蛇果─hebiichigo─

是我有病。

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世界でいちばん美しい顔。
皆さまご存じのことと思いますがThe 22nd Annual Independent Critics List of the 100 Most Beautiful Faces – 2011というのが先日発表されました。
日本からは蛯原友里ちゃんが92位、佐々木希ちゃんが71位に入ったということでした。
はいそうですかぐらいの興味しか無かったんですが、ときどきおじゃまさせていただいている「我想舒淇」さんに伺ったところ、舒淇さんが29位ランクインということを知りまして。


おめでとう、すうちゃん!(最近すっかりすうちゃん呼びです)


フロム『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳 精武風雲』

A tremendous actress… we only recently came across her in the fantastic compilation of short films, “New York, I Love You”. She enters the Top 100 at a very lofty 29.

tremendous
●(大きさ・量・強度が)ものすごい、途方もなく大きい
●非常に素晴らしい
●(人を震えさせるほど)怖ろしい、ぞっとさせる


ううむ。いろんな意味に受け取れる賛辞だな。2011年は「舒淇さん」という女優にけっこう傾いた年でもありました。これ観たせいです。身贔屓が強いもんですから胡軍さんや劉燁さんと共演したひとはたいがい好もしい目線で見てしまいます。舒淇さんなんか3度も共演してんだもの、ちょっともう他人なかんじがしない。でもそればっかじゃなく、女優さんとして佳いなあうまいなあと思います。『狙った恋の落とし方。/非誠勿擾』とか『百年恋歌/最好的時光』とか『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳/精武風雲・陳真』なんかも観ました。『百年恋歌』はかなりすき。



でまあ、世界でいちばん美しい顔ランキング29位の女優さん主演作つうこともあり、来年あたり、日本公開されたりしないかなあとか思うわけです。
つまりこれが。





基本的に、「泣ける」とか「感動する」とかいう方向でプロモートされている映画は、劇場へ観に行く気がしません。「バスタオル必携です」とかはしたないことをいわれると、もう、すっかり萎えてしまいます。
これもまあメロドラマといえばメロドラマ、難病ものといえば難病もので、たいへんロマンティックなお話ですが、甘いというより苦いかんじで、じつはそんなにめそめそしてもおりません。
ていうかポスターの方鎮東(劉燁)のジャケットの袖がやたら長くて彼氏のパジャマ借り着してるとしかおもえないのはなぜとか、そういうことに代表される不埒萌えで脳内いっぱいいっぱいです。ほんとすみません。でも大枠で「よい映画」であるというのは感想文にも書いたとおりです。
だから公開されてほしい。公開されてください。そして私らにまつりの季節をどうかプリーズ!
| 13:07 | 瑣屑。 | comments(4) | - |
茫茫人海。──『藍宇』其の拾九
冬至です。


太陽の力が一年でもっとも弱まる日。闇をくぐって再生へと向かいはじめる日です。
今日はとりわけお天気が悪いので朝なのにはや夕暮れのようです。
『藍宇』撮了から10年目となった2011年はいろいろなことがあり、いろいろなことを考え、いまも考えつづけていますが、それでも冬至はきました。出逢って三年目の冬至がきました。あんまりこういうことはやるべきじゃないのかもなと思いつつ、まあ冬至なのでスペシャルなのでちょっと浮かれていますので、御寛恕いただければ幸いです。
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| 11:11 | 藍迷。 | comments(12) | - |
世界の国からこんにちは。
ひとつ前の記事のコメント欄で『藍宇』フランス版のお話をしていて、そういえば現在この世界にどれほどのローカル『藍宇』DVDが存在するのかということについてはこれまであんまり考えてこなかったよね、と思いました。なので、調べられる範囲で、自分メモも兼ねてまとめてみました。

映像方式その他のデータについては手許にあるDVD並びに販売サイトを参考にしました。日本国内で再生できるDVDは、映像方式が「NTSC」、リージョンコードが「2」または「ALL」のものです。DVDプレイヤーによってはそうじゃない方式のソフトも再生できたりするようですが、基本的には海外版はPCで再生するか、リージョンフリープレイヤーを購入するという形がベターかと思います。価格は変動が大きいため記載していません。販売サイトへのリンクも入れてみましたが、商品によっては品切れまたは廃盤だったりもしますので、ご注意ください。


【JAPAN】




●映像方式:NTSC
●言語:北京語
●字幕:日本語
●リージョンコード:2
●再生時間:86分
●Amazon:

メイキング『藍色宇宙』+オリジナル予告編+胡軍・劉燁のインタヴューという40分の特典映像、ならびに浦川留氏によるテキストとカラースチルで構成されたリーフレットが入っています。過去には「台湾珍蔵版」というのも流通していたそうですが(ちょっとびみょうなおまけ付きBOXセット)、現時点ではこれがベストでありマスト、ってかんじかと思われます。
(※上記のリーフレットは初回生産版のみに封入されたものだそうです。情報どうもありがとうございました。リーフレット付きのものをご希望の場合は、中古などでその旨が銘記されている商品をお探しになってみてください)


【CHINA】




●映像方式:NTSC
●言語:北京語
●字幕:中国語(簡体字)
●リージョンコード:6
●再生時間:100分
●Quick-China:

映画冒頭のベッドシーンがざっくりカットされ、陳捍東と林静平の新婚さん+倦怠期場面、捍東が藍宇をお風呂でシャンプーする場面と雪の公園の場面が入れ込まれています。レアといえばレアでした。でも個人的にはこれを『藍宇』と呼んじゃいかんような気もしないでも無い。


【HONG KONG】




●映像方式:NTSC
●言語:広東語・北京語
●字幕:英語・中国語(繁体字)・中国語(簡体字)
●リージョンコード:3
●再生時間:87分
●YESASIA:

前にも書きましたが、広東語で元気いっぱいに会話をしたり、血の気がひくよな音程で“你怎麼捨得我難過”を歌う陳捍東と藍宇をたのしめる吹き替え付き。


【TAIWAN】




●映像方式:NTSC
●言語:北京語
●字幕:中国語(繁体字)
●リージョンコード:ALL
●再生時間:86分
●YESASIA:

同じ台湾版でも紙製アウターケース入り・映像特典で削除シーンとかMVが入ってるバージョンもあるようです。中華圏の商売がよくわかりません……。


【USA】




●映像方式:NTSC
●言語:広東語
●字幕:英語
●リージョンコード:1
●再生時間:86分
●Amazon.com:
※日本の密林経由でも購入できるそうです

米国では「広東語の捍東と藍宇」がデフォルトのようです。……とおもってたらしかし実際は北京語だったそうです。



【FRANCE】


[1]




●映像方式:PAL
●言語:北京語
●字幕:フランス語
●リージョンコード:2
●再生時間:86分
●Amazon.fr:

捍東と藍宇が仏語でジュテームゆってんのかな、とおもわず前のめりになってしまいましたが言語は北京語だそうです。ちぇー。


[2]






●映像方式:PAL
●言語:北京語
●字幕:フランス語
●リージョンコード:2
●再生時間:86分(92分?)
●PriceMinister:

フランス版その2。
藍宇の泣き顔ジャケほしいなあ。そればっかじゃなく裏には藍宇の寝姿with毛布画像までも。痒いところに手が届くサービスっぷりです。くわえて映像特典もいろいろと入っております。メイキング/關錦鵬監督へのPhilippe Valloisによるインタヴュー/ラジオ番組「中国の同性愛」/Nael Marendinによる北京の写真/フィルモグラフィ/予告編。監督インタヴューと「中国の同性愛」がすげえ気になります。再生時間ですが裏ジャケでは86分、リンク先だと92分です。謎です。謎ですがお買い得かも。


【ITALY】




●映像方式:PAL
●言語:広東語
●字幕:イタリア語
●リージョンコード:2
●再生時間:86分
●Amazon.it:

イタリア版もあったのかい。
なのに捍東と藍宇がティアーモじゃない。なんでイタリアくんだりまで来て広東語なの……。


【THAILAND】






●映像方式:PAL
●言語:タイ語・北京語・広東語
●字幕:タイ語・英語・中国語(繁体字)・中国語(簡体字)
●リージョンコード:3
●再生時間:87分
●eTHAICD.COM:

わーい、捍東と藍宇がタイ語ですよ。タイ語で「あいしてます」は「ポム・ラック・クン・クラップ」というそうです。でもそれよりもこの桃色がかった薄紫のジャケに尽きます。裏ジャケがなんかとんでもないことになりかけています。ジャケだけでもほしい。


【VIETNAM】
ヴェトナムでも販売されているようなんですが、これがヴェトナムオリジナル『藍宇』なのかどうか、よくわかりません。とりあえずリンクのみ。
●HanoiDVD:
| 16:28 | 藍迷。 | comments(7) | - |
歓迎光臨5。
2009年春。
胡軍さんと劉燁さんにはまりかけのときにまず固く心に誓ったのは、

──紙モノ(雑誌など)にゃ手は出すまい。

ということでした。
紙モノなぞに手を出したら最後、ただでさえ飽和しがちなお部屋のなか並びに押し入れのなかがいかがなことになるか、重々承知のすけなわたしでした。それでまあ、以来2年はどうにか誓いを守って生きてきた。たとえどれほど超絶うるわしいおふたりのグラビアが載ってたって、ネットで拾える画像でがまんをしていた。そう、今年の春までは。
關錦鵬監督と胡軍さんが『ELLE MEN』創刊号降臨なんてことにならなけりゃ、いまだに誓いを守ってストイックに生きていたはずでした。
でもって關錦鵬監督と胡軍さんで始まった『ELLE MEN』2011年最後のイシューに劉燁さん降臨なんてことになっちゃったらばもう奥さん。


無理でした。





お取り寄せをしてしまいました。
くそ高かったです。
くそ高かったけど、写真集のときにも思ったことですが、ネットで拾える画像と「リアルブツ」の飛距離ってやっぱりそれなりにあって。美しかったです。フォトジェニックでした。膝から下が半端無くなげえ。ああもっともっとよこしまなシチュでとことんいかがわしいポォズとらせてみたい。なにかと血迷ってしまひます。
血迷いついでに、





こんなお約束なまねをやらかしている『藍宇』迷は、世界中に何万人いるというのか。そんなにいないか。


ブツは渋谷にある香☆王さんのお店でお受け取りということにしたら、たまたまセール最終日と重なってしまって。重なっていたからといって、全品2割引だからといって、もうこれ以上冬眠前の栗鼠みたいに無闇に電視劇のDVDためこんだところでどうなるのだ自分よ。
と己を戒めつつ店内に入って2秒で『風語』と『剣侠情縁』と『詠春』つかんでレジに行きそうになり。あぶなかったです。
しかしこれは。こればっかりは。いまの私にこの餌をどうスルーせよと。






先日、池袋の某中華書店で「特典映像入ってます」というふれこみのバッタもんくさいDVDを買ったらば、特典映像なんかまんまと入っておらなくて。まあ、チャイナクオリティに騙された私がばかといえばばかなのです。でもやっぱり美人すぎる悪役・蛮ちゃん映像には溺れたい。そして溺れた。
蛮ちゃんきれい。
あたしのいい男アンテナは感度よすぎて半端無いダメージくらいました。






そうだ。『藍宇』台湾版もありました2点も。
ある、と認識した瞬間体温が軽く2度は上昇し、有病モード突入して2点とも買いたくなりました。台湾版もう持っているくせに、どうしてそこにブツがあればまた欲しくなってしまうのでしょう。つくづく迷の物欲はネジが数本外れていることよなあ、と思い知らされます。

| 23:23 | 瑣屑。 | comments(11) | - |
很“man”很酷。
なにかと出し惜しみ感の強かった胡軍さんのフビライ様@『建元風雲』ですが。
ここへ来たらいきなり很酷すぎる造型がぞくぞくと絶賛ぽろり。もとい解禁されはじめました。







かっちょいいわあ。
時代設定上、役者さんはやはり馬に乗るシーンが半端無く多いようなのですが、そのなかでもこんなことを言われていたりして、

在众多演员中要属胡军的骑马技术最好

そんなんあたりめーだろ。
とかちょっとふんぞり返ってしまうわたしであった。
馬といえば10月に中華街の古道具屋でこの杯に出逢い。



すきな男がみな午年の生まれなのでご縁を感じて速攻お持ち帰りしたのですが。
上の画像のフビライ様の鎧の胸にある馬の紋章とちょっと似てるかも、などと悦に入りつつワインいただいております。
さらに馬といえばフビライ様の愛馬であるらしい、この(藍宇似の)美人馬ちゃんです。





胡軍さんともとてもラブラブだそうです。いいなあ。撮影終わったら胡軍さんが個人的にお買い上げとか、お名前つけてあげてデレるとか、そういう蜜月展開てのはないのだろうか。なんかドラマ始まる前からこの子に思い入れてしまってもはや他人とはおもえません。馬も人も、どちらもご無事で撮影が終わりますよう。


【関連記事】
●胡軍さんインタヴュー→
●スライドショウ1→
●スライドショウ2→
| 12:13 | Hu Jun(胡軍/フー・ジュン) | comments(2) | - |
能空海。
『イップ・マン』を観たあとは詠春拳を習いたくなりましたが、『新少林寺』を観たいまは、少林七星拳を覚えたくてたまりません。なにかと影響されやすい体質ですいません。


寒い寒い雪の夜、劉徳華がかわいい小坊主といっしょに七星拳の稽古をするところが、しみじみと胸にしみる良い場面でした。修行ではあるのだが、ふたりの表情がなんとも穏やかで、そして楽しそうで。
流派とか、年齢とか、身体能力とか、技の巧拙とか。そういうものを越えたところに「武術」の精神はあるのだということを、とてもわかりやすく教えていただきました(それは『イップ・マン』もそうでした)。
自分が太極拳の稽古をよろよろとつづけているのは、競技会に出て点数や順位を競ったり、ある種の達成感を得たり、資格や段位を取って先生と呼ばれたいからじゃない。ただああいうところにいたいだけなんだよなあ。そういうことは、いわゆる「お教室」という場ではなかなか理解してもらいづらいのですけども。


そしてそんな、なにかと影響されやすい体質の私ですが、映画を観ていて気づけば「出家してえな……」などと呟いていたりもしました。
俗世と一線を画す場所にむやみと憧れる体質でもある上、髪形にしろ職掌にしろなにしろ「坊主」というものがだいすきです。でも丸太の上でY字バランスができないのでたぶん少林寺には入れてもらえません。とはいえ丸刈りにするだけだったら無理じゃないよね。候杰みたいに自分でちょきちょきやったっていいんだもんねちょっとトラ刈りになっちゃうけども。ということでいますぐにでもはさみを手にしてちょきちょきしたい衝動と戦いつつ、私を絶賛丸刈り隊に入隊させてくださったきれいなお坊さまたちへのラブを吐露。


浄能/呉京




呉京さんをはじめてみたのはニコさん目当てに鑑賞した『インビジブル・ターゲット』。「血も涙も無い」どころの話じゃない悪逆非道な武闘機械っぷりに震えあがった記憶もなまなましく。そのあと観た『カンフーサイボーグ』で「呉京=人間じゃねえ」的な誤解がますます増加の一途で。しかし『新少林寺』であざやかに裏切られました。浄能大師兄の凛と背筋の伸びた佇まい。清廉さ。誠実さ。あたたかさ。強さ。無惨でうつくしいあの果て方。これを男前と呼ばずして。まちがいなく彼の存在は本作の見どころのひとつです。ああもうなんだこのあまずっぱさ。私このひとのことを「兄貴」とか呼びたくない。そんなふうに馴れ馴れしく接したくない。憧憬とか敬服とか思慕、三歩下がってそういうものだけ抱きしめていたい。大師兄に認めてもらうために修行がんばりたいです。入門が無理なら寺小姓になってお仕えしたいです。お給仕したり、お召し物を繕ったり、お風呂でお背中を流してさしあげたりしたい。あと夜の御伽とか、ええ。そういうシステムは少林寺には無いかもしれんけど。


浄空/釋延能




旧芸名を「釋行宇(シー・シンユー)」。局地的に「しんちゃん」と呼ばれています。かわいいのでまねして「しんちゃん」と呼ばせていただいてます。最近芸名を「釋延能」に変えられ、それがどうしたことか本作パンフレットでは「シー・イェンレン」とカタカナ書きされています。中国語の「能(neng)」を「レン」と表記している件についてはやはり局地的に問題沸騰ですが、執筆者浦川とめさんがブログでその事情をお書きになっていますのでご一読ください→
それはともかくしんちゃん。もとい浄空師兄。パンフによれば「無鉄砲な性格だが、武術の腕は誰にも負けない命知らずの僧侶」です。でもちょっとドジで食いしんぼうです。夜な夜な黒装束で義賊やってるのが大師兄にばれて、「てへ。」みたいなところが死ぬほどかわいい。曹蛮の用心棒・索降図(熊欣欣)との一騎打ち、正しく「捨身」と呼びたいあの最期には心が震えました。「少林寺……不可辱!」という台詞は、ほんものの嵩山少林寺第32代弟子の口から出てこその重みだと思います。


浄海/余少群




死んだ子どもの手のなかにあった花に目を留め、哀憐の祈りを捧げる。その姿をキャメラがとらえて、そこから『新少林寺』という映画がはじまる。なんかすごく良かった。虐殺死体が転がる凄惨な戦場にあって彼だけがふんわりとよい匂いをさせていた。『花の生涯〜梅蘭芳〜』の花旦、『蒼穹の昴』の宦官とどちらも性を超越したような役だったし、『倩女幽魂』ではふつうの青年(かつて張國榮が演じた役)だったけど劉亦菲と絡むと百合臭くってたまんなかったし。そんな余少群さんですが、坊さんになったらひときわなまめかしさ増量されとった。青々とした坊主あたまとか、清げなうなじとか、華やかだけどいたましいような、少林寺というストイックな場に置いて見るには危険すぎるお色気だった。少年ともつかず少女でもない、青年と呼ぶにはどこか幼気で、でもそこそこ大人びたしっかりものだったりもするので、ちょっと混乱しましたいい意味で。避難するとき方丈に手を貸したりするあたり、おじいちゃんとお孫さん的でなんだか微笑ましく、だからなおさらこのひと殺さなくったっていいじゃんとおもったけど、「天下武宗」の少林寺を端的に象徴する能空海の三師兄はやはり少林寺と共に往生すべし、ということでもあるのでしょうか。



記事とは関係無いですが、ちょっとラヴいふたりがかわいいので。



| 13:57 | 電影感想文。 | comments(2) | - |
玉響の真実は捨て台詞の彼方。──『藍宇』其の拾八
重々ご承知でしょうが私は吉井和哉さんという音楽家がだいすきです。もう、呪われているんだろうという気すらする。私が鬼狼なら彼は無歓であるような。そんなようなひとです。すいませんおのろけです。その吉井さんが音楽誌のインタヴューでこんなことをいっていました。

アルバムの一番最後の言葉──それがその時に言いたいことなんだよね、きっと。
一番言いたいこと。

はあそうですかとバンド時代からソロに至るまでのすべてのアルバムをひっぱりだし、最後の楽曲の最後の歌詞を抜き書いてしみじみながめてみました。なるほど確かにそうだろうという気がしました。
吉井さんの奴隷であるところの私の人生において「吉井さんの次にすき」という位置を不動のものにしつつある『藍宇』について考える上でも、この吉井法則はあてはまるんではないだろうかと、ふと思いました。


映画『藍宇』で、生きている藍宇が最後に口にする台詞は、

我是怎么可能这么喜欢你的?

というものです。
日本語字幕では、
「こんなに好きだなんて」
となっています。そのまま訳せば、

「私はどうしてあなたをこんなにも好きになることができるのでしょうか」

ってかんじになるんでしょうか。ちょっと違っているかも。
捍東との(観客が知る限りでは最後の)セックスのあとで藍宇はそうつぶやき、それきりもう、なにもいわないまんままつげ伏せて部屋を出ていき、あっさり死体になってしまいます。
正確にいえばこれは『藍宇』という映画の最後の台詞ではありません。でも「藍宇という物語」は間違い無くこの台詞で終わります。なので、藍宇という男の子が結局いちばんいいたかったことはこれなのだ、ということになる。上記の吉井法則に則ればね。
そしてこれは邪推だけど、もしかしたら關錦鵬は『藍宇』そのものもこの台詞で終わらせたかったんじゃないだろうかという気も、ちょっとしていたりする。


どうしてわたしはあなたのことをこんなにすきになれるのかしら。






他愛もない、うたかたみたいな問いかけ。そんなこといわれたって答えようもありません。だけど恋をすればだれだってそう問わずにはいられない。『藍宇』というものを知ったばかりのころも、こうして埒も無い言葉を綴っているいまも、私はいつだって
「我是怎么可能这么喜欢你的?」
と問いつづけています。
なんと答えればよいのかわからない、その問いの彼方にある答えを探して。


この世界にあらわれたとき、
「大哥、您去过美国嗎?」
と藍宇は問い、その生を閉じるときにも
「我是怎么可能这么喜欢你的?」
と問うた。
藍宇という夭折者の言葉は疑問形で始まって疑問形で終わる。これといった答えがほしいんじゃないのでしょう。ただ無心に問うばかり。言葉というかたちで。まなざしで。藍宇は最初から最後までそういうもので、問うという行為以外にじつは何んにも無いんじゃないかしらという気がする。問われた私、あるいは陳捍東はその何んにも無さに搦め捕られて立ち竦み、「藍宇という物語」を読みなおそうと何度でも何度でも、くりかえしその冒頭に立ち戻る。
この物語を終わらせたくない。
藍宇が死んで終わる物語なんか要らない。
「我是怎么可能这么喜欢你的?」が藍宇のそして『藍宇』の、最後の言葉であってほしい。
けれどもそうはならなくて藍宇はやっぱり死ぬし、『藍宇』を観ているかぎり私たちはかならず藍宇の死に立ち会う。


捍東と藍宇の最後の朝と最初の夜が対聯であるなら、「我是怎么可能这么喜欢你的?」に対するのは映画冒頭の捍東の独白。

那天早上你走了以后、我一直为你悬着心、一直覚得你仍然在我身边。你知道嗎?

あの朝おまえが行ってしまってからも、俺はずっとおまえを想い、おまえを感じている。


陳捍東がいちばんいいたかったことも、煎じ詰めればこれなのかもしれません。
藍宇の最後の言葉と捍東の最初の言葉。なにか相聞のようでもあり。
問いと答えは永遠にすれちがい、こだまのように響きあう。残響の向こうで仄かにわらう青年。あるのかないのかもわからぬ道。誘われ、追いかけて、閉じられた記憶の森に踏み入ってみる。
そしてずっとずっといつまでも、嬉々として踏み惑っている。


参考:《藍宇》劇本
| 13:30 | 藍迷。 | comments(6) | - |
his glorious decade.
1個前の記事では全体的に油断しまくりなめがねダッフルショットを載せてしまいまして、あいすみませんでした。
それはそれでたいそうかわいらしい劉燁さんでしたが今日は油断してないですよ奥さん。
めっちゃ美人ですよ奥さん。
2011年3月創刊号で關錦鵬監督+胡軍先生が表紙奪取したELLE MEN、12月号では劉燁さんが表紙降臨。記事は彼の役者としての十年を総括して振り返る的なことみたい。ううむ。マストバイかもしれん。





●関連記事→とかなど。


ちょっとアーティフィシャルに過ぎるかんじだけれど、こういうお人形さんぽい作り込みはわたくし大好物です。チェックのシャツとか着せられとるし(関連記事参照 
性的な女に翻弄されて困り顔というあたりは『愛出色』でもそうだったが、ある意味お約束というか、やっぱり似合うとおもいます。性的に相手を翻弄して困らせるキャラクターつうのもいずれ演じていただきたいです。困らせる相手はもちろん胡のつくひとが断然良いです言霊さま。
| 14:45 | Liu Ye(劉/リウ・イエ) | comments(4) | - |
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