蛇果─hebiichigo─

是我有病。

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王的拾遺22・始末。
今年の3月に支度がどうやら調いまして。
それから10日ばかり経って、開宴の運びとなりまして。
さらに8ヵ月を経て本日11月29日、宴まさに酣。

『王的盛宴』、公開と相成りました。
おめでとうございます。


この8ヵ月、というか11月の声を聞いてから今日までのほぼひと月は、毎日がまつりというか、個人的に狂騒でした。
記事だの動画だのをこまめに追っかけて収集して貼りつけるといったことをつねひごろさほど熱心にやっていない人間です。そんな人間が管理運営しているここもまた、情報収集・公開をやりたいがために立ち上げた場ではありません。怒濤の蔵出しに無言で嬉しい悲鳴的なものをあげつつも、取捨選択にちょっと試行錯誤したりもした。
迷いも悩みも無いように思われていそうですが、与太郎なりにけっこう迷うし悩むし考えます(笑)。

でも、迷ったり悩んだり考えたりしたおかげでなにかと初心に返る的な気持ちが発動したりしたし、『王的盛宴』を経て『藍宇』という映画と劉燁という役者がますますすきになったし、なんであれなにかを「書きつけたい」という欲望と情熱を、あらためて強く自覚したりしました。
いろいろなことを見つめなおすという意味で、たいへんにすてきな修行の時間だったと思います。

ちなみに「拾遺」とは、
「洩れているものを拾い補うこと。特に、ある書物に収録しそこなった作品・話などを拾い集めること」
という意味のほかに、
「君主を輔(たす)けて、その過失を補うこと。また、古く中国で、君主の過失をいさめる官」
という意味ももっています。
ふたつの意味をこめてちっちゃいカテゴリ名にしました。
自分というものはそもそもが、「拾遺」のようなものを目指して動いているのかもしれないなあ、なんてことにも気づいてみたり。

しかし、開かれた宴はいつか闌け、そうして終わりを迎えます。
いずれ始末は、つけなければなりませぬ。

製作発表から殺青、そして公開まで、紆余曲折ありまくりだったこの作品が日の目をみる本日を以て、とりあえずの始末ということで良いのかなと、いう気がしています。
とかいいつつ「始末のその後」についてもまた、「拾遺」という括りで拾い集めていくかと思います。なにしろこの極東で、劇場の銀幕で、私たちがこの作品に逢えていない現状。
真の「始末」は、日本公開という日の目を見たその日に。


公開日記念に、角色海報全員集合。




劉邦呂雉。項羽虞姫。韓信蕭何。張良項庄。范増項伯。戚姫子嬰。虞子期曹無傷。夏侯嬰樊噲(たぶん)。


韓信蕭何、張良項庄、戚姫子嬰あたりが個人的に萌照でした。
生かされて殺されたひとと、生かして殺したひと。
殺そうとする側と、護ろうとする側。
無惨に踏み躙られるためだけに咲く花のようなふたり。

彼らについても、書いてみたいことがやまもりです。



で。
公開日直前に持ってけドロボー的な勢いで。

●王的盛宴 記録片之欲望之海
●王的盛宴 蛻変之美

ふたつめのやつでおら沙溢さんにちょっとほれてまったかも……。


あとこれ。昨日からことあるごとに観てるんだが何度観てもええわこれ。愛され導演。


さらに。
19日の記事で載っけたおもしろ動画の別バージョン的なものもぽろり。完全極北仕様ですので「無理。」って方は踏みとどまってください。

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| 11:04 | 王的盛宴。/項羽と劉邦 鴻門の会。 | comments(10) | - |
王的拾遺21・項羽愛劉邦?
昨日は、夕暮れどきになっていきなりこんならぶいものを投下されまして。





おかげさまでエンジンにもぼうぼう火が点きまして、ハードなお仕事もどうにか乗り切れました。
しかしああどうにか無事に乗り切れそうだなよかったよかった、という時分になって今度はこんなもんが投下されまして。






なにもかも一気にうわのそらになりまして。
どろどろに煮くずれた3日目のおでんのごときだめ人間になって愛のおでんづゆに溺れるわたし。
危うく今日の納品までもだめになりかけました。もえすぎたるは及ばざるが如し。

らぶいふたりは、北京の首映礼でのひとこまでした。
劇中の二王剣舞の再演があったみたいですね。昨日夕方のらぶい第一弾は、「え、ど、ど、どうすんの?」「えーと俺がこう動くからおまえはそっち」的な、段取り打ち合わせ的な愛の密談場面だったのでしょうか。どっちにしたってナマで拝めたひとがうらやましいったら無えよ。DVDとかブルーレイのおまけ映像には、入ってくれるのかなあ……。

●らぶい動画→
●らぶいスライドショウ→
●そんなにらぶくない(ゲストさんメインの)スライドショウも→
ご登壇ゲストさんのなかには關錦鵬監督のお姿もあります。お顔合わせてお話とかしたのかなー。


愛だのらぶだの浮かれぽんちなことを書いていますが、それはまあこの記事の見出しに腰抜かしかけたせいもあり。あとこんな記事も。


らぶいにもほどがあるんじゃないでしょうか。


その「愛」がどういうもんを示唆しているのだかは、映画観てないのでわかんないのですが。
しかしまあ『王的盛宴』の項羽と劉邦って水面下じゃきっとそういうことなんだべ、とうすうす思ったりしてはいた。
そういうことなんだべ、という不届きかつよこしまな前提でたのしく『項羽と劉邦』を読んだりなんかもしています。
でもだからつって白日の下に堂々と「愛」などと書かれてしまいますと、錦の御旗というか免罪符というか伝国の玉璽というか、そんなもんを頂戴したような気分になって図に乗ってしまいますし、嬉しい反面ちょっとさみしいような、複雑なきもちにもなってしまいますよ。
ま、極東の極北でそんなきもちになっちゃってずきずきしていたところで11月29日に映画観れるわけじゃないんだけどねはははははは(なみだめ


●公開に合わせて鳳凰網では一王一后+導演独占インタヴューも配信するもよう。




チャン・chang・張震+α様に教えていただいた腾訊首映礼の全容です。長いし字幕ついてないしいちいち入るSEがちょう鬱陶しいけど必見。→

●同じく教えていただきました北京首映礼の美麗画像集→







まつげが逆光だわ……。
| 16:06 | 王的盛宴。/項羽と劉邦 鴻門の会。 | comments(4) | - |
王的拾遺20・全員集合2。
「全員集合」と謳ってはいても、こないだは王的じじい大集合というとんだ事態でどうもすみませんでした。でも今日はちがーう!
『王的盛宴』導演+メインキャストのみなさんが騰訊(テンセント)主催首映礼の現場急襲@11月25日!!




その模様は魅惑のスライドショウでどうぞ→
お写真50点もあるお。
なにかとニヤニヤもえもえなショット満載だお。
と、満載なあまりちょっと私の語尾の目測も狂いがちだお。そんなニヤニヤもえもえのうちの一葉。




二王玩儿投壺之図。

「投壺(とうこ・つぼうち・つぼなげ)」というのはこういうものです。『レッドクリフ Part II』でも周瑜大都督がかっこよくキメておられましたっけね。お座敷遊びの投扇興のもとになったものだそうです。二王だけじゃなくて皆さん全員やらされたみたいですが、やっぱこのツーショですよ。ていうか青銅器ですよ。『特別展 中国 王朝の至宝』を拝見して己の青銅器萌えに自覚も新たな今日このごろ、二王の前のテーブルにある青銅器にすかさず釘づけなのは言うを俟たん。投壺の壺もですが、ちっこい爵(しゃく=三本足の杯)にもえじにです。

ちっこいといっても比較対象である二王のサイズがでかいのでたまたまちっこく見えるだけで、実物はそんなでも無いかもしれません。

『王的盛宴』カウントダウンまつりが始まってからというものの己の血中王様濃度がもりもりと上昇し、「俺様も爵で酒のんでみてえ!」という欲求がもりもりと兆してしまいました。実用に供せる爵がほしい。居酒屋とかにマイ爵持ってって王的盛宴ごっこしたい!
しかし調べてみても「インテリアとして作られた物なので、使用しないで下さい。内側は緑青が吹いてます。」などという注意書きがついていたりします。
緑青はずっと有毒といわれてきましたが、じつは毒性は無い(【参考】日本銅センター 緑青Q&A)。
ただし、天然の緑青だったら良いけれど、パチモン的な商品だとケミカルな塗装なんかが施されていることもあるのであぶない。やっぱり置いて眺めているのが無難なのか。ううむ悩む。そんな、しょうもないことで悩んでいるうちに締切がじわじわと迫ってまいりましたので粛々とお仕事に戻ります。



……なんつう殊勝なことを言ってるそばから蕭何さん捕獲!

●王的盛宴人物特輯之蕭何篇






「韓信を連れてまいりました」

血塗れの手で這ってきて、どん、てするとこ。
中の人の指が美しいぶん、とても不快で、とてもこわいです。



……そしてあっちゅうまに夕方ですが。
こつこつお仕事に励みつつふと微博なんか見てしまうわけですが。




らぶいふたり。

燃料すごくありがとう二王!!
まだまだぜんぜん終わらないけど日付変わっても終わらなさそうだけど明日納品なんだけどお仕事がんばるよ!!


| 11:17 | 王的盛宴。/項羽と劉邦 鴻門の会。 | comments(4) | - |
王的拾遺19・二次元。
なんか、
「游戏(=ゲーム)版」
とか書いてあるんですが。
げ・ゲームになっちゃってんの!?
詳細はまるでわかりませんが、とりいそぎその海報なるものを釣ってまいりました。







(画像はこちらさまの微博より)



劉邦さんがなんだかすでにモンスターの域でしたうううううう……。
でもでかいサイズのやつ→見たらそれなりにかっこよかったですううううう……。
ネットゲームとコラボするみたいですね。おうちですらゲームするのやめちゃったのに況んやネトゲをや。しかしちらりと覗いてみたい気もする。


【追記】
かわいいこいぬですらこんな凶悪キャラデザなんだもん、どうせ蕭何さんも悪の枢機卿みたいなことにされちゃってるんでしょうよ。でもとりいそぎこんなもんを微博でぽっけに入れてきました。箱のなかみはヨカナァンのなまく(ry



(画像はこちらさまの微博より)

搦め手からとはひきょうな(笑)。
自分がこのごろとみに蕭何さんと中の人に持ってかれてることなんて一から十までまるっとおみとおしね。だれかほかのひとらのQ版も描いてくんないですかー(駄々



そしてなまく、もといヨカナァン。

●王的盛宴人物特輯之韓信篇






かっこいいからお写真撮りまくっちゃった。


韓信は「戦場の詩人」だそうです。
なんだか司馬遼太郎的な形容。
あちらではふつうに言われていることなんだろうか。
張震さん演ずる韓信がいかにもナイーヴで青くてみずみずしくて、ティーンエイジャーの男の子(司馬さん的にいえば「書生」とか「小僧」とか)のようだなあと感じました。
『ブエノスアイレス』の、閉塞した愛の地獄のただなかにすらりと舞い降り、すらりと去ってゆく天使のような「チャンくん」。ちょっと彼が重なりました。
ナイーヴで青くてみずみずしい。
劉邦にも項羽にも、いえることかもしれないです。


それはなんて青春。


未だ逢えぬ、何時逢えるかわからぬ120分のこの映画、陸川監督の言葉を借りれば「終結我的電影青春期」であるこの映画が描いているのは、畢竟そういうものじゃないかしら。
画像だの動画だの情報だのが謳いあげる膨大な暗黒、酸鼻、陰惨。
それらを切り裂いて冥い道を照らす光のようなもの。未熟なもの。淡く儚いもの。容易く踏みにじられてしまうもの。
だからこそ「希望」といえるもの。


| 22:39 | 王的盛宴。/項羽と劉邦 鴻門の会。 | comments(2) | - |
王的拾遺18・ここの空気の甘い事。


もっと言って聞かせておくれ。
そしてわたしは
どうすれば好いというのかえ。


俺の傍へ寄ってくれるな。
俺の耳には、
この宮殿の中で羽撃きをしている
死の天使の翼の音が聞こえているのだ。




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| 11:22 | 王的盛宴。/項羽と劉邦 鴻門の会。 | comments(4) | - |
王的拾遺17・versus.
真打登場といいますか満を持してといいますかともかく





二王降臨しました。
ちょっと重たいかもしれませんが、どうぞ。

●王的盛宴人物特輯之項羽篇
●王的盛宴人物特輯之劉邦篇




| 17:38 | 王的盛宴。/項羽と劉邦 鴻門の会。 | comments(4) | - |
請別叫我硬漢。
と銘打った劉燁さんインタヴュー動画捕獲。




ごらんあそばせ→


バナーにある「“小生”変“萌叔”」というキャッチ。
「小生(xiaosheng)」とは、若い男優が演じる二枚目のことだそうです。
これまで彼はそういうお役を演じることが専らであった──というわけでも決してないと思うんだが、とにかくそういうものから「萌叔」にシフトするんだよと、いうことなんでしょうか。
「萌叔(mengshu)」は文字どおり「萌えおじさん」という意味らしい。調べてみたら堺雅人さんが「萌叔」と呼ばれているんだそうです。
なぁるほどぉ。
堺さんに体現してもらうと感覚的にものすごくわかりやすいですわ。ああいう生きものをして(ああいう生きものばっかじゃないと思うけど)「萌叔」と呼ぶわけなのね。
そんなこともお話しになっているのかもしれんけど、なにしろこの動画には字幕がついていないものですから、中文ヒアリング力ナッシングなわたしには内容ほぼなにがなんだかで、くちおしいったら無いのでございます……。
「硬漢と呼ばないでください」
と劉燁さんがおっしゃる、その意図するところも正しく理解できていなくてすみません。辞書によれば

硬漢/硬汉
意志堅固で利害のために節を曲げない男子。硬骨漢。感情に走らない人。

彼はそういうタイトルの映画にも主演なさっていますが、「硬漢」と「萌叔」が対置なのか。または硬直したイメージで語られたくないです、みたいなことなのか。「叫(jiao)」にもいくつかの意味があるのでかならずしも「〜と呼ぶ」じゃあないのかも。


動画冒頭でインタヴュアーが一問一答形式で12問の質問をぶつけています。
これまででもっとも難度の高かった役は「藍宇」。
そうお答えになっているのだけは中文ヒアリング力ナッシングの与太郎にもわかりました。

これだけ多くの作品、様々な役柄を経てなお、「藍宇がいちばん難しかった」と。

言われるだけでなんだかうれしい。
単細胞なもんですぜ、迷なんて。

これまでの出演作についてもいろいろ語っておられるようで、もちろんお話は『藍宇』にも及んでいるんだが、ああもういっそすがすがしいくらい内容がわからんよ。お宝がすぐそこに見えているのに落盤の下敷きになって息絶えていく墓泥棒のような複雑なきもちになって、机を叩いて泣いてしまいました。どなたかネイティヴなみの中文ヒアリング力をおもちの方、ご解説いただけましたらわたくし一生恩に着ます!

お話のあいまにそれらの作品の映像とかスチルとか、雑誌に載ったお写真などが随時挟み込まれていくのですが、画面作り的にヲタが夜なべしてこさえたスライドショウ的な手作り感もちょっとあったりして、ほこほこしながら拝見しました。

しかし、他の作品にくらべると『藍宇』からの(削除シーンも含めて)引用がやたらに多いような気がするのだが。
捍東との「新年快楽」チュウがどさくさまぎれに2回も出てきているのだが。
さらに『藍宇』プロモーション時の胡軍さんとのラヴいツーショなどまでも、登場しているのだが。

編集のひとも、もしかしたらご同病なのかしら。るるる。
引用されている作品はこんなかんじでしたかな。年度順にならべてみました。

那山那人那狗 藍宇 美人草 拿什么拯救你我的愛人 血色浪漫 琥珀 天堂口 満城尽帯黄金甲 硬漢 南京!南京! 不再譲你孤単 硬漢2 王的盛宴





10年以上を経ているせいもあるけれど、そればっかじゃ無い。このひと演じる役によってほんとに顔が変わるんですよね。
何度もいいますけど、藍宇の役作りって彼的にも空前絶後にものすごかったんだろう、と思います。だからこそいまだに「最有難度的角色」として、彼のなかに刻まれているのでしょう。
僅か34歳にして、ここまで充実した役者としての「歴史」を背負っていること。
なのにまだ「たった34歳」であること。

昨年10月に女王蜂というバンドのライヴをはじめて観て、

若いって悲しいな、と思いました。
これほどの才能。
舞台に生き舞台で死ぬために神様に選ばれてあることを無惨な迄に突きつけてくる稀有な生きもの。
そうしたものの変質。或いは霧消。
「若い」ということは、そういうことまでも包括している。もっと言えば死を。

という感想を抱きましたが
是非も知らずに惚れてしまう相手には、常にこうした感覚を持ちつづけています。
かつて同様のことを感じた吉井和哉さんはしかし、既にこの分水嶺は越えたと思うし、劉燁さんも越えつつあるのではないか。彼とは出逢ってたかだか3年半ですが、このインタヴュー動画を観ていると、身体の軸がぶれてないというか重心が低いところに落ちたというか、そういうものが伝わってくるような。おっしゃってることはわかってないんですけれども、まあそれこそ野性の勘で(笑)。
天命と才能に恵まれ、不断の努力によって常に己を磨き、なにより「明星=スター」であるということを自覚して引き受け背負っていく、背負えるだけの苛烈さと強さを備えた生きもの。
そういうものに粛々と変貌しつつあるのではないか。
そんな気がしました。




「そういうもの」の比較的御近影。
明度上げてみると趣が変わるし
みえないところもみえてくる。
そうか。こういう顔してたか。
なんつってほれなおしたり。




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| 10:57 | Liu Ye(劉/リウ・イエ) | comments(4) | - |
王的拾遺16・殺・宴。
まだ映画観てもいないくせに予感というか直感というか野性の勘といいますか、そんなものを根拠に申してしまってすみません。
『王的盛宴』における「鴻門の会」とは、みんなが知ってる楚漢戦争の歴史的名場面を抜き出してかっこいい俳優さんにかっこよく演じさせてかっこよく撮影してみました、なんつうものでは無いだろうと思います。

「鴻門の会」という事件のありさまそのものに『王的盛宴』を読み解く膨大な情報が隠されている。
というか「鴻門の会」こそが『王的盛宴』におけるもっとも重要なキャラクターなのであり、『王的盛宴』とは「鴻門の会」をなまなましく機能させる、ただそのためだけにつくられた物語なのではないだろうか。

ま、極端なことをいえばですが。
劇中の劉邦の台詞や陸川監督のお話なんかをうかがっていると、そんな気がしてくるのです。

この異常な場面を映像として立ちあがらせるために、撮影に2ヵ月を要したそうです。
たった8分の場面に。
眩暈がしてしまいます。
昨夜公開された以下の動画はそのメイキング──というかそのごくごく一端にすぎないものですが、「だれも見たことのない鴻門の会」の片鱗は伝わるのではないかと思います。
(ソース→





項羽のいとこ、項庄を演じる聶遠(Nie Yuan)さんの演武指導に当たってる女性(李倩さんという舞踏家だそうです)がめちゃくちゃかっこええ!!
こんなかっこええもの、太極剣(32式・42式→【参考】ダースベイダー先生による42式太極剣表演)を稽古中の身がまねしないでおられようかいやおられませーんすいませーん。『レッドクリフ』特別編で趙雲さんにぼうぼうした勢いで図に乗って深夜に剣抜いてまねしたばかもの参上。





こうしてみると聶遠さん、一瞬だけ樊少皇さんに似てる気がします。
そして絶体絶命わんこ!


以下は、そんなわんこもとい劉燁さんの現場でのオフショットをまとめたおもしろ動画です。
土曜日の夜あたりに流出していましたが、流用するにはあんまりはしたないじゃないかこれはちょっとどうなんですかいくらなんでもこれは、と自問自答をくりかえしておりました。
最終海報を上回るデンジャーな踏み絵だと思います。
昨夜の『レッドクリフ』特別編をごらんになって、

「このちょうかっこええ殿方はどなたなの!?」→「胡軍さんておっしゃるのね。ちょっとこの『藍宇』てのも観てみよう」→(号泣)→「胡軍さんも素敵だけれど、藍宇役のこのいもくさい子もかわいらしいわ。あ、劉燁っていうんだあ」

とかいうモデルコースで拙宅をご訪問くださった方がもしもいらっしゃったなら、ここから先は完全極北仕様ですのでお進みになるのはしばしお待ちいただいたほうが良いかもしれません。

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| 12:22 | 王的盛宴。/項羽と劉邦 鴻門の会。 | comments(4) | - |
初衷。
本日11月18日日曜日。
よる 8:58 〜 よる 11:39。
テレビ朝日『日曜洋画劇場』で、『レッドクリフ 特別版』がオンエアされます。

IとIIの二部作をジョン・ウー監督自ら編集して1本(2時間強)にまとめたインターナショナルバージョン。
ということでございます。
だいすきなあんなシーン取りこぼしてほしくないこんなシーンが無惨にさっくりカットという事態になっているのかもしれないなあと戦戦兢兢ではありますが、ともあれ本日夜は、『平清盛』を観たその足で10チャンネルへかちこみの予定です。

先週らあたりから、自分の半径5メートルぐらいでちっちゃく『王的盛宴』まつりが開幕しまして。
海報だ画像だ動画だインタヴューだ、怒濤の露出に塗れて浮いた浮いたの浮き草暮らしでございます。
ちょっとええかげんばかっぽくないですか。
しかしもとを正せばそれもすべてはここから始まっているのでした。
この作品を観に行って、「彼」に出逢ってしまったのだから。
その豪腕によって拉ぎ倒され、私の運命とやらは著しく方向転換を強いられてしまったのだから。

『藍宇』をみていて藍宇の運命に尋常じゃ無く共感し惑溺してしまったのは、つまりこのひとと自分との出逢い方が、陳捍東と藍宇のそれに大きく響いているせいもあるのでした。一度出逢ってそのときは別れ、再会を経ていろいろなものが大きく動き始めた、という点も同じです。
いまこのようにあさましい有病の身となりはててここに在って、彼方を見遣れば、そこにはいつだってこのひとが立っています。
鋼鉄の匂いを纏い返り血と汚泥に曇り、野性ひとつを頼みとして命ぎりぎりの生へと、雄々しく舵を切っていこうとするあなた。

あなたと出逢っていなかった人生は、もう、想像することすら叶いません。
なにもかもすべてが、あなたのせいなのです。
だから



あなたが責任を取ってください。








| 02:52 | Hu Jun(胡軍/フー・ジュン) | comments(4) | - |
王的拾遺15・ひとりと一匹。
酸鼻極まりない最終預告片をうっかり正視してしまい、暗澹としたきもちで悪夢の一夜をおすごしになったみなさま、ごきげんよう。
最終預告公開に先立つ15日深夜に流れた心あたたまるほのぼの記事がじつはあったのですが、それってもしかしたら予防線のつもりだったのかもしれません。
劉燁さんと霍思燕さんの、撮影時のエピソードです。




どうみたっておじいさんと美人のお孫さんですが、歴とした恋人同士です。
晩年の劉邦とその愛人、戚夫人。




高祖が漢王(漢中の王)になったとき、定陶の戚姫を得てこれを寵愛し、のちに趙の隠王となった如意を生んだ。

戚姫は寵愛せられ、いつも主上に従って関東に行き、日夜泣いてはその子を太子に代わらせようと願った。

呂后は、もっとも戚夫人とその子趙王を恨んでいたので(中略)ついに、戚夫人の手足をきり、眼をぬき耳をやき、いん薬(おしになる薬)をのませて厠室におらせ、これを人彘(ひとぶた)と名づけた。

司馬遷『史記I 本紀』(小竹文夫・小竹武夫訳/ちくま学芸文庫)より


「呂后本紀第九」に載っているお話です。
戚夫人の末路は昨夜の最終預告片どころじゃなく酸鼻を極めるもので、このお話を小学生時分に読んだ私はそれからしばらくのあいだ、お便所に行くのがこわくてたまらなかったものでした。
『王的盛宴』でも「人豚」まで描かれてしまうのか。
描かれてしまいそうな気もしてますますこわくてたまらない。

さて、記事によれば戚夫人を演じた霍思燕さんの撮影初日は、ながらく病の床に伏している劉邦にお粥を食べさせてあげるシーンだったそうです。
「お粥」といわれて昭和の子が脊髄反射で思い出すのは

「おとっつぁん。お粥ができたわよ」
「いつもすまないねえげっほんげっほん。ああ、おっかさんが生きていてくれたらなぁ……」
「それは言わない約束でしょ」

ハナ肇とザ・ピーナッツのコント(参考)です。「え、オマージュ?」とかうっかり思ってしまいましたがそんなわきゃあ無い(と思う)。
霍思燕さんはおとっつぁんもとい劉燁さんとのお芝居に慣れておらず(たしか初共演だったと思います)、何度やってもいまいち気持ちがこめられなくて満足のゆく演技ができず、こまってしまったそうです。
そこで陸川監督が言うことにゃ。

「劉燁がきみんとこのかわいいわんこの“らくだちゃん”だと思ってごらん。もしもらくだちゃんが病気になって死んでしまったら、きみはどういう気持ちになって、どういう目をするかな?」(意訳)

はっそうか! そうだわ、いまわたしの目の前にいるこのじじいは劉燁さんじゃない! わんこよ! うちのかわいいらくだちゃんなのよ!

陸川監督の説得力あるアドバイスを受けた霍思燕さんは、劉燁さんをらくだちゃんだと信じて、無事にそのシーンをやりとげることができたそうです。なにかこう、いやがらせに舞台で食べるおまんじゅうをすり替えられて、「おらこんなうめえもん食ったことねえだ!」と泥まんじゅう爆食いする北島マヤのようだな、と思ってしまいました。女優さんてすごいですね。それを受けた劉燁さんも、

「彼女の情愛のこもった目をみていると、まじでドッグフードをぼくにくれようとするんじゃないかしらと思って、ほんとうにおそろしかったです」(意訳)

と、語っておられます。
ちなみにこの記事をエキサイトで翻訳したところ、「久病卧床的刘邦喂粥的戏」を「長く患って床につく劉邦にかゆの劇にえさをやるのです」とか訳しやがるのでひっくり返りましたが、「喂(wei)」には「(動物に)えさをやる」という意味があるので、これってたぶん、ダブルミーニングなのですね。


んでまあめでたしなんですが、でも犬に「らくだ」て。
どういう名づけなんだろう?
「らくだちゃん」はいったいどういうわんこなんだろう?
要らぬ好奇心がむくむくしてしまって、霍思燕さんの微博へ伺ってみました。
そして発見。これが問題の「らくだちゃん」です。






ははははははははは。はははははははははは。
らくだ以外のなにものでも無いかもしれませんでした。

ちなみにこれはトリミング前のお写真。トリミングすればかわいいプードルちゃんです。バカでかいけど。
この一件で、なんだか霍思燕さんのことがちょっとすきになってしまいました(『西安事変』で胡軍さんとも共演しておられます)。
霍思燕さん、そしてらくだちゃんに、幸多かれ!

| 17:30 | 王的盛宴。/項羽と劉邦 鴻門の会。 | comments(4) | - |
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