蛇果─hebiichigo─

是我有病。

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グリンスネイクベイビーカモン。
三月末におうちにやってきた、Snake Plantことサンセベリア・ローレンティさん。
(その顛末はこんなかんじでした。)
ともに暮らして3ヵ月が過ぎました。
折角だからここはいっちょう奮発して、ものすごくかっこええ名前をつけてやろう!と意気込んでみたものの、とりいそぎ仮名のつもりで呼んでいた「おっさん」に、気づけば身も心も馴染んでしまいまして。
めでたく「おっさん」という名前になりました。
朝起きれば
「おはよう、おっさん!」
とご挨拶。
ときどきはぐもして、いいこいいこしてあげます。
どっかのおっさんみたく図に乗ってビールをねだったりすることも、のんだくれてソファーでいぎたなく寝てしまったりすることもなく、週に一度のお水遣りでつつましく暮らしている拙宅のおっさんです。

昨日お水をあげたとき、新しい芽が顔をのぞかせているのに気づきました。






おっさんに、あかちゃんが。


私がぼへっとしているまに、おっさんひとりで産みの苦しみだったのだ。
とおもえば朝っぱらから目頭があつくもなります。
あかちゃんつったところでどうせそのうちもさもさ育っておっさんの一部と化すわけですが。なんかこう、ちっちゃいながらもめいっぱい両手をのばして「ヤー!」みたいにやってるかんじが可憐じゃないですか。ちょっとたけのこみたいですね。
それにしても、おっさんはおっさんのくせにひとりで生殖しているのだねえ。
こんなことは、しないわけだよねえ。







いやいやいやいや。いやいやいやいやいや。
イメージ! イメージですから!

| 21:00 | 藍迷。 | comments(2) | - |
穿旗袍的女人。
惚れた役者がかつて旗袍美少女だったりした ことも手伝って、所謂「チャイナドレス」という衣服にはひとなみ以上に興味をもっています。ひとくちに「チャイナドレス」といっても素材もモチーフも形もさまざまあって、北京様式のそれを「京派旗袍」といい上海様式のそれを「海派旗袍」と呼び、それぞれの土地の文化として位置付けていたなどなど、『チャイナドレスの文化史』という本を読むと、ひとつの衣服が辿った歴史とひとつの衣服に担わされた意味なんかがコンパクトにまとめられていておもしろいです。
同書にも収められている著者・謝黎さんのコレクションも展示された「描かれたチャイナドレス──藤島武二から梅原龍三郎まで」を、本日ブリヂストン美術館でみてきました。


main.img.png



企画展なのでヴォリュームとしてはさほどではないものの、印象的な絵がいくつかありました。藤田嗣治の「力士と病児」、恩地孝四郎の「白堊(蘇州所見)」、岡田謙三「満人の家族」など。
タイトルに掲げられてる藤島武二の数点、特に横顔をみせた旗袍の女はどれも素敵でした。展示会のアートワークに使われているのが「女の横顔」(上)ですが、それにも増してこのふたりが頗る別嬪で。




左向きの彼女:「芳慧」
右向きの彼女:「鉸剪眉」



展示された作品のなかでもっとも印象が強かったのが久米民十郎の「支那の踊り」(個人像)。





漆黒の額縁にはびっしりと雷文が彫りこまれ、恰も異界へとくりぬかれた窓のようでした。横浜のホテルで関東大震災に遭い30歳で夭折した画家が、死に先立つ三年前に、巫女をモデルに雇って描いたといわれる絵です。大正9(1920)年に公開されたのを最後に2007年に発見されるまで、八十数年も行方知れずだったのだそうです。まるい敷物の上でぐんにゃりとのたうつ黒衣の女が背けた顔にうかべているのは苦悶なのか陶酔なのか。みているとあらぬことばかり考えてしまい、そういうことを考えているうちにどんどんうすぐらいところへ迷っていきそうな。行方知れずだったのでは無くて、ほんとうは、意図的に隠匿されていたのじゃないか。そんなふうにも納得してしまえるくらい、「こわい絵」でした。



本展には、チャイナドレスで行くと一般料金を団体料金に割引してもらえる「チャイナドレス割引」というシステムがあります。
「本格的なチャイナドレスではなくても、中国服デザインがファッションの中に取り入れられていればOK」だそうなんで、横浜中華街のteftefさんで買ったチャイナカラーのプルオーバーで行きました。






チケットを買った際に、「広報に載せたいので写真を撮らせていただけませんか」といわれ。お洋服部分しか載せませんとのことだったので、同行した太極拳朋友のジィエさん(惠英紅似の美人さん。薔薇色の旗袍がよくお似合い)とツーショットでおさまってきました。美術館の方によれば、開催当初は少なかったものの、昨今はチャイナドレスで来場される方がだんだん増えているんだとか。今日も藍色の絣っぽい生地で仕立てた素敵な旗袍をきりっとお召しの方がいらっしゃいました。会期は7月21日(月・祝)まで。ぜひぜひ、チャイナドレスでお運びくださいませ。

| 22:37 | 瑣屑。 | comments(6) | - |
武江的配音演員様。
映画というものはすきですが、といってまんべんなくたくさんの映画を観ることがすきな「映画ファン」ではさらさらないようです私は。「映画ファン」ならば『ポリス・ストーリー レジェンド』を公開2週間で6回観たがほかの映画は1本たりとも観ていません、というような事態にはならなかろうと思うからです。でも、『ポリス・ストーリー レジェンド』6回観るとこを1回でがまんしてほかの映画を5本観たところで、この2週間の自分の人生がいまより豊かになったとも思えません。そんな次第でまだまだ観ますよ『ポリス・ストーリー レジェンド』!





昨日は地元ィ横浜で吹替版を観ました。「声優さんがどんなにお上手だったとしても、役者本人の声によるあの絶妙に豊かなニュアンスまではぜったいに再現できない」から吹替版は観ない、とか書きましたけど、悪役の声がイケメンボイス過ぎたというご報告を伺って、やっぱり話の種に一度は観ておくべかとあっさり翻心。外国語の映画の吹替版を劇場で観るのは、これが生まれてはじめてかも知れません。DVDに吹替版が収録されている場合は一度はそっちでも観るようにしています。『山の郵便配達』では松本保典さん、『PROMISE 無極』では木下浩之さん、『王妃の紋章』では遠藤大智さんが劉燁さんの声をアテておられます。『ポリス・ストーリー レジェンド』の武江の声は、堀内賢雄さん。とってもソフトで甘い二枚目ヴォイスの持ち主でらっしゃいます。サンプルでお確かめを。





プロフィールみたら堀内さん、自分と同じく静岡県出身でいらっしゃいました。しかも御殿場市のお生まれだった。近い! 近いですうちの地元に。いきなり親近感湧いてしまいます。時と場合によったらあの静岡県東部訛りをあの二枚目ヴォイスでお話しになったりもするのねうーわー……。
武江の声は、サンプルよりもずっと腹に力の入った、ドスの利いたかんじで演ってらっしゃいます。それでも十二分に、絵に描いたような二枚目ヴォイスです。劉燁さん最大の萌えポインツともいうべきあのふごふご声が、こんな絵に描いたようなおとなっぽい(自分よりも年上みたく聞こえる。堀内さんが自分よりも年上なせいでしょうけど)二枚目ヴォイスに!というだけでそれはもうたまらなくはづかしく、もじもじしながら110分を過ごしてしまいました。
序盤の猫かぶってるときの武江の一人称は「わたし」で、ジャッキーさん演じる鐘文にも敬語で話しかけています。正体現したあとではタメ口になって、一人称も「俺」になります。クライマックスの地下鉄の場面で武江が鐘文に銃突きつけて放つ「再见吧!」がどうなってるのか手に汗握ってしまいましたが、字幕では「お別れだ!」だったのが吹替では

「さようならだ!」

でした。「さようなら」か。むー。日本語訳としてまちがっちゃいないんですが、むー、そのまんまじゃねえかという気もしないでもナイ……。「お別れだ!」のほうが武江の最後の台詞としてはかっこよかったんじゃないかなあ。


そしてもちろんジャッキーさん@石丸博也さんはちょう渋かった!
石丸さんと自分との出会いといえば兜甲児@『マジンガーZ』なんですが、キャリアを拝見したらゴールデン洋画劇場版『ストリート・オブ・ファイヤー』のウィレム・デフォー(らぶー)の声もなさってたなんていまさらながらびっくりしています。

| 12:39 | 警察故事2013。/ポリス・ストーリー レジェンド | comments(6) | - |
贔屓偏頗のわたくしありて。
初日6月6日に2回。
13日の金曜日に地元ィ横浜で1回。
そして、TOHOシネマズさんで1100円で鑑賞できた昨日は、日本橋→日比谷をはしごして2回。

世間様はどうだか存じませぬが自分のなかでは絶賛上映中の『ポリス・ストーリー レジェンド』でございます。
初日明けてしばらくは生憎の雨続きで、客足がいまいちのびていなかったようでした。でも昨日のTOHOシネマズみゆき座は、お天気と、そしてまつがい無く割引料金のおかげもあって、客席は八割以上埋まっていました。開映20分前くらいに着いたときにはまんなからへんのお席がすべて売り切れていて、後ろのほうの端っこしか残っておらぬという状況。関係者でも無いくせに嬉しい悲鳴。

公開直後から、本作を観た方のご感想がネットに上がり始めました。ネガティヴな御意見もあるけれど、概ねジャッキーファンの皆さまは高評価で、読みながら、これまた関係者でも無いくせに胸をなでおろしてみたり胸を熱くしてみたり。そしてもちろん悪役を演じているうちの仔もとい劉燁さんがジャッキーファンの皆さまからどのような評価を下されておるのかがひたすら気がかりでした。自分が読んだレヴューの99%ぐらいでは劉燁さんについてはスルーだったけど、残り1%の、随喜の涙を禁じえないいくつかの御言葉を、謹んでここに採録させていただきます。まずはツイッター。

張曼玉も楊紫瓊も謝霆鋒も出てませんが、『ポリス・ストーリー/レジェンド ("警察故事 2013")』。ここ数年、成龍には泣かされ続け。で、本作も、涙。シリアス一辺倒でもエンドロールが台詞NGばかりでも全面的に許容。っつか、主役の加齢より藍宇くんの中年っぷりに、目頭がまた熱く。
阿部努(@aberandon)様


映画観たあとにコリドー街で楽しく呑んだくれ、ごきげんちゃんで帰宅する途中の京浜東北線車内で拝読しました。「藍宇」というワードに落涙。いただいたリプライで『南京!南京!』についても触れてくださっていてふたたび落涙。


ラストの主題歌は絶妙のタイミング過ぎてズルイ(^^)
もともと映画に感情移入はほとんどしない私のスイッチを押した。
前作は別の部分、ジャッキーの想いという点で泣けたが、今回はジャッキー(とリウ・イェ)の演技にもらい泣き(;д;)
KungFuTube(@KungFuTube)様


(とリウ・イェ)と、ひかえめながらもきっちりもらい泣きしてくださってとても嬉しいです(笑)。


共演者もよくて、特に悪役ながら、リウ・イエってかなりカッコいいです!日本でも人気になるんじゃないかというほど。
オーケー(動画編集始めました。)(@ookei518)様


うわあカッコいいってゆわれちゃいました、ありがとう!
劉燁さん、00年代の一時期には、日本でも局地的にとっても人気があったらしいですよ。だが自分はその時代を知りません。本作を契機に、彼の過去作品を観てくださる方がひとりでも増えれば冥利に尽きます。人気にならなくってもよいですから(笑)。


ポリストの続編って考えると絶対比較してしまうから良くない、そもそもチェンじゃないし、単体で考えると今までになかった密室劇でミステリー寄りのストーリーは面白い、てゆうか演技超上手い、泣いた、全俺が泣いた。
あとリウイエかっこいいドニー映画のようなガチバトルもいい
チェン刑事(@Detective_Chan)様


きゃーまたかっこいいってゆわれて全わしが泣いた!!


ポリス・ストーリー レジェンド観てきた。面白かったー、かっこいいしね。あとちょっと泣いちゃうよ。ウーはね、哀しい人だな、って思った。ハンサムなのにもったいない。あんだけ頭が良くて強いんだから、あんなことに執着せずに暮らせたら良かったのにね、って思った。とにかく必見です。
みっち(@non_a1213)様


かっこいいではおさまらず、ハンサムとまで、おっしゃっていただけるなんてううううう(爆泣
ウーさんて一見知能犯のようなのだが、やはりあっちこっちで詰めがあまい感が否めません。そんなところもご愛敬。


『ポリス・ストーリー レジェンド』ジャッキーの新作アクション映画。ジャッキーかっこいいよぉおおー!クライマックスの台詞はジャッキー自身の叫びだよね…泣けたー(ノД`)主犯ウー役の彼は若い頃のジョニデに似ててイイネ!NG集もちろんあり。胸熱!
杏仁(@ANNIN_dp)様


なんと、ジョニデさんと劉燁さんとの相似性を指摘してくださるおかたが!
自分はあちこち病んだり腐ったりしていますから御両所ならべて悦に入ったりしがちなんですが、世間様の目にもやはり似てると映るのですね。胸熱!


アクション映画の悪役を、冷酷無比な悪人であると設定してしまうと、最終的には、皆、バットマンのジョーカーみたいな、あり得ない存在になってしまうのだけど、「ポリスストーリー/レジェンド」は、それとは真逆の方向性なんだよね。最近の映画には失われてしまった、正に「人情」の映画。
くぼひろし【脚本構想中】(@bonkuratv)様


これまでどこか寓話的で人間離れした、「あり得ない存在」を演じることが多かった劉燁さんですが、悪役であれ「情」を過分にそなえているというのはやはりジャッキーさん映画ならでは、なのでしょうか。さらにこのあと劉燁さんについて、「善人にも悪人にも、策略家にも純粋にも見える」とおっしゃってくださいました。嬉しかったです。


『ポリス・ストーリー レジェンド』の公開記念特番やってた…リウ・イエが日本の地上波で喋ってる…!と感動。宮崎でも上映してください…
HAL(@halkk)様


映画はあっちこっちで上映しまくりですが映画どころじゃ無くレアな公開記念特番は1ミリたりとも観られなかった関東地方在住の私です。日本の地上波でしゃべってる劉燁さん……そんなかわいらしいもの、死ぬほど観とうございました……。


悪役の声の堀内賢雄はイケメンボイス過ぎた(;´Д`)
むちゃむちゃ(@muchamucha7)様


吹替版は観ないとかゆってましたがそんなことになってる日にゃあ!



【映画ナビ】様
“ワケあり”な敵役を演じた中国の若き名優、リウ・イエの存在感も忘れ難い。


「中国の若き名優」ですってきゃーテレりんぐにもほどがある!!
若いつっても36歳なんですけどね(笑)。


【JVTA 戦え!シネマッハ!!!!inCO】様
犯人役は『山の郵便配達』のリウ・イエ。彼は『コネクテッド』でも誘拐犯を演じていた。


言われてみればそうだ。『コネクテッド』なんか役名からして「誘拐犯」でしたわ。取りつく島も無い(笑)。


【シネマトゥデイ】ミルクマン斉藤様
悪役のリウ・イエにも『コネクテッド』で見せたような凶悪さがない(ま、同情すべき背景もある人物だが…いささか説得力に欠ける)。


『コネクテッド』のあのかわいらしく間抜けなマドモアゼルが、観る方によっては「凶悪」とみえていたとはッッ! 公開から5年、いまさらフレッシュにびっくりです。


【ヤフー映画】
あの衝撃の中国映画で男性同性愛映画「濫宇」に主演し、全裸で男唱美少年ぶりを発揮した名優リウ・イエが最近は演技開眼し、悪人役を演じる演技力を磨き、今回もジャッキー・チェンと共演してよく頑張った。
sound_of_julie様


おもいっきり誤字なんですけど「濫宇」って書くとなにかこう、ものすごい淫らなかんじじゃないですか。「濫」は「あふれる」とか「みだれる」とかいう意味ですし。美少年とか全裸とか、自分が垂れ流すならばともかく本作のレヴューで書かれてしまうとめっぽうはづかしい。しかも全裸はそのとおりですが美少年はいかがなものでしょうか。さすがに贔屓の引き倒し上等の私といえどさすがに「美少年」はうわーんはづかしい。


主犯であるウーは後半になると物凄く人間の出来た兄妹思いの良いやつだと分かる。自分は気づかぬ内に、ジャッキー以外に主犯のウーにも同情してしまい最後には「どっちも死ぬな!」という理不尽な気持ちになってしまった。
もうラストのシーンなんて主犯のウーに「おまえ、なんていいヤツなんだ。」と感じさせ、違った意味で主役のジャッキーよりも存在感があった。
illbeback1229様


ちょっと頭のおかしい劉燁さん迷の自分ははなっからウーさんに感情移入以外の観方はしていないんですが、迷じゃなくてもこういうふうに観てくださる方がいらっしゃるのだなあ。嬉しい。


犯罪者達も最近はやりの単なるサイコ野郎ではなくそれぞれの思いがあることが描かれ、もしかしたらそういうのをきれいごとだと嫌う方もいらっしゃるのかもしれませんが、やっぱりジャッキー映画らしい優しさが好きでした。
敵役のちょっとアジアンジョニー・デップな感じの俳優さんも素晴らしかったです。
elpoel様


ここにもジョニデさんと劉燁さんとの相似性を指摘してくださるおかたが!
アジアンジョニー・デップ……アジアンジョニー・デップ……アジアンジョニー・デップ……(エンドレス
さすがの自分も踏みとどまった素敵キャッチフレーズ頂戴しましたどうもありがとうございます!


そんなこの映画の監督は『ラスト・ソルジャー』でも成龍と組んだ丁晟(ディン・シェン)。CMやMTVで鳴らした大陸新世代の出世頭で、デビュー以来、かつての大陸映画のイメージを覆し、寓話性に富む商業作品(『硬漢(アンダードッグ)』、『硬漢2 奉陪到底(日本未公開)』)を手がけています。

共演は、大陸有数の演技派として評価の高い劉燁(リウ・イェ)と、若手の美人女優・景甜(ジン・ティエン)。これまではワンマン映画であることが常だった成龍映画の中で、劉燁はその演技で成龍を喰うほどの存在感を示し、景甜は(キャラクターや演技はステレオタイプながら)成龍映画史上初となる娘役として新風を吹き込んでいます。

この映画での丁晟は、どの監督もやろうとしなかった、“成龍をストーリー=映画の一部として取り込む”ことを成功させています。劉燁、景甜、或いは于榮光(ユー・ロングァン)や、その他の共演者も含め、彼らと一体となって、成龍本人ではない、“キャラクター”を演じる彼が映る、初めての映画ではないでしょうか。
lamlam_pachanga様


引用させていただいたのは一部ですが、全文にわたってたいへん読み応えのある、興味深いレヴューでした。丁晟監督・劉燁主演の『硬漢』2作品にも言及し、しかもきっちりご覧になってくださっています。先にも「違った意味で主役のジャッキーよりも存在感があった」との御言葉がありましたが、「大陸有数の演技派」「劉燁はその演技で成龍を喰うほどの存在感を示し」た、というご感想になみだがとまりません。

ただ、「主役を喰う」というのは褒め言葉であると同時に、下手を打てば物語のリズムを壊し映画そのものを台無しにしてしまいかねない諸刃の剣でもあり。
私には、本作の劉燁さんは、あくまでも「ジャッキー映画の悪役」という立ち位置をわきまえ、主役ジャッキーさんを立て、一歩も二歩も下がったポジショニングを終始心掛けているようにみえました。もしもそこからはみだしているように映ったのだとしたら、己の持つ巨大な才能を上手に制御することが彼にはまだできず、結果それが隠れも無くあらわれてしまった、その証左でしょうか。なんつって。一から十まで贔屓の引き倒しでほんとにすいません。
| 21:20 | 警察故事2013。/ポリス・ストーリー レジェンド | comments(2) | - |
楚漢これくしょん。
先週からBSフジで『項羽と劉邦 KING'S WAR』が始まってます。
公式サイトもできてます。登場人物とキャストの解説をかなりきっちりしてくださっていて、参考になります。WOWOWですでに放映されたドラマですが、WOWOWが視聴できる環境にないためBSでの放映を心待ちにしていました。5話まで観てみましたが、秦末楚漢という時代背景の解説や人物紹介をしつつ、

項羽=血気盛んな力持ち
劉邦=ごろつき助平おやじ


という、どうしたってはずせない2点はひじょうにわかりやすく押さえてくれています。
のっけから始皇帝が地方巡行してる場面が出てきて、わーもうすぐあの美麗なお車の上に大鉄槌が降ってくるーきっとくるーとどきどきしていましたが降ってきませんでした。ちぇーがっかり。そこから始まって回想に行って、リアルタイムに取って返して劉邦・項羽・張良が邂逅するってんならわしごのみのドラマチックだった。しかしそもそも大鉄槌の首謀者張良先生の出番からして4話からなのでした。『史記』の「世家・留候世家第二十五」であれっぽっちしか書かれていない博浪沙のくだりが5話でとんでもない長尺スペクタクルになっていたのにはなにしろ魂消ました。司馬遼太郎の『項羽と劉邦』も『史記』に倣ってそっけないほどあっさりした描写のうちに張良という稀有なひとの魅力を十二分ににじませて、それがたいそう素敵だったので、ドラマの描写は盛りすぎの感が否めません。あるいは陸川監督は、わかりやすく映像化しやすい(そしてウケやすい)そうしたてんこ盛りスペクタクルに反旗を翻すためにも『王的盛宴』を撮ったのだろうか。どうもそんな気がしてなりません。同様に臭いそうにリアルな王的劉邦チームを経た身には、出てくるひとらが全員いかにも小奇麗でこざっぱりしていて、ドラマだからあんまり穢らしいビジュアルをお茶の間に曝すわけにもまいりませんというのはわかるんだけど、些かものたらないのも事実。しかし劉邦を演ずる陳道明さんはさすがの貫禄と末枯れたお色気。劉邦ってひとはきっとあんなだったんだろうなあ、とすんなり納得させて余りあるうまさです。それゆえに、劉燁さんが演じた劉邦の異端っぷりがますます愛おしくもなり。あと、田んぼの水争いで対立する劉邦の宿敵・雍歯を演じているのが『レッドクリフ』で劉邦の子孫・劉備だった尤勇さんてあたりに作り手のほのかな黒い微笑をかんじたり。登場したばかりの張良役の霍青さんは、自分脳内張良のイメージ(腺病質な女顔の美形)からは些か遠いけれどもひじょうにチャーミング。なにがどうとうまく言えないのですが、天然さんのようでいながら途轍も無い芯の強さと果断さを匂わせ、なおかつなに考えてんだかよくわからない謎な御方。カリスマという点では劉邦に比肩するかもしれません。今後の展開が楽しみです。日本語吹き替えなのが残念といえば残念でしょうか。中国語で視聴したかった。とくに道明劉邦はオリジナルの美声で味わいたかった。吹き替えといえば、項羽の吹き替えをやってる声優さんは『蘭陵王』で高長恭(馮紹峰)の声をなさっていた方だ。調べたら『PROMISE 無極』の北の公爵・無歓も同じ方がなさっていました。謝霆鋒→馮紹峰→何潤東。男前総嘗めです。すごいよ内田夕夜さん。
で、『項羽と劉邦 KING'S WAR』BSで放映おめでとう記念にこれまで自分が観た秦末楚漢劇の主要人物をならべて愛でてみました。左上から時計回りに『大漢風』→『鴻門宴』→『王的盛宴』→『楚漢伝奇』。人生いろいろでございます(笑)。『大漢風』の項羽×『王的盛宴』の劉邦でランデヴーとか、噛ませ合いはどうぞご随意に。



【項羽】


『大漢風』:胡軍
『鴻門宴』:馮紹峰
『王的盛宴』:呉彦祖
『楚漢伝奇』:何潤東



【劉邦】
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『大漢風』:肖榮生
『鴻門宴』:黎明
『王的盛宴』:劉燁
『楚漢伝奇』:陳道明



【虞姫】
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『大漢風』:楊恭如
『鴻門宴』:劉亦菲
『王的盛宴』:何杜娟
『楚漢伝奇』:李依暁



【呂雉】
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『大漢風』:呉倩蓮
『楚漢伝奇』:秦嵐
『王的盛宴』:秦嵐



【韓信】
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『大漢風』:呉樾
『鴻門宴』:安志杰
『王的盛宴』:張震
『楚漢伝奇』:段奕宏



【張良】
張良.jpg

『大漢風』:沈保平
『鴻門宴』:張涵予
『王的盛宴』:奇道
『楚漢伝奇』:霍青



【范増】
参謀ズ.jpg

『大漢風』:辛明
『鴻門宴』:黄秋生
『王的盛宴』:陶澤如
『楚漢伝奇』:孫海英


| 20:58 | 王的盛宴。/項羽と劉邦 鴻門の会。 | comments(10) | - |
喜従天降。
『ポリス・ストーリー レジェンド』、初日に観てきました。

お天気が災いしてか、初日なのにお客さんとても少なかったです。15時25分の回に比べたら18時15分の回のほうがまだしも入っていたけれど、それでも五分ぐらいの入りだったかなあ。このぶんだとロングランは期待できないかもだから、三度目も早めに行っとかなくちゃ。しかしやっぱり、スクリーンで観るのはいいもんでした。本作は香港版DVDでもう何度も観ていますが、印象ががらりと変わります。スクリーンのマジックってすごいね。いまいちのみこみづらかったところも日本語字幕のおかげで腑に落ちましたし。2回続けて観たら飽きるかな、と思ったけどぜんぜん飽きなかった。いわずもがなですがもっぱらこのひとを舐めるように愛でて飽きなかった(笑)。


武江.jpg

本作で劉燁さんが演じた武江(ウー・ジアン)の身辺にはやたらと蜘蛛のシンボルがちらついています。彼自身が身につけているチョーカーのチャームも銀の蜘蛛。というのが最後の最後でわかるんですが。自殺した父の借金の形に吉原に売り飛ばされもとい、父の残した借金を返済するために武江は泰拳(ムエタイ)の戦士になったという設定なのです。親父ゆずりの喧嘩好きにくわえて天性の才能が開花した武江は連戦連勝、いつしか「蜘蛛」と呼ばれる名うてのファイターになってゆくのです。

中国では蜘蛛は吉祥のシンボルであり、いっぽうで邪悪をもあらわすといいます。そういえば『SHERLOCK』(らぶ)シーズン1の第2話「死を呼ぶ暗号」に出てくる中国人の殺し屋のコードネームも「蜘蛛」でした。
本作では武江というキャラクターの二面性を蜘蛛に象徴させているような気もしました。パンフレットで、丁晟(ディン・シェン)監督は劉燁についてこんなことを言っています。

これまでの作品でも、悪役を人間的に描いてきたディン監督だが、本作のウー・ジアン役にはあえて、『アンダードッグ』でヒーローを演じたリウ・イエをキャスティングした。「普通の人間として、ウーを描くためには、外見からして典型的な悪人には見えず、ジャッキーとは対照的な魅力を持った俳優であることが最低条件だった」と語るディン監督。演技派として知られるリウ・イエは、ウーの背負った過去などの解釈も早く、抜群の演技力で、監督の要望に大きく応えることになった。


初日を観たある方が、ツイッターで本作の劉燁さんについて、
「善人にも悪人にも、策略家にも純粋にも見える」
なんて、おっしゃってくれていました。
なんかもう我が意を得たりというかんじで、とても嬉しうございました。
『硬漢/アンダードッグ』『硬漢2』につづいて丁晟監督との三度目のタッグとなる本作で、劉燁さんは、良い意味で監督の「手駒」として分を弁え、要求されたことにはきっちり応える、腹の据わった仕事をしていました。表情、視線、エロキューション、そこにこめられている感情と情報が(毎度のことですが)非常に濃厚で、しかし一見するとなんでもない芝居をなんということも無くさらりとやっている、みたいに映る。『藍宇』や『王的盛宴』などに比べると、撮影期間の短い本作では役作りにもさほど時間はかけられなかったでしょうし、シナリオ的にも武江という人物は、そんなに深く掘り下げて描き込まれているわけじゃ無い。「普通の人間」とはいえけっして平凡じゃ無い。わかりやすくエキセントリックなヒールでも無い。寧ろ地味だし堅実。だから難しい。拙い役者が拙い芝居でこれを演ったら映画そのものが台無しになりかねません。さっきエロキューションと書いたけど、この密室劇のサスペンスを宰領している要素のひとつは間違い無く劉燁さんの台詞回しの妙です。緩急とか抑揚とか自在。こんなふうに台詞を言えるひとだったのかといまさらながらメカラウロコですまんかった劉燁さん。本作は吹替版も同時上映されていますが、私はそっちはたぶん観ないでしょう。声優さんがどんなにお上手だったとしても、役者本人の声によるあの絶妙に豊かなニュアンスまではぜったいに再現できないです。吹き替えならば字幕が伝えきれないところまで伝わるし理解できる、というのは確かにそうですがでもそんな「理解」よりも惚れた役者の生声のマジックに魂つかまれる2時間の愉悦のほうがどんなにか、ああどんなにか。

| 11:09 | 警察故事2013。/ポリス・ストーリー レジェンド | comments(6) | - |
蛟竜得雲雨。
あいにくの雨模様ですが。
本日はもとザ・イエロー・モンキーのドラマー菊地“アニー”英二さん47歳のお誕生日なんでございますがまあそれはいい(酷
それよりなにより言祝ぐべきは。


『ポリス・ストーリー レジェンド』、日本公開初日おめでとうございます!


公式ツイとFBでは公開10日前からカウントダウンが始まっていて、劉燁さんも2回登場しましたきゃーきゃー。2DAYSのやつはちょっと老三入ってますね。





昨日、映画ライター紀平照幸さんによる「笑いを封印したジャッキー・チェンの挑戦『ポリス・ストーリー/レジェンド』」というレヴューが公開されていまして、仕事の合間に読んでいたら最後の最後に、


悪役のウーに中国の名優リウ・イエをキャスティングすることによって、単なる勧善懲悪ではない深みのあるドラマに仕上げています。


という涙目フレーズがッ!
本作についてのいろんなレヴューを読んできましたが、まあほぼ100パージャッキーさんのことしか書かれていなくて、所詮ジャッキー映画の悪役なんてジャッキーさん迷からしたらあんましどうだっていいんでしょうよとか卑屈なきもちになっていただけに、公開直前にこう書いていただけたのはとんでもなく嬉しいです。見る目のある方はちゃんと見てくださっている。ありがとうございます紀平さん!
先日あたりからばかすか流れてるTVスポットに一瞬だけ映る名優さんの極悪ヅラを、いずれも様もおみのがしなく!






さて。
気管支炎と診断されて以来まじめにお薬を飲んで酒なんかむろん呑まず太極拳も八卦掌もお休みし早寝を心掛けてせいいっぱいおとなしくしていましたのに、再診のときに「むしろ悪くなっています」と宣告され、いきなりその場で抗生剤の点滴をすることになっちゃったのが先週の金曜日でした。東京にいらしているusakoさんを囲んで新宿で夜ごはんの会があったのですが泣く泣く棄権し。んで翌日も点滴通院するはめになり。点滴+経口とダブルで抗生物質大量摂取したために腸内のいい菌が死滅して数日下痢に苦しみ。でもおかげさまでどうにか復調してこの日を迎えることができました。抗生物質のせいでお酒もずーっとがまんしていましたが今夜は晴れて祝杯です。以前にも書きましたが2009年2月に私を胡軍さんに出逢わせてくれた想い出のハコ、日比谷のTOHOシネマズみゆき座で初日の今日は15時25分と18時15分の2回を観ます。『レッドクリフ』は15時40分の回だったので、『ポリス・ストーリー レジェンド』も15時台の回に敢えてしました。お席も同じところを予約しました。おセンチメンタルジャーニーにもほどがあってお恥ずかしうございますが、滅多に起きない巡り合わせなのでひっそり愉しませていただきます。このあとも仕事の許す限り劇場に通いたいなあと思っていて、もちろん地元ィ横浜でも観たいし、あと「巨大スクリーン“TCX”×最新音響システム“DOLBYATMOS”」で楽しめるTOHOシネマズ日本橋もはずせない。
御用とお急ぎで無い方はどうぞお近くの劇場にお運びくださいませ。劇場情報はこちら

| 10:36 | 警察故事2013。/ポリス・ストーリー レジェンド | comments(2) | - |
彼らが居た場所。
『チョコレートドーナツ』観た足で伊勢佐木町をぶらぶらしていて(それを「伊勢ブラ」と云うのだそうです)たまたま入った古書店で『天安門・撮影日記 1989.5.25〜6.8』という写真集をみつけました。著者は写真家・今枝弘一氏。
天安門事件のとき広場において虐殺があったか否かということについては諸説あって、広場では虐殺はいっさい無かったんだとか、広場以外ではあったとか、2011年にウィキリークスが公開した米外交公電によれば1000人以上の学生が殺されたとか、中国政府発表では死者319人とか。今枝弘一氏は、写真とそれに添えた文によって、ありもしない虐殺をあったかのようにミスリードしたということで、虐殺無かった説の人からは手酷く批判されています。

【参考】
「1989年天安門事件関係論文」
「天安門広場での死者はなかった─映画評論家町山智浩アメリカ日記」


そういうことはまあ措いて、『天安門・撮影日記』。
血塗れで横たわる学生さんとか凄惨な遺体の写真にびみょうに腰が引けたりもしつつ、シンミリと読みました。5月25日の天安門広場はまだのどかで、深夜のロックコンサートなども行われ、語弊を怖れずにいえばその風景はなんだか「フェス」のようでもありました。藍宇が居たのはこういうところだったのです。捍東のもとを去った藍宇は、ひっそりと傷心をかかえながらも、夢見がちな眸に熱を湛えたひとりの青年として、同じような青年たちとともに、ここにいたのですね。運命の相手である捍東も知りえない藍宇の時間。捍東が永遠に踏み込めなかった藍宇の、鉄の扉の彼方の領域。写真にとどめられている学生さんひとりひとりがみな藍宇のようにみえ、もしかしたらどっかに藍宇が写っているのじゃないかしらとかしょうもないことを思いながらちょっと泣いたりしながら、ページを繰りました。


あのときあの場所で、藍宇に遇っていたかも知れない彼ら。
或いは自らの心のなかに「藍宇」をたずさえていた彼ら。
25年経ったいま、どこで何をしているのでしょう。
息災でしょうか。恋はしたのでしょうか。仕事に就いたでしょうか。ごはんをおなかいっぱい食べているでしょうか。もう死んでしまったでしょうか。

彼と彼らが居た場所に、いつか立ってみたいと思っています。







『天安門・撮影日記 1989.5.25〜6.8』(今枝弘一著・話の特集刊)より

| 20:55 | 藍迷。 | comments(2) | - |
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