馬に乗った話。
2014.10.28 Tuesday
動物占いではペガサスなので自分自身がある意味馬でもありますし動物としてだってむろん好きです。らぶーなミュージシャンだの役者だのも午年生まれが多かったりもするのですが、じつはこれまで、リアル馬ちゃんと触れ合った経験がございません。
今年2014年は甲午の年ですし、ここはひとつ、リアルに馬ちゃんと触れ合ってみたいものだのう。
そんなちっちゃい野望を抱いて日を送っておりましたところ、八月八日女王蜂ライヴ終わりに小淵沢にお住まいのお友達と一献酌み交わす機会にめぐまれ。
んじゃ秋になったら小淵沢に行って馬に乗りませう、という話になり。
25日26日と、行ってまいりました。
小淵沢観光協会さんによれば、小淵沢は「日本有数の乗馬の町」ということです。
町内には本格的な乗馬レッスンのできる施設がいくつかあります。お友達のおすすめを受けて伺ったのは「ララミー牧場」さん。
30分の体験乗馬(3750円)というコースを予約しました。ほんとは体験乗馬を終えたあと、45分の乗馬レッスン(5400円)てのも受けたかったのですが、お電話した時点ですでに予約がいっぱいで断念。
ヘルメットを着けて馬場に行きます。インストラクターさんに指導していただいて、台に乗って鐙に左足をかけ、両手で鞍をつかみ、そろそろと跨ります。
跨った瞬間、両足に馬の体温がつたわってきました。
そうか。
「馬に跨る」ってつまり、生きものの熱さをじかに感じることなのか。
なんて、あたりまえのことに感動するし、緊張します。
ドラマや映画なんかでさんざん見ちゃあいるけれど、やはり己の身を以てあじわわないとこの生なかんじはなかなかわからないものです。
さていざ跨ってみますといきなり視点が高くなりますが、鞍上はあんがい安定感があるので怖さは感じません。でも高所恐怖の気のある方はやばいかも。
鐙に爪先をのせ、踵を下げ、そして膝から爪先を外向きにします。膝から下の力はすべて抜く。馬腹を足で締めつけてはいけません。騎乗しているあいだはずっとこの足のかたちを保つのですがこれがなかなかしんどい。左手で鞍の前のグリップを握り(鞍にグリップがあるのはウエスタンスタイルだそう)、手綱は右手の小指と薬指のあいだに挟んで握りこみ、親指でぎうっと押さえます。これまた油断してると手綱がすべって弛みが生じるので、できるかぎりぎうっとしていなければなりません。でも肩から腕はゆるめる。ちょっと太極剣の用法ぽいか。
最初は常歩(なみあし)でとことこ。途中で手綱を捌いて左右に曲がる練習、手綱を絞って止まる練習をします。
次に馬腹を蹴って(遠慮無しに強く蹴る)速歩(はやあし)にします。
速歩でちょっと走っていたら、じゃっかん車酔いっぽいかんじになりました。一瞬だけでしたけれど。
そのあと、軽速歩(けいはやあし)というのをやりました。
軽速歩とはウィキペディアによれば、
「速歩のとき騎手が馬の動きに合わせ鐙に立つ、鞍に座る、を繰り返すことをいう。速歩の反撞(=馬の背骨の上下動)による人馬への負担を低減するための技術。」
ということは帰ってきてから調べて知ったことで、そういう説明はいっさい無いまま、鐙に立つ・鞍に座るをかなりのピッチの二拍子でくりかえします。
鐙に立つのは怖いということも無くふつうにできました。でも走る馬の上で立つ・座るのくりかえしをしていますと太腿にすげえ負荷がかかって、あげく絶賛筋肉痛でございます。あと座るときに座骨が鞍に直撃するので座骨らへんも痛いです。
もうすこし練習すればだんだんとコツもつかめそう。
私を乗せてくれたのは綺麗な黒い馬でした。
レッスン後に訊いたら「ジョイス」という名前だそうです。いま調べたがジョイスちゃん(女の子)は1998年4月7日生まれの16歳、もとは「マキノブリッジ」という名の競走馬。母方のおじいちゃんはあの“天馬”トウショウボーイだそうです。
で。
明敏なる大家にはたいがいお見通しでしょうけれど。
そもそも「馬に乗りたいな」と思ったのはやはりこの方の存在が大きいです。
『レッドクリフ』の角色海報、趙雲先生のそれには「驍」の一文字があったっけ。
「驍」とは「背の高い馬。ひときわすぐれた馬」「勇ましくて強い」の意。趙雲というキャラクターをあらわしつつ、同時に趙雲を演じるそのひとのありようも、この一字にこめられているような気がします。
日本の時代劇とか中国の古装劇、あるいは西欧のファンタジー劇などをみていると、役者さんわりかし易々と馬に乗って颯爽と駆けているように感じられます。演技のプロだから、なんであれそれらしくかたちにして「見せる」技術に長けているということもありましょう。でもそうなるまでにはあのひとだってこのひとだって、筋肉痛と座骨痛にひそかに涙した夜だって、あるやも知れません。
30分ぽっちですけれど、私というものを馬に預けてみて。
人間も馬も等しく生きものであり、生きるという上で一歩もひかず対等なその二者によるコミュニケーションが乗馬ってことなのか、みたいなふうに思いました。
いつかまたきっと、馬に逢いに行きたいです。
馬ちゃん繋がりで。
これは競馬ですけれど。
ご存じの方も多いと思いますけれど。
速さは、自由か孤独か。(サイレンススズカ)
群れに答えなどない。(ナリタブライアン)
T.Rexのかの名曲が裏打ちする、数多の名コピーに涙したJRAのCMです。
今年2014年は甲午の年ですし、ここはひとつ、リアルに馬ちゃんと触れ合ってみたいものだのう。
そんなちっちゃい野望を抱いて日を送っておりましたところ、八月八日女王蜂ライヴ終わりに小淵沢にお住まいのお友達と一献酌み交わす機会にめぐまれ。
んじゃ秋になったら小淵沢に行って馬に乗りませう、という話になり。
25日26日と、行ってまいりました。
小淵沢観光協会さんによれば、小淵沢は「日本有数の乗馬の町」ということです。
町内には本格的な乗馬レッスンのできる施設がいくつかあります。お友達のおすすめを受けて伺ったのは「ララミー牧場」さん。
30分の体験乗馬(3750円)というコースを予約しました。ほんとは体験乗馬を終えたあと、45分の乗馬レッスン(5400円)てのも受けたかったのですが、お電話した時点ですでに予約がいっぱいで断念。
ヘルメットを着けて馬場に行きます。インストラクターさんに指導していただいて、台に乗って鐙に左足をかけ、両手で鞍をつかみ、そろそろと跨ります。
跨った瞬間、両足に馬の体温がつたわってきました。
そうか。
「馬に跨る」ってつまり、生きものの熱さをじかに感じることなのか。
なんて、あたりまえのことに感動するし、緊張します。
ドラマや映画なんかでさんざん見ちゃあいるけれど、やはり己の身を以てあじわわないとこの生なかんじはなかなかわからないものです。
さていざ跨ってみますといきなり視点が高くなりますが、鞍上はあんがい安定感があるので怖さは感じません。でも高所恐怖の気のある方はやばいかも。
鐙に爪先をのせ、踵を下げ、そして膝から爪先を外向きにします。膝から下の力はすべて抜く。馬腹を足で締めつけてはいけません。騎乗しているあいだはずっとこの足のかたちを保つのですがこれがなかなかしんどい。左手で鞍の前のグリップを握り(鞍にグリップがあるのはウエスタンスタイルだそう)、手綱は右手の小指と薬指のあいだに挟んで握りこみ、親指でぎうっと押さえます。これまた油断してると手綱がすべって弛みが生じるので、できるかぎりぎうっとしていなければなりません。でも肩から腕はゆるめる。ちょっと太極剣の用法ぽいか。
最初は常歩(なみあし)でとことこ。途中で手綱を捌いて左右に曲がる練習、手綱を絞って止まる練習をします。
次に馬腹を蹴って(遠慮無しに強く蹴る)速歩(はやあし)にします。
速歩でちょっと走っていたら、じゃっかん車酔いっぽいかんじになりました。一瞬だけでしたけれど。
そのあと、軽速歩(けいはやあし)というのをやりました。
軽速歩とはウィキペディアによれば、
「速歩のとき騎手が馬の動きに合わせ鐙に立つ、鞍に座る、を繰り返すことをいう。速歩の反撞(=馬の背骨の上下動)による人馬への負担を低減するための技術。」
ということは帰ってきてから調べて知ったことで、そういう説明はいっさい無いまま、鐙に立つ・鞍に座るをかなりのピッチの二拍子でくりかえします。
鐙に立つのは怖いということも無くふつうにできました。でも走る馬の上で立つ・座るのくりかえしをしていますと太腿にすげえ負荷がかかって、あげく絶賛筋肉痛でございます。あと座るときに座骨が鞍に直撃するので座骨らへんも痛いです。
もうすこし練習すればだんだんとコツもつかめそう。
私を乗せてくれたのは綺麗な黒い馬でした。
レッスン後に訊いたら「ジョイス」という名前だそうです。いま調べたがジョイスちゃん(女の子)は1998年4月7日生まれの16歳、もとは「マキノブリッジ」という名の競走馬。母方のおじいちゃんはあの“天馬”トウショウボーイだそうです。
で。
明敏なる大家にはたいがいお見通しでしょうけれど。
そもそも「馬に乗りたいな」と思ったのはやはりこの方の存在が大きいです。
『レッドクリフ』の角色海報、趙雲先生のそれには「驍」の一文字があったっけ。
「驍」とは「背の高い馬。ひときわすぐれた馬」「勇ましくて強い」の意。趙雲というキャラクターをあらわしつつ、同時に趙雲を演じるそのひとのありようも、この一字にこめられているような気がします。
日本の時代劇とか中国の古装劇、あるいは西欧のファンタジー劇などをみていると、役者さんわりかし易々と馬に乗って颯爽と駆けているように感じられます。演技のプロだから、なんであれそれらしくかたちにして「見せる」技術に長けているということもありましょう。でもそうなるまでにはあのひとだってこのひとだって、筋肉痛と座骨痛にひそかに涙した夜だって、あるやも知れません。
30分ぽっちですけれど、私というものを馬に預けてみて。
人間も馬も等しく生きものであり、生きるという上で一歩もひかず対等なその二者によるコミュニケーションが乗馬ってことなのか、みたいなふうに思いました。
いつかまたきっと、馬に逢いに行きたいです。
馬ちゃん繋がりで。
これは競馬ですけれど。
ご存じの方も多いと思いますけれど。
速さは、自由か孤独か。(サイレンススズカ)
群れに答えなどない。(ナリタブライアン)
T.Rexのかの名曲が裏打ちする、数多の名コピーに涙したJRAのCMです。