蛇果─hebiichigo─

是我有病。

| CALENDAR  ENTRY  COMMENT  CATEGORY
ARCHIVE  LINK  PROFILE  OTHERS  RECOMMEND
五黄。──『藍宇』其の燦拾祓

四孟の年のお生まれか。


万物を創造し育成し破滅させ腐敗させて無に還す。
何んにも無いところからなんどでも新しい命を生む。
五行は土星。方位は中央。即ち帝王の星であります。
剛腹で細心で。傲岸で多情で。
星どもはすべて貴方様の眷族。遍く貴方様に跪きましょう。かれらを統べるが貴方様の宿命。さらには天の意志。
貴方様に並びたつ星は今生、ひとつとしてありますまい。
屹度死ぬ迄、どれほどか、孤独でありましょうねえ。


大層な卦を告げられたそのとき、かれは疾うに彼岸へと去っており、卦の告げるとおり間然する所も無くおれは孤独だった。
稀にみる強運であり、かつ長命であろうといわれて、三十にも届かぬ齢で無惨に逝ったかれの逆運を想った。
千年も万年も生きたいなどと、願ったこともなかったろう。願っていたのはおれのほうだったかもしれない。かれの死をまえに為す術もたなかった「強運」など、なにほどの意味がある。かれをこの世に、この腕のなかに繋ぎとめておけるなら、強運も長命も、なにもかもさばさばと差しだしたかった。遍くすべての星に膝を折らせて、藍色の空に耀くただひとつの星、それだけを仰ぎ見ていたかった。


抱こうと伸べた腕が虚しく空を掻く薄寒い黎明。あとをひく夢を捩じ伏せて堂堂巡りの一日をはじめる。積み重ねて漸う五年。なみはずれた強運に裏打ちされた今生に、並びたつ星はすでに無い。



屹度死ぬ迄、どれほどか、孤独でありましょうねえ。



然も有らばあれ。
万劫不復。
顧みれば屹度、瞬きひとつの永日だろう。







『藍宇』のオリジナルシナリオでは、1988年晩夏、藍宇に出逢ったときの陳捍東を28歳と設定しています。
素直に逆算すればかれの生年は1960年。でもそのときにまだ誕生日がきておらず、1988年に満29歳になると仮定すれば、かれが生まれたのは1959年と考えることもできます。すると捍東は五黄土星の生まれとなり、捍東を演じた胡軍(1968年生まれ)と同じ星をもつわけです。
捍東より10歳年少とされる藍宇は、1969年の生まれと仮定すれば四緑木星。これまた藍宇を演じた劉(1978年生まれ)のそれに重なります。

五黄土星と四緑木星は相剋の関係にあります。「木剋土」、つまり木が土の養分を一方的に吸い上げて、相手を疲弊させてしまうのです。価値観とか感性がちがいすぎるので、永く暮らしていく上での相性はあんまり良くないそうなのです。
この「木剋土」の関係って、じつは捍東と藍宇のそれにもあてはまるのじゃないかとも、思います。

『藍宇』という物語においては、藍宇のほうが一途に捍東に尽くしおおらかにすべてを与えているようにみえるけれど、捍東が藍宇によって奪われたものだって、それなりに大きいのじゃないだろうか、と。

五黄土星はいつだって俺様がいちばん、宇宙は俺様中心にまわっていると思っている星です。
周囲をひきずり回し破滅させかねないほどパワフルなのに、みょうなところが繊細だったり、びっくりするほど弱かったりもする。
胡軍さん、そして彼が演じたキャラクターのいくつかを考えるとき、いかにも五黄土星だなあってかんじがするのは身贔屓ってものでしょうか。じつは私も五黄土星の生まれです。


本日を以てこのブログを作ってまる五年になりました。
それで、「五」をとば口に、埒も無いことを考えていました。
六年目もきっと埒も無いことを考え、書きつけていくのでしょう。
御用とお急ぎで無い方は、どうぞゆるゆると、お付き合いくださいませ。


※九星の本命星は旧暦でみるとのことで、翌年2月3日までに生まれた人なら前年の本命星が適用されるそうですが、捍東と藍宇の正確な誕生日がわからないので、以上の判断もシナリオの記述をもとにした非常にざっくりとしたものであります。何卒ご理解くださいませ。

| 09:58 | 藍迷。 | comments(6) | - |
警察故事的快報。
ついさっき公式ツイッターさんから情報いただきましたあっ!!!

『ポリス・ストーリー レジェンド』12月2日(火)にBlu-ray&DVDリリース決定!!!





発売日:2014年12月2日(※11月5日先行レンタル開始)
価格:Blu-ray4,800円/DVD3,900円(共に税抜き)
字幕:1.日本語字幕 2.日本語吹替用字幕
音声:1.オリジナル北京語ドルビーTrueHD5.1chサラウンド 2.日本語ドルビーTrueHD5.1chサラウンド


【初回プレス分限定特典】
●特製ブックレット(16p)

【映像特典】※約53分
●ジャッキー・チェン 上海独占インタビュー ※約5分
●ジャッキー・チェン フィルム・ギャラリーツアー ※約9分
●ジャッキー・チェン 上海ファンバースデーイベント模様 ※約4分
●撮影風景 ※約5分
●キャスト/監督インタビュー集(ジャッキー・チェン、ジン・ティエン、リウ・イエ、ディン・シェン監督) ※約21分
●キックオフイベント模様 ※約5分
●予告編+TVスポット集(日本版予告+TVスポット2種、オリジナル版) ※計4分


詳細はこちらをご参照ください。


おめでとうありがとう。かえりみれば自分がほれてからこっち劉燁さん劇場公開作の日本版ソフトって『コネクテッド』と『王的盛宴/項羽と劉邦 鴻門の会』(11月12日にリプライスで再リリースされるそうです)とこれという、たった3本ぽっちというかなしいリリース状況でした。とはいえさすがはジャッキー御大。初回プレス分限定特典がなんと「特製ブックレット」だってよ奥さん。見るやいなや脱兎の如く密林さんへ参上して予約してまいったのは言うを俟ちません。さらにはキャストインタヴューにもちゃんと劉燁さんを入れてくださっています。ううううう嬉しいいいいい。ハブられないで良かった。思い返せば一年前、『テレビで中国語』で上海国際映画祭のもようを流して横並びで紅絨毯歩いてる警察故事2013チームを映してくれたのは良いのですが、ジャッキーさん景甜さん監督まで映して劉燁さんが完膚無き迄に見切れていたという痛恨の事態もございました。なにかこう、公式の場でハブられんじゃねえか梯子外されんじゃねえかという被害妄想が拭えな──は! じつは特製ブックレットに影もかたちも無かったりして……? 文字通り震えて12月をまつ!


そしてこれは先週お知らせいただいていたのですが、『ポリス・ストーリー レジェンド』、都内の劇場に帰ってきます。
池袋・新文芸坐で、【スクリーンで観ておきたい珠玉の名編Vol. 20】の一篇として、9月28日(日)・29日(月)に上映されます。
タイムスケジュールは12:15/16:25/20:35。
併映はジェイソン・ステイサム主演の『ハミングバード』。ジェイソン・ステイサムといえば『コネクテッド』の元ネタとなった『セルラー』で、劉燁さんが演じた誘拐犯役を演っておったお方。なにか不思議なめぐりあわせという気も、勝手にしないでもありません。
すでに地方巡業に出た本作、都内の劇場でふたたび観られる機会はやっぱり貴重です。観逃した向きはぜひとも9月末に文芸坐へどうぞ!!

| 13:56 | 警察故事2013。/ポリス・ストーリー レジェンド | comments(4) | - |
花咲けるおっさん。
おっさんのくせに六月終わりにひとりでこっそりあかごを産んじまった拙宅のサンセベリア・ローレンティ、命名おっさん


サンセベリア・ローレンティはくそ暑い気候になるにつれて活動期に入る植物なのだそうで、なるほどそのあともおっさんは、元気いっぱい、もりもりあかごを産んで産んで産みまくっております。六月末の長男坊など、いまじゃ天晴れ紛う方無きおっさんに生長しました。

しかしおっさんの生命活動は、あかごだけでは終わりませなんだ。
七月も半ばを過ぎたころ、アスパラガスみたいなものが根本からひょろひょろ伸びているのをみつけました。調べてみたところ、それは花芽だ、というではありませんか。

おっさんに、おはなが。

サンセベリア・ローレンティの花は優曇華の花ほど珍しいものじゃないので咲いたところで転輪聖王は出現いたしませんが、といってそうそうばかすか咲いてくれるわけでもないようです。
生育環境が整って、株が充実して、はじめて花を咲かせるんだとか。
ありがたいもったいないと朝晩拝みながら見守っていたら後れること数日、もう1本、花芽が顔を出しました。
せっかくこんなふうに狙いすましたかの如くふたり揃ってくれたものを、「捍東」と「藍宇」と、名付けずにおられましょうかいや断然おられません。おられるぐらいだったら自分そもそもこんなブログやってません。

アスパラガス状だったふたり(向かって右が捍東。左が藍宇)も七月終わりごろにはすっかりスレンダーに生長し、はっきり蕾とわかるものもつきはじめました。





写真じゃわからないですが、蕾が茎とつながっているあたりにいつもまるく水滴がたまっています。すくって舐めてみたらあまかった。
蜜でした。
あまいけど、後味がほんのり青苦い。
陳捍東が夏の終わりの夜に堪能した藍宇の肌ってこんなかしら。
とか、えっちな気分にも、なっちゃおうというものだわ。
ああ私ってとんだ「ど」がつく助平だわ。
と思ったりもしましたが、でもそもそも花蜜なんていろんなものを惹きつけるためにこそ、エロティックな仕様になってるわけなのですものね。生きるという行為。生きたいという思い。それすなわちエロスなんだもんね。ひらきなおって毎日たのしく舐めてます。甜甜蜜蜜的。
金曜日の夜、家に帰ったら、最初にでてきたほう、「捍東」が花ひらいていました。





クリームがかった白色の、とても繊細な、ちいさな花です。話に聞いていたとおりの佳い薫り。百合の薫りをすごくシンプルにつきつめて、そこにヴァニラみたいなあまったるい薫りがすこしまざって、古風で淑やかだけど一筋縄じゃいかないきつさがあって。これまた藍宇そのものみたいな。ちいさな花ですが芳香はとても強く、部屋じゅうにひろがって、八月のリビングはとてもいいにおいです。
夜に咲く花といわれるように、朝になったら萎れて、花殻が床に落ちていました。
そして颱風が日本列島を蹂躙した日曜日の夕刻。






昼間はたしかに薄緑のかたい蕾だった「藍宇」が、嵐に誘われたとしかおもえない唐突さでひらきはじめました。二本が揃って咲くとそりゃあ綺麗なながめ。花と花がよりそって、雌蕊を密着させているさまなど見るとまたしてもえっちが気分になっちゃってこまります。二本が相前後してひらくことで、薫りもますます強くなります。今夜はこんなかんじ。





サンセベリア・ローレンティの花言葉。


永遠。

不滅。



というのだそうだ。
捍東と藍宇に擬えるには些か皮肉な気もするけれど、そも願って叶わぬからこその花言葉なのだもの。
永遠不滅永遠不滅永遠不滅。
くりかえし唱えれば運命は『藍宇』という映画、そのものにもいつか変じていく筈。だもの。

| 21:38 | 藍迷。 | comments(10) | - |
歓迎光臨10。
一年とすこし前になりますが。
劉燁さん張涵予さん黄渤さん主演の三馬鹿電影こと『厨子戏子痞子』のDVDがでますよばんざいという記事を書きました。
でもこのDVDがねえ、さすがは大陸クオリティと申しましょうか、映像の質があんまし良くなくってねえ……。
ちょっと落胆しながらも、なんだってBlu-rayが無いのだろうでもそのうちいろいろ出るかもわかんないからひきつづき未練たらしく待ってます、と書いたのを言霊さまはちゃんとみていてくだすったらしかった。7月なかばに未練たらしく某アジアさんに伺って検索してみたらば、上記の記事を書いた一年と4日後にあたる6月24日に、US版のBlu-rayが発売になっていたのでございます!
喜びの舞を舞いながら、図に乗って『ポリス・ストーリー レジェンド』の香港版Blu-rayまでもオーダーしてしまいました(送料無料になるつうんで)。じりじりしながら待つこと半月。颱風にさきがけて先週金曜日に、厨子ちゃんと武江さん、お誘い合わせでポストに収まっておりました。


The Chef, The Actor, The Scoundrel (Blu-ray) (US Version)
三馬鹿.jpg



ポリスストーリー/レジェンド (Blu-ray) (香港版)
policestory.jpg



『ポリス・ストーリー レジェンド』のジャケ写は見慣れたもんだからいまさらさしたる感慨は無いんだけども『厨戏痞』が奥さん! なんかこれもう劉燁さんが主役?みたいな体じゃございませんか奥さんもうもうもうっ。金曜日は東京キネマ倶楽部で女王蜂のワンマンがあって、そのあと渋谷のんべい横丁のこちらでおいしいワインとおいしいごはんを食べながら楽しいお話をし、浮かれて帰宅して『厨戏痞』から観始めたんだけど途中で寝落ちしてしまい。あらためて昨夜、颱風の気配を窓の外にききつつ『ポリス・ストーリー レジェンド』→『厨戏痞』、ダブルフィーチャーできっちり鑑賞しました。

どっちもくりかえし観ている作品ですが、やっぱりBlu-rayは別腹!
映像が、光が、色が、劉燁さんが(え)、なにもかもどえらく綺麗なんですー!

『ポリス・ストーリー レジェンド』なんか劇場の大画面で観てるのにもかかわらず気づかなかった細部のあんなとここんなとこが手に取るように。況んや低画質DVDでしか鑑賞してない『厨戏痞』をや。『厨戏痞』はメインキャラクターのコスチュームやメイク、刺青の紋様などがかなりキッチュでサイケデリックなかんじで、それもこの作品の魅力のひとつだと思うんですが、Blu-rayで観るとそれらの色彩感や衣装の刺繍ひとつにいたるまでがほんとにはっきりくっきりで、これまで自分が観てきたあれは違う映画だったんじゃないかしら、ぐらいの嬉しい裏切りと発見の釣瓶打ち。はなぢ厨子ちゃんのかわいらしい娘娘腔っぷりも、逆光に映えるこいぬファイター武江のふさふさまつげも、いろいろたまらないんですー!


写真 5.JPG


惜しむらくは字幕か。『ポリス・ストーリー レジェンド』は、簡体字幕が実際に役者さんがしゃべってる普通話の台詞と明らかにちがうんじゃないかと思える箇所が多かったし(香港版だから?)、『厨戏痞』はUS版なので字幕はもとより英語のみなのでございます。ううむなんか勿体無い。個人的にだけど。前者の場合日本版DVDはかならずリリースされそうだけどBlu-rayはどうかしら。後者はそもそも「日本版リリース」ってのがはなから絶望的でございますしねえ。だってテーマが「抗日」だからねえ。おもしろいんだけどねえ。中国語(普通話とか方言とかスラングとか)と日本語と手話とモールス信号がすさまじい勢いでとびかうので、字幕翻訳がめんどくさいってことかしらねえ(笑)。


そうしてもうひとつ、たまらないものが到来。

postcard079.jpg



『青春愛人事件』のポストカードです。
『青春愛人事件』は2003年度製作の中国映画。2004年に東京国際映画祭「アジアの風」で上映されました。
劉燁さん主演、倪大宏・郭涛・于榮光が共演。退屈な日常をおくるひとりの男の子が非情な非日常に叩き込まれてすったもんだするというお話。ちょっと不思議な後味をのこす映画でした。
ポストカードを下さったのは、『藍色宇宙 LAN YU FANBOOK』をお送りくださったNさんです。
ファンブックのお礼にと気持ちばかりのものをお贈りしたところ、さらに重ねてこちらをいただいてしまったのでした。うわーん有り難い勿体無い。だいじにします。

『青春愛人事件』について、御参考迄に。
こちらは本作の概要、そしてこちらは、2004年10月の東京国際映画祭のときに来日した監督のティーチ・インの記録です。
劉燁さんも同行する筈が、ビザの関係でだめになっちゃったんだとか。そのとき彼がアメリカで撮っていたのがメリル・ストリープ共演の『アフター・ザ・レイン/Dark Matter』だったそう。
劉燁さん主演の映画が日本の映画祭でかかって、なおかつ彼が映画祭のゲストとして日本にくる可能性もあった。つい7年前はそんな時代だったんですねえ。なんだかしんみりしちゃったわい。
| 15:24 | 電影瑣聞。 | comments(2) | - |
炎熱的夏天。
♪しゃんらんららん、ら〜ららら〜ん。
グッドイブニング皆さま。
そもそも真夏のアウガストなのでしょうがないと思って諦めるしか無いんだけど、それにしたって毎日どうしてこんなにくそあづいのでしょうね。
夏フェスとか、行きゃあそれなりに音楽聴いて酒のんで浮かれてしまうんですけれど、祝祭感ナッシングな日常に於いてはすでに夏が凶器と化しております昨今。
いかがお過ごしでしょうか。

8月2日土曜日は、最高気温35度超を記録した東京都内にいました。
『王的盛宴』からかじりはじめた秦末楚漢方面でいろいろ勉強さしていただいてるブロガーさんの愛良さんが、今週末に東京にいらしてオフ会をなさるというお話を伺って、こちとら秦末楚漢方面はど素人ではありますが、せっかくの機会なのでご挨拶がてら、カエルさんともどもランチ会に参加させていただいたのでございます。

『王的盛宴』については、やれあの史実が抜けているこの史実が描かれていないのはだめじゃないかだの、お話がわかりにくいだの暗いだの、あそこが納得いかないだのここがおかしいだの、読めば憤懣遣る方なくなるばかりのご感想の数々を目にしてきました。にっこり笑って相対しちゃあいるけれど笑顔の下でははらわた煮えくりかえっています的な局面も多かったです。挙げ句、この映画の美しさおもしろさを理解して愛してくださる方は、たぶんきっと、ごく僅かしかいないのだろうなあという諦観を日々強くしていました。
愛良さんは、自分が知るなかでは数少ない、『王的盛宴』をきちんと評価し愛してくださるブロガーさんでした。
だからこの一篇の(奇妙な)映画につながる細いご縁だけを信じて、一度お逢いしてみたいと思っていた方でした。


お逢いできてよかったです。
尾張盛宴のときに作った王的フォトブックももらっていただけて、嬉しかったです。


私は生来の性分でもあるしだからこういうブログをやっているんだし、孤独とか孤高とか、べつにどうだっていいやと思っているところがあります。
ていうか団体さんで元気よくつるむのが(数を恃むがゆえに赤信号でも平気で渡っちゃうという恥知らずなありようが)、とにかくだいきらいなんです。
自分のすきなものを誰からも「すき」と言ってもらえない、それゆえに自分は孤独だと大仰に嘆いてみせて、その実こっそりひとりで甘美な思いを強くしている、とかいうのも、自惚れたお馬鹿さんの仕業だなと思っています。
私がこのブログをやっているのは自惚れたお馬鹿さんになって充足したいからじゃ無くて、私がすきなものは断固としてすきなのだと執念深く言い続けるためです。だって私がそれをすきなんだから。すきだと言い続けることでだれかを傷つけたとしたってかまわない。報いは私が受けるから。言い続けていればそれはなにかしら「かたち」になるし、そしてそのかたちがだれかに出逢う力にだってなるから。だれかと出逢って、いつかだれかと別れてゆくとしたって。


ある意味、秦末楚漢に生きた彼らだって。
何百倍も濃くて熱くて痛い出逢いと別れをくりかえし、鮮血淋漓たるおもてに白い咲みを湛え、数多の屍を踏んで、足裏に屍を感じて、そこに立っていたんじゃないかなあ、とか思います。


ランチ会のときにご覧に入れられなかったので。
『王的盛宴』において、ひとりの若い役者が年老いた皇帝に変貌してゆく、その過程をごらんくださいませ。


img2_src_8253244.jpgimg2_src_8253245.jpgimg2_src_8250098.jpg
img2_src_8250101.jpg



お写真ご提供はこちらさまより。
| 22:22 | 王的盛宴。/項羽と劉邦 鴻門の会。 | comments(10) | - |
| 1/1 |