陸川監督、呉彦祖・劉燁・張震主演の『王的盛宴』が『項羽と劉邦 鴻門の会』という邦題でDVD化されることがきまったのは
2013年11月初旬。
指を折ってみれば3ヵ月ほどしか経っていませんが、なんだか疾風怒濤にいろんなことがあった気がします。DVD予約したり。新しい部屋探したり。ドリパスでぽちぽちしたり。2014年になったり。劇場公開決まって泣いたり。新しい部屋の契約ですったもんだしたり。荷造りしたり。シネマート六本木行ったり。引っ越したり。シネマート六本木行ったり。荷ほどきしたり。シネマート六本木行ったり。酒呑んだり。雪降ったり。DVD届いたり。雪降ったり。
気持ち的には「王的盛宴」というロックバンドのツアーを追っかけて東名阪移動してるみたいでした。そのツアーファイナル・尾張盛宴が先週末に名古屋で敢行されました。詳細とかおいしそうなお写真などは
主催者様のブログをご参照ください。丸投げでごめんなさい。
当日15日は皆さまご存じのようにとにかく雪がものすごくって。横浜なのに鬼狼が空飛んでんじゃねえかってぐらい完全雪国化していて。追突脱線するわ線路に木が倒れるわであっちこっちで電車止まりまくってて。だからっつってドタキャンする気なぞ毛頭無く(すくなくとも東海道新幹線は走っていた)、2011年に東北にボランティアに行ったときに買ったヤッケのずぼん穿いて(買っといてほんとに良かったです)、ふくらはぎあたりまで雪に埋もれながら暴風雨のなかどうにかこうにか地下鉄の駅にたどりつき、新横浜から1枚だけ指定券が残っていた30分遅れののぞみに滑り込んで静岡らへんまで来たら雪なんか影も無かった。ましろき富士のお山が藍天にくっきりときれいで、みとれました。
着いた名古屋も風は冷たかったけどすかっと晴れていて、ビリヤード台まで備えた(捍東のまぼろしが見えたのは私だけじゃないよネ!)ゴージャスなシアタールームで
コンパルさんのエビフライサンド(ずっとたべてみたかったの)なんていただいていたらつい4時間ばかりまえの暴風雨雪との戦いが現実のものともおもえなくなってきて。
参加された方から『藍宇』の劇場上映のみぎりのお話を伺ったり、日本でファンミなんか開催されちゃってた時代の、いまだ捍東の面影を宿すちょっと若かりし胡軍さんのお写真(ツーショとか、サイン入りとか)を見せていただいたりして、ますますあったまりました。ありがとうございました。おふたりとも悪天候を乗り越えて関東からいらしてくださっていました。自分もほんとうに来て良かったなあとしみぢみしました。
昼の部は『王的盛宴』と『美少年の恋』、おいしいディナーのあとの夜の部は『天堂口』が上映されました。しかし自分、上記のような疾風怒濤ツアーで疲れが溜まっていたらしく、『天堂口』上映してる途中で体調がちょっとバッドなことになり。クソなまいきでクソかわいい大剛(劉燁さん)をスクリーンで拝める貴重なチャンスを半分がたふいにしてしまったことが痛恨のきわみ、悔やんでも悔やみきれません。『天堂口』のころはなんだかおひげが似合わない姫だなあ宝塚の男役のひとみたいだ、などと思っていたが『王的盛宴』ではもっさりー髭姫様もすっかり板についた劉燁さん。あらためてこの2作連続上映オフなんかも、敢行してみたくなりました。
『王的盛宴』こと『項羽と劉邦 鴻門の会』、劇場公開されはしたものの、いわゆるパンフレット的なものがまったく無かったです(チラシはあったが)。どうせ作ってもらえないだろうな、とは思ってました。作ってもらえないんだったらじゃあパンフレット的なものを自分で作るべかと、
『藍宇』と同じくnohanaさんにお願いして、尾張盛宴のおみやげに、王的フォトブックをこさえてみました。
たいしたものでは無いんですけど、まだ10冊ぐらい手許にありますんで(バレンタイン向けキャンペーンでおやすくなってたの)、ご希望の方がいらしたらメール下さればお送りします。個人のおたのしみのためにこそこそ作ったものですので、もちろん無料でございます。
尾張盛宴二日目の16日は、熱田神宮へ『王的盛宴』日本公開御礼参り→
ロジウラのマタハリさんでおいしいランチ→徳川美術館のお茶室で聞香の体験講座を受講という、これまた充実の一日でした。とくにはぢめての聞香は愉しかった。香をかぐことを「聞く」といいます。最初に「花」「月」と名づけられた香を試し聞きし、そのあとランダムに選び出したふたつの香を焚き、それを聞いて、それぞれが「花」か「月」かを当てるという典雅な遊び。「月・月」と聞いたのですがどっちも正解でした。住宅ならびに経済的事情により長唄三味線の稽古を中断して久しく、ちゃんとしたお座敷で毛氈の上に正座というのはなんだかお稽古の時間を思い出してなつかしく、背筋がのびてたいへん気持ちが良かったです。中華もすきだけど、やっぱり「和」がだいすきなんだよなあと、そのあと徳川美術館の収蔵品の大名道具を観賞しながらも、実感してまいりました。
帰途に就く際、名古屋駅で、
前回来たときにはぼさっとしてるうちに目の前で売り切れて涙を呑んだ
ぴよりん執念でゲット。
ぴよぴよ(王侯将相 寧有種乎)!
ぴよぴよ(王侯将相 寧有種乎)!!
ぴよぴよ(王侯将相 寧有種乎)!!!
絶賛さえずりまくる三王。
三羽いるのはmeiryさんとカエルさんもご一緒だったからです。
なかみがプリンなもんですから新幹線の揺れにあわせてプルプルするさまがあたかも鴻門の会の劉邦の如くで、ちょっと体調悪くなるくらいおもしろかったです。これをベースに項羽軍団バージョンぴよりんと劉邦軍団バージョンぴよりんを、それぞれ作ってみたい気持ちに駆られました。じじい劉邦ぴよりんはモンブランみたくマロンペーストの白髪にするとかね。秦王子嬰ちゃんぴよりんなんか、さぞや可憐でかわいらしかろうなあ。上半身と下半身をざっくり切断して(なかみにラズベリーソースかなんか仕込んで)おいしくいただきたいなあ。
そんなこんなでなにかと濃すぎる2デイズファイナルでした。きめこまかいおもてなしをしてくださった名古屋の皆さま、二日間お付き合いくださった皆さま、ほんとうにありがとうございました。不運なことに日本公開の機会を逸しかけた1本の映画をめぐって、これだけの時間と力をかけて、これだけの人が動くというのもなかなか稀有なことかと思います。そういう意味では『王的盛宴』というのはひじょうに幸福な映画かも知れません。日本版DVDもフラゲ日に届いてから絶賛ヘビロテちう。詰まっているものが濃厚なのであっちこっち掘り甲斐があって、観れば観るほど楽しいです。一昨年の秋、神奈川大学生涯学習・エクステンション講座「中国の新しい姿をひもとく」というので水野衛子さんにお話をうかがったとき、『王的盛宴』はじつはその年の東京国際映画祭で上映される予定で、それにあわせて字幕翻訳を進められていたと聞きました。結局は某ちっこい島問題がこじれたせいでだめになっちゃったみたいです。なのでこたびの日本版の字幕も水野さんのお仕事かと思っていたらそうじゃなく、神部明世さんという方で。調べてみたら、昨年大阪アジアン映画祭でグランプリを獲った余男さん主演の『親愛』の字幕翻訳も担当されてます。のみこみづらい映画ではありますが、すごくわかりやすい訳をつけてくださって、いいお仕事だったと思います。DVDは先週からレンタルショップの店頭にも出ていますので、御用とお急ぎで無い方はぜひ、お手に取ってみてください。お財布に余力があれば買ってください(笑)。そんでもって、
「この、髭もっさりーだけどまつげの長い劉邦役の仔はちょっとええな」
と思われたらぜひ!『藍宇』とか『藍宇』とか『藍宇』なんかも、ご覧いただけると嬉しいです。