五黄。──『藍宇』其の燦拾祓
2014.08.27 Wednesday
四孟の年のお生まれか。
万物を創造し育成し破滅させ腐敗させて無に還す。
何んにも無いところからなんどでも新しい命を生む。
五行は土星。方位は中央。即ち帝王の星であります。
剛腹で細心で。傲岸で多情で。
星どもはすべて貴方様の眷族。遍く貴方様に跪きましょう。かれらを統べるが貴方様の宿命。さらには天の意志。
貴方様に並びたつ星は今生、ひとつとしてありますまい。
屹度死ぬ迄、どれほどか、孤独でありましょうねえ。
大層な卦を告げられたそのとき、かれは疾うに彼岸へと去っており、卦の告げるとおり間然する所も無くおれは孤独だった。
稀にみる強運であり、かつ長命であろうといわれて、三十にも届かぬ齢で無惨に逝ったかれの逆運を想った。
千年も万年も生きたいなどと、願ったこともなかったろう。願っていたのはおれのほうだったかもしれない。かれの死をまえに為す術もたなかった「強運」など、なにほどの意味がある。かれをこの世に、この腕のなかに繋ぎとめておけるなら、強運も長命も、なにもかもさばさばと差しだしたかった。遍くすべての星に膝を折らせて、藍色の空に耀くただひとつの星、それだけを仰ぎ見ていたかった。
抱こうと伸べた腕が虚しく空を掻く薄寒い黎明。あとをひく夢を捩じ伏せて堂堂巡りの一日をはじめる。積み重ねて漸う五年。なみはずれた強運に裏打ちされた今生に、並びたつ星はすでに無い。
屹度死ぬ迄、どれほどか、孤独でありましょうねえ。
然も有らばあれ。
万劫不復。
顧みれば屹度、瞬きひとつの永日だろう。
『藍宇』のオリジナルシナリオでは、1988年晩夏、藍宇に出逢ったときの陳捍東を28歳と設定しています。
素直に逆算すればかれの生年は1960年。でもそのときにまだ誕生日がきておらず、1988年に満29歳になると仮定すれば、かれが生まれたのは1959年と考えることもできます。すると捍東は五黄土星の生まれとなり、捍東を演じた胡軍(1968年生まれ)と同じ星をもつわけです。
捍東より10歳年少とされる藍宇は、1969年の生まれと仮定すれば四緑木星。これまた藍宇を演じた劉(1978年生まれ)のそれに重なります。
五黄土星と四緑木星は相剋の関係にあります。「木剋土」、つまり木が土の養分を一方的に吸い上げて、相手を疲弊させてしまうのです。価値観とか感性がちがいすぎるので、永く暮らしていく上での相性はあんまり良くないそうなのです。
この「木剋土」の関係って、じつは捍東と藍宇のそれにもあてはまるのじゃないかとも、思います。
『藍宇』という物語においては、藍宇のほうが一途に捍東に尽くしおおらかにすべてを与えているようにみえるけれど、捍東が藍宇によって奪われたものだって、それなりに大きいのじゃないだろうか、と。
五黄土星はいつだって俺様がいちばん、宇宙は俺様中心にまわっていると思っている星です。
周囲をひきずり回し破滅させかねないほどパワフルなのに、みょうなところが繊細だったり、びっくりするほど弱かったりもする。
胡軍さん、そして彼が演じたキャラクターのいくつかを考えるとき、いかにも五黄土星だなあってかんじがするのは身贔屓ってものでしょうか。じつは私も五黄土星の生まれです。
本日を以てこのブログを作ってまる五年になりました。
それで、「五」をとば口に、埒も無いことを考えていました。
六年目もきっと埒も無いことを考え、書きつけていくのでしょう。
御用とお急ぎで無い方は、どうぞゆるゆると、お付き合いくださいませ。
※九星の本命星は旧暦でみるとのことで、翌年2月3日までに生まれた人なら前年の本命星が適用されるそうですが、捍東と藍宇の正確な誕生日がわからないので、以上の判断もシナリオの記述をもとにした非常にざっくりとしたものであります。何卒ご理解くださいませ。