり3週間も経ってしまいましたが。
「2014東京中国映画週間」、今年は3本観てきました。まずは初日に鑑賞したこちらの作品から。


10月19日(日)
●分手大師/The Breakup Guru


100806.60831041_1000X1000.jpg

嵐吹き荒れる無情の大都会を愛に彷徨う人々。輝く高層ビル群も一つ一つの窓を覗けば、今夜も男と女が愛のために泣き、叫び、争い、首を吊っている! 一人ぼっちなんて大した問題じゃない、恋愛こそが全ての煩悩の元凶なのだ。そして最大の難問、それは「別れること」。この世の馬鹿な男と怒れる女を救うため、“別れさせ屋”の梅遠貴は奮闘する。彼は76回の恋愛経験を持ち77回の別れの経験があり、男と女の全てを熟知している。あらゆるカップルの別れ、別居、離婚そして財産分与までサポートしてきた。彼が発明した「無痛縁切り法」は、無痛、麻酔不要、後遺症も無く再発もしない、別れに効く特効薬。これまで2000組の夫婦や恋人を別れさせ、永遠の愛が壊れる瞬間を、すれ違う愛の悲しみを目の当たりにしてきた。彼の完璧な「縁切り法」は人々にとって希望の光。依頼者は後を絶たず、その中には各界の大物も。ある日、彼がこの稼業から手を引こうと決意していた矢先、おかしな依頼が舞い込む。クライアントの男は葉小春という名の女と別れようとしていたが……。

19日は六本木で『ファイアー・レスキュー/救火英雄』を観ましょう。
などと言っておきながら、申し訳ございません、『失恋の達人〜上手に愛を手放す方法/分手大師』を取ってしまったわしでした。会場である品川プリンスシネマでmeiryさん、多謝。さん、チャオシュエさんにお逢いし、そして『藍宇』のファンブックを下さったNさんとも8ヵ月ぶりの再会。そのせつはほんとうにありがとうございました!

今年、本映画祭の作品が上映されるのは、「プレミアム館」というハコです。

ゆったりサイズ、プレミアムシートが特長の4スクリーン。前後のシート間隔が140cmあるため、足を伸ばしてゆっくりとご鑑賞いただけます。

という謳い文句のとおり非常に快適かつラグジュアリーなスペース。シネマート六本木さんがこんなかんじだったらどんだけ嬉しいのだがのう、とおもいつつふんぞり返っておりますと、兪白眉監督と女優の代楽楽さん(作中では妊婦さん役でカメオ出演。実際に妊娠されていたそうです)が舞台挨拶でご登壇されました。
るーちゃんこと陸川監督のおとうさん・陸天明氏は、本作鑑賞後、そのあまりのくだらなさお下劣さに「愕然」とか「唾棄」とか「悪心」といった言葉を使って微博で酷評なさったといいます。しかし観ればくだらなくもお下劣でもなかった。かわいくておもしろかったです。監督・主演の鄧超さんがひたすら素敵なのでした。

これ、でも、主演俳優が自分の嫌いな野郎だったらば、ひょっとしてるーちゃんぱぱみたいな感想を抱いてしまったかもわからない。

ほんの数作しか拝見していませんが、鄧超さんは才能がキラキラ発露しているようなかただなあ、と思います。演技力身体能力ビジュアルなにもかもこれでもかとチャーミング。私にとっては愉しいばかりの116分でした。
上にあらすじ引用してますがたいがい他愛も無い、でもおもしろうてやがて悲しき、な匂いのあるお話。奥様の孫儷ちゃんはじめカメオも豪華(呉京さんとか!)。みどころはなんつっても別れさせ屋・梅遠貴が別れさせる過程で繰り出す八面六臂のコスプレです。いろんなコスプレなさっていますが最強は女装です。美人なんです。くそかわいいんです。綺麗な殿方の女装大好物の向き(わしなど)にはたまらぬものがございました。しかもただ綺麗にお化粧してしな作っておすまししてんじゃない。綺麗な上に体張って笑いを取りに行く鄧超さん。役者でもミュージシャンでもそういうひとが大好きなんです。そんな因果者が食いつかずにおられようかいやおられない魅惑の動画がこれじゃ。


邓超 化身“向日葵”女神

ひまわりちゃん.jpg


か わ い い の う。

劇中で梅遠貴がモデルと偽ってランウェイを歩くときのひまわり娘ちゃん。
たぶん、劇中ではカットされてるショットも含めてスタッフさんが編集して載っけた動画だそうです。meiryさんに教えていただいてから500回ぐらい再生しましたよ。自分が考える「かわいい」の凝縮がここにある、といっても過言じゃ無い。
鄧超さんは中戯出身、舞台劇もなさっていたかただから、客前で板に乗ったときの佇まいが腹据わっててかっこいいんです。こういうのをみちゃうと「ライヴ」でこのひとを観てみたい、という煩悩がつのります。
ちゃんとした(笑)终极版预告片はこちら→
この先、本作が日本で公開されるかどうかはわからないけど、公開されることを願っています。公開されなくともDVDはお取り寄せ決定です。


そんな鄧超さん主演の映画『四大名補』『四大名補2』が、11月8日(土)からシネマート六本木さんで『ドラゴン・フォー』という、びみょうに涙目な邦題で公開されます。
胡軍さんが仮面の男を演じる『ファイヤー・ストーム/風暴』も、同じく「2014秋の香港・中国エンターテイメント映画まつり」の一環で同日封切り詳細はこちら!→

さらに胡軍さんが貫禄ありすぎの新人香港消防士を演じる『ファイアー・レスキュー/救火英雄』も11月9日(日)まで絶賛上映中!
同じハコで同じ日に胡軍さん出演作を2作品も鑑賞できてしまうというゆめのような贅沢仕様。タイムスケジュール的に『風暴』→『四大名補』→『救火英雄』の三本立てを目論んでおります。ただいま雑誌校正仕事絶賛校了期だけどとりあえずうっちゃって六本木に奔るにきまっている!!
| 12:50 | 電影感想文。 | comments(2) | - |
| 1/1 |