1906年香港から、2010年日本へ。
神のいない月から神のいない月へ。
帰還果たしました。
7月にDVD鑑賞して書いたこの映画の
感想文で私は
「名も無いひとたち」
という表現をつかいましたが、それは大きな誤りでした。
「名も無いひと」なんてものはこの世界にひとりだっていない。
それゆえに路傍に斃れていった彼らひとりひとりの末期の姿に、彼らひとりひとりの「名前」が、くっきりとした文字で記されていくのだと思います。
大きな力に薙ぎ倒され、「名も無い」と、簡便にひとくくりにされてしまう数多のひとたち。
いま私が見上げているこの空と同じ空を、いつかどこかで、同じように見ていたひとたち。
そのひとたちの胸にそれぞれにあっただろう喜びとか悲しみとかくやしさとか希望に、思い馳せること。
彼らがそれぞれの血で購い、路傍に刻みつけた名前を知ること。
その名前を忘れないこと。
それこそが、彼らと同じ、ちっぽけな「ひとり」である私たちが担う、歴史というものなんじゃないでしょうか。
そういうことを感じて帰ってきました。
そういうことは、映画という場に立ち会ってみて漸く身に沁みることのようでした。
観に行って良かった。映画はいろんなことを私に教えてくれます。
そんでやっぱり、映画という場でみるべきなのはこの御方でした。
ご登場場面とか、台詞とか、表情とか、もうなにもかもわかっているんですけど、冒頭のスナイパー兄貴からあまりにも素直にどきどきしてしまうの。ファンってしやわせだなァ……。
あと、巷で話題騒然のホット&フレッシュな字幕の件ですが。
キャラクターの性別、身分、職業、劇中での立場なんかほとんど考慮せず、単に「中国語→日本語」の機械的な翻訳で済ましてる感でした。だから同じキャラクターなのに一人称や語尾が場面ごとにちがってしまってトンデモなことになってしまう。それを統一する校正者も監修者もいないっぽいし、ていうか「統一」という発想がそもそも無いっぽい。ま、目くじら立てるほどのことでも無くって、大陸的クオリティがある意味新鮮でおもしろかったですよ。閻孝国兄貴があの凶悪なツラで「僕は」とか言い放ってくれやがったときにはあんまりかわいらしくって椅子から落ちました。
mixiの胡軍さんコミュがご縁で、本日は同コミュ副管理人のMIPPOさんと開映前のお茶からご一緒させていただきました。
胡軍さんファンのかたとこういうふうにじかにお逢いしてお話するのってはじめてです。
昨年の来日イベントも、この8月のレックリイッキミナイトもわたくしロンリー参戦でしたから。
んで今日もひとりさびしく恵比寿行ってくるべさ、とかちょっとしょぼんとしておりましたが、おかげさまで愉しい時間を過ごすことができました。どうもありがとうございました。
※『十月圍城/ボディガード&アサシンズ』は、2011年ゴールデンウィークに新宿・シネマスクエアとうきゅうで公開が決定しています。