蛇果─hebiichigo─

是我有病。

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tuxedo junction, where i want be.

肩と胸板が無きゃ着こなせないお洋服なのさ。
その着こなしの好例をば。



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濃藍のヴェロアの上着に緞子の胴衣。
本紫のポケットチーフちらり。
眼鏡も同色で。

「気に障る」と書いて「気障」と読む。

なにしろ気合十分な御支度。
ご存分に愉しんでいらっしゃいませ、旦那様。


素敵お写真満載の素敵スライドショウはどうぞこちらへ



この胡軍さん見ていたら、グレン・ミラーで有名な、だいすきなマンハッタン・トランスファーのカヴァーによるライヴ・ヴァージョンの“Tuxede Junction”が脳内ぐるぐるしました。





20世紀初めのアラバマ州バーミンガム。
黒人の社交場として鳴らすとある通りに同名の服屋があって、路面電車でやってきた黒人たちはそこで仕事着をタキシードに替え、めかしこんでナイトクラブに繰り出したんだとか。
「めかす」は「粧す」と書きます。あんまり良い意味で使われない表現なんですけど、でも私は素敵な言葉だと思います。女王蜂のアヴちゃんもよくつかっているしね。奇しくも週末、土曜の夜は彼女たちの復活GIG@SHIBUYA AX。ドレスコードはふたたびの「白」。さてなに着ていこう?

めかしこむこと。
身を飾ること。
おしゃれをすること。
一生大事にしたいね。

| 20:09 | Hu Jun(胡軍/フー・ジュン) | comments(7) | - |
英雄的電影完成電影的使命・大尾張大盛宴始末。
陸川監督、呉彦祖・劉燁・張震主演の『王的盛宴』が『項羽と劉邦 鴻門の会』という邦題でDVD化されることがきまったのは2013年11月初旬
指を折ってみれば3ヵ月ほどしか経っていませんが、なんだか疾風怒濤にいろんなことがあった気がします。DVD予約したり。新しい部屋探したり。ドリパスでぽちぽちしたり。2014年になったり。劇場公開決まって泣いたり。新しい部屋の契約ですったもんだしたり。荷造りしたり。シネマート六本木行ったり。引っ越したり。シネマート六本木行ったり。荷ほどきしたり。シネマート六本木行ったり。酒呑んだり。雪降ったり。DVD届いたり。雪降ったり。
気持ち的には「王的盛宴」というロックバンドのツアーを追っかけて東名阪移動してるみたいでした。そのツアーファイナル・尾張盛宴が先週末に名古屋で敢行されました。詳細とかおいしそうなお写真などは主催者様のブログをご参照ください。丸投げでごめんなさい。


当日15日は皆さまご存じのようにとにかく雪がものすごくって。横浜なのに鬼狼が空飛んでんじゃねえかってぐらい完全雪国化していて。追突脱線するわ線路に木が倒れるわであっちこっちで電車止まりまくってて。だからっつってドタキャンする気なぞ毛頭無く(すくなくとも東海道新幹線は走っていた)、2011年に東北にボランティアに行ったときに買ったヤッケのずぼん穿いて(買っといてほんとに良かったです)、ふくらはぎあたりまで雪に埋もれながら暴風雨のなかどうにかこうにか地下鉄の駅にたどりつき、新横浜から1枚だけ指定券が残っていた30分遅れののぞみに滑り込んで静岡らへんまで来たら雪なんか影も無かった。ましろき富士のお山が藍天にくっきりときれいで、みとれました。
着いた名古屋も風は冷たかったけどすかっと晴れていて、ビリヤード台まで備えた(捍東のまぼろしが見えたのは私だけじゃないよネ!)ゴージャスなシアタールームでコンパルさんのエビフライサンド(ずっとたべてみたかったの)なんていただいていたらつい4時間ばかりまえの暴風雨雪との戦いが現実のものともおもえなくなってきて。
参加された方から『藍宇』の劇場上映のみぎりのお話を伺ったり、日本でファンミなんか開催されちゃってた時代の、いまだ捍東の面影を宿すちょっと若かりし胡軍さんのお写真(ツーショとか、サイン入りとか)を見せていただいたりして、ますますあったまりました。ありがとうございました。おふたりとも悪天候を乗り越えて関東からいらしてくださっていました。自分もほんとうに来て良かったなあとしみぢみしました。
昼の部は『王的盛宴』と『美少年の恋』、おいしいディナーのあとの夜の部は『天堂口』が上映されました。しかし自分、上記のような疾風怒濤ツアーで疲れが溜まっていたらしく、『天堂口』上映してる途中で体調がちょっとバッドなことになり。クソなまいきでクソかわいい大剛(劉燁さん)をスクリーンで拝める貴重なチャンスを半分がたふいにしてしまったことが痛恨のきわみ、悔やんでも悔やみきれません。『天堂口』のころはなんだかおひげが似合わない姫だなあ宝塚の男役のひとみたいだ、などと思っていたが『王的盛宴』ではもっさりー髭姫様もすっかり板についた劉燁さん。あらためてこの2作連続上映オフなんかも、敢行してみたくなりました。


『王的盛宴』こと『項羽と劉邦 鴻門の会』、劇場公開されはしたものの、いわゆるパンフレット的なものがまったく無かったです(チラシはあったが)。どうせ作ってもらえないだろうな、とは思ってました。作ってもらえないんだったらじゃあパンフレット的なものを自分で作るべかと、『藍宇』と同じくnohanaさんにお願いして、尾張盛宴のおみやげに、王的フォトブックをこさえてみました。



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たいしたものでは無いんですけど、まだ10冊ぐらい手許にありますんで(バレンタイン向けキャンペーンでおやすくなってたの)、ご希望の方がいらしたらメール下さればお送りします。個人のおたのしみのためにこそこそ作ったものですので、もちろん無料でございます。


尾張盛宴二日目の16日は、熱田神宮へ『王的盛宴』日本公開御礼参り→ロジウラのマタハリさんでおいしいランチ→徳川美術館のお茶室で聞香の体験講座を受講という、これまた充実の一日でした。とくにはぢめての聞香は愉しかった。香をかぐことを「聞く」といいます。最初に「花」「月」と名づけられた香を試し聞きし、そのあとランダムに選び出したふたつの香を焚き、それを聞いて、それぞれが「花」か「月」かを当てるという典雅な遊び。「月・月」と聞いたのですがどっちも正解でした。住宅ならびに経済的事情により長唄三味線の稽古を中断して久しく、ちゃんとしたお座敷で毛氈の上に正座というのはなんだかお稽古の時間を思い出してなつかしく、背筋がのびてたいへん気持ちが良かったです。中華もすきだけど、やっぱり「和」がだいすきなんだよなあと、そのあと徳川美術館の収蔵品の大名道具を観賞しながらも、実感してまいりました。


帰途に就く際、名古屋駅で、前回来たときにはぼさっとしてるうちに目の前で売り切れて涙を呑んだぴよりん執念でゲット。


ぴよぴよ(王侯将相 寧有種乎)!

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ぴよぴよ(王侯将相 寧有種乎)!!

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ぴよぴよ(王侯将相 寧有種乎)!!!

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絶賛さえずりまくる三王。


三羽いるのはmeiryさんとカエルさんもご一緒だったからです。
なかみがプリンなもんですから新幹線の揺れにあわせてプルプルするさまがあたかも鴻門の会の劉邦の如くで、ちょっと体調悪くなるくらいおもしろかったです。これをベースに項羽軍団バージョンぴよりんと劉邦軍団バージョンぴよりんを、それぞれ作ってみたい気持ちに駆られました。じじい劉邦ぴよりんはモンブランみたくマロンペーストの白髪にするとかね。秦王子嬰ちゃんぴよりんなんか、さぞや可憐でかわいらしかろうなあ。上半身と下半身をざっくり切断して(なかみにラズベリーソースかなんか仕込んで)おいしくいただきたいなあ。


そんなこんなでなにかと濃すぎる2デイズファイナルでした。きめこまかいおもてなしをしてくださった名古屋の皆さま、二日間お付き合いくださった皆さま、ほんとうにありがとうございました。不運なことに日本公開の機会を逸しかけた1本の映画をめぐって、これだけの時間と力をかけて、これだけの人が動くというのもなかなか稀有なことかと思います。そういう意味では『王的盛宴』というのはひじょうに幸福な映画かも知れません。日本版DVDもフラゲ日に届いてから絶賛ヘビロテちう。詰まっているものが濃厚なのであっちこっち掘り甲斐があって、観れば観るほど楽しいです。一昨年の秋、神奈川大学生涯学習・エクステンション講座「中国の新しい姿をひもとく」というので水野衛子さんにお話をうかがったとき、『王的盛宴』はじつはその年の東京国際映画祭で上映される予定で、それにあわせて字幕翻訳を進められていたと聞きました。結局は某ちっこい島問題がこじれたせいでだめになっちゃったみたいです。なのでこたびの日本版の字幕も水野さんのお仕事かと思っていたらそうじゃなく、神部明世さんという方で。調べてみたら、昨年大阪アジアン映画祭でグランプリを獲った余男さん主演の『親愛』の字幕翻訳も担当されてます。のみこみづらい映画ではありますが、すごくわかりやすい訳をつけてくださって、いいお仕事だったと思います。DVDは先週からレンタルショップの店頭にも出ていますので、御用とお急ぎで無い方はぜひ、お手に取ってみてください。お財布に余力があれば買ってください(笑)。そんでもって、
「この、髭もっさりーだけどまつげの長い劉邦役の仔はちょっとええな」
と思われたらぜひ!『藍宇』とか『藍宇』とか『藍宇』なんかも、ご覧いただけると嬉しいです。

| 12:33 | 王的盛宴。/項羽と劉邦 鴻門の会。 | comments(12) | - |
搬家。──『藍宇』其の燦拾勒
一週間まえ。
仏滅の節分に家移りをして、大安の立春から新しい部屋で生活を始めました。

2014年は1月31日が春節でした。いつもなら除夕(=大晦日)に餃子をつくってお祝いしたりするんですが今年はさすがにその余裕が無かったです。人生でこれが七度目の引っ越し。七度という数字が多いのか少ないのかよくわかりませんが、何度やってもしんどいものです。前後数日はひとに会うたび、ありがとうございますとすみませんとよろしくお願いしますばっかり言ってたような気がします。

七度目がこれまでとちがったのは、「『藍宇』を伴っての家移り」という点でした。『藍宇』が呼び水になってこの4年半のあいだに増殖した中華関係の映像ソフトと書籍がそらもう馬鹿にならない量で。それらをもくもくとダンボールに詰め込みながらふと、

陳捍東の結婚によって《北欧》をでなければならなくなった藍宇も、たったひとりでの家移りってものを経験したんだな。

なんて思いました。

あの子の荷物は自分に比べたら遥かに少なかった。
いつ別れを告げられてもいいように傷が浅くてすむように愛しすぎないように。
身も心もゆだねきっているようでいて、やはり気持ちのすみっこで、ずっとそういうことを考えていたのだろう。
あのときの藍宇の身軽さがその証左みたいで、身軽な儘に先に逝く予感が無意識ながらもあそこの彼にはすでにあったような気がして、やりきれない気持ちになって涙がぽろぽろでた。
ダンボール梱包ぢごくの只中だけどやっぱちょっと『藍宇』観ずにはおられない、と思ったけど。
『藍宇』のDVDは疾うにダンボールの底の底のほうに埋もれて行方知れずになっておりました。

2月8日の土曜日は、春節ムウドの横浜中華街に祝舞遊行というパレードをみにいくつもりでしたが雪に降りこめられて外出がかなわず(パレードも中止になり)、終日荷ほどきに専心しました。せめて景気の良い音楽でもかけようとおもってiTunesをシャッフルにしたら最初にかかったのがチャーリー・ヘイデンの“Spiritual”だった。

なんだかんだで音楽を聴く余裕も無くって、新しい部屋に流れた、それが最初の音楽でした。
懐かしいイントロに荷ほどきの手がとまって、やっぱり涙がぽろぽろでた。


この四月で築40年になるマンションは家賃が安くて広くて見晴らしが佳くって朝日が綺麗なのが取り柄だけど(なので「朝日楼」と名づけました)、古くてあちこち傷んでいて買い物は不便だし一筋縄ではいかない住みづらさがある。捍東の庇護を離れて藍宇が暮らしたあの美しい部屋だってなにもかもが快適とはいかなかっただろうし、でもきっとあの子は諸々の不便さを乗り越えて、いろんなとこをひとつひとつケアしながら、最期のあの朝まで、丁寧に、ささやかに、日々の暮らしを楽しんで生きていたろう。


2001年2月10日に『藍宇』という映画が撮了して13年の今夜。
新しい部屋で最初の『藍宇』を観ます。


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●2011年2月10日 地久天長。──『藍色宇宙/MAKING BLUE』
●2012年2月10日 後朝。──『藍宇』其の弐拾弐
●2013年2月10日 人人平安。──『藍宇』其の燦拾貳

| 21:22 | 藍迷。 | comments(6) | - |
春節的快楽。
個人的には本日、この作品の劇場公開を以て新しい年が到来しました。






初日の初回を観てまいりました。
朝方東武線が事故ってその影響で日比谷線も遅れていて、早めに出たのに六本木に着いたら10時20分を回っていました。シネマートさんの受付には『項羽と劉邦 鴻門の会/王的盛宴』のチケットを求めるひとが長蛇の列を成し押すな押すなの大盛況にちがいないわああ急がなくっちゃあおまけのお写真もらえなくなってしまううううと小走りで駆け込んだロビーはしかし、初春の日差しに照らされて、閑散としておりました……。
思った以上にお客さんいなかったけど、お写真もらえたから良しとするわ。





何度と無く観ている作品ですが、スクリーンで鑑賞することで印象は刷新されます。日本語字幕のおかげで簡体字幕ではのみこめなかったところが腑に落ち、お話の流れがスムーズに頭に入ってきました。秦末楚漢史に名を残す英雄群像を描いていますが、上のフライヤーが謳っている「アクション・エンターテイメント」とは趣を異にする物語です。異質で異形で無惨で、しかしその裏にこめられた、二度と戻らない青春への哀惜がせつない。
おだやかな春の光のなかに置いてみれば、存外似合ってしまうんだなあ。


なんていうのも、劇場で観ればこその発見だったと思います。
| 18:03 | 王的盛宴。/項羽と劉邦 鴻門の会。 | comments(13) | - |
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