好像白雾。──『藍宇』其の吾拾
2018.02.10 Saturday
昨年のきょう、『藍宇』殺青から16年が経ちましたという記事に、
「どうもこの2月10日あたりというものは、自分にとってドメスティックな方面でいろいろ変化のあるシーズンみたい」
なんて書きました。一年が経ち『藍宇』殺青17年を迎えたきょうあたりも、やはりドメスティックな方面での変化をシンミリ感じながら過ごしています。
3週間ばかり前に体調を崩してそのままB型インフルエンザに罹患、禁足期間も終わってすっかり復調してみたら、これまで常飲しすぎなくらい常飲していたお酒をあんまり飲まなくなっていました。飲めなくなっちゃったんでは無く毎日飲んではいる。ですが350ml缶のビール、グラス1杯のワインを1時間かけてちびちび、みたいな事態です。1週間かけてワイン1本飲みきらないんですよ昨年夏に酔っぱらってすっころんで右の頬骨を骨折してそんな痛い目に遭ってもなお「金輪際酒はやめよう」とは微塵も思わなかったこの私がですよ信じられないですよ。お酒飲まないから食事の全体量も減ったし。B型インフルエンザは胃腸にくるのでその影響も残っているのかも知れません。でも、もうちょっと経てばもとにもどるのかな。そろそろやばいなんとかせねばと思ってたおなかまわりが3週間ですっかりぺったんこになってくれたのは嬉しいのでそれはもとにもどんなくていいです。
これはしかし、
「ルーティーンを手放せ」
というのがいまのシーズンの乙女座の命題だからじゃあ無いか、という気もします。
石井ゆかりちゃん曰く「アタマがカラダ」、逆流すると「気持ちの問題がすぐカラダの異常になる」乙女座だから、私が寝ているあいだにアタマとカラダが勝手に話し合ってそういうことにしましょうと結論したのじゃあ無いか、という気がします。
1月22日、関東地方ではけっこうな雪が降り、その二日後、寒い部屋でお熱をだしてうんうんいいながら、自分の吐きだす息の白さに『藍宇』を思いました。是我有病。
ふたりの出逢い、そして再会も酷暑の時季でありましたのに、映画を観終わってみればかれらの吐息の白さばかりが目交にちらつく。
抱きしめる。くちづけする。互いの熱に分け入っていく。
吸って吐いて。
吸って吐いて。
吸って吐いて。
くちびるからこぼれおちる「生きている」のくりかえし。
その証。
2001年2月10日午後3時半、すべての撮影が終わって、おめでとうと言ったのかおつかれさまと言ったのか。上気したひとびとの吐く息も、真白くはずんでいたことでしょう。
冬ながらそらより花のちりくるは
雲のあなたは春にやあるらむ。
まだ冬なのに空からお花が降ってくる。
雲のむこうはもう春なのかしら。
降る雪をはなびらに類えて未だ来たらぬ春を想う。
平安時代の歌だけど、虹をつかまえようとカメラ持って走りだす藍宇がいかにも言いそうなことよなあ、と思います。古今和歌集所収のこの歌の詠み手は清原深養父(きよはらのふかやぶ)。「深養父」て名前からはじいさんしか想像できませんが(実際清少納言のひいじいさんですが)、みっしり雲の垂れ込めた真冬の空をみあげて「春にやあるらむ。」と呟く歌人のその息の白さも思い合わせてみたり。
夜になって、さきほどから、雨が降り始めました。
きょうはあたたかいので雪にはならないでしょう。
吐息も白くみえない部屋で、『藍宇』に逢いにゆきます。
●2011年2月10日 地久天長。──『藍色宇宙/MAKING BLUE』
●2012年2月10日 後朝。──『藍宇』其の弐拾弐
●2013年2月10日 人人平安。──『藍宇』其の燦拾貳
●2014年2月10日 搬家。──『藍宇』其の燦拾勒
●2015年2月10日 切切偲偲。──『藍宇』其の是拾
●2016年2月10日 降冬的故事。──『藍宇』其の是拾翅
●2017年2月10日 化不可極。深不可測也。──『藍宇』其の是拾悉
「どうもこの2月10日あたりというものは、自分にとってドメスティックな方面でいろいろ変化のあるシーズンみたい」
なんて書きました。一年が経ち『藍宇』殺青17年を迎えたきょうあたりも、やはりドメスティックな方面での変化をシンミリ感じながら過ごしています。
3週間ばかり前に体調を崩してそのままB型インフルエンザに罹患、禁足期間も終わってすっかり復調してみたら、これまで常飲しすぎなくらい常飲していたお酒をあんまり飲まなくなっていました。飲めなくなっちゃったんでは無く毎日飲んではいる。ですが350ml缶のビール、グラス1杯のワインを1時間かけてちびちび、みたいな事態です。1週間かけてワイン1本飲みきらないんですよ昨年夏に酔っぱらってすっころんで右の頬骨を骨折してそんな痛い目に遭ってもなお「金輪際酒はやめよう」とは微塵も思わなかったこの私がですよ信じられないですよ。お酒飲まないから食事の全体量も減ったし。B型インフルエンザは胃腸にくるのでその影響も残っているのかも知れません。でも、もうちょっと経てばもとにもどるのかな。そろそろやばいなんとかせねばと思ってたおなかまわりが3週間ですっかりぺったんこになってくれたのは嬉しいのでそれはもとにもどんなくていいです。
これはしかし、
「ルーティーンを手放せ」
というのがいまのシーズンの乙女座の命題だからじゃあ無いか、という気もします。
石井ゆかりちゃん曰く「アタマがカラダ」、逆流すると「気持ちの問題がすぐカラダの異常になる」乙女座だから、私が寝ているあいだにアタマとカラダが勝手に話し合ってそういうことにしましょうと結論したのじゃあ無いか、という気がします。
1月22日、関東地方ではけっこうな雪が降り、その二日後、寒い部屋でお熱をだしてうんうんいいながら、自分の吐きだす息の白さに『藍宇』を思いました。是我有病。
ふたりの出逢い、そして再会も酷暑の時季でありましたのに、映画を観終わってみればかれらの吐息の白さばかりが目交にちらつく。
抱きしめる。くちづけする。互いの熱に分け入っていく。
吸って吐いて。
吸って吐いて。
吸って吐いて。
くちびるからこぼれおちる「生きている」のくりかえし。
その証。
2001年2月10日午後3時半、すべての撮影が終わって、おめでとうと言ったのかおつかれさまと言ったのか。上気したひとびとの吐く息も、真白くはずんでいたことでしょう。
冬ながらそらより花のちりくるは
雲のあなたは春にやあるらむ。
まだ冬なのに空からお花が降ってくる。
雲のむこうはもう春なのかしら。
降る雪をはなびらに類えて未だ来たらぬ春を想う。
平安時代の歌だけど、虹をつかまえようとカメラ持って走りだす藍宇がいかにも言いそうなことよなあ、と思います。古今和歌集所収のこの歌の詠み手は清原深養父(きよはらのふかやぶ)。「深養父」て名前からはじいさんしか想像できませんが(実際清少納言のひいじいさんですが)、みっしり雲の垂れ込めた真冬の空をみあげて「春にやあるらむ。」と呟く歌人のその息の白さも思い合わせてみたり。
夜になって、さきほどから、雨が降り始めました。
きょうはあたたかいので雪にはならないでしょう。
吐息も白くみえない部屋で、『藍宇』に逢いにゆきます。
●2011年2月10日 地久天長。──『藍色宇宙/MAKING BLUE』
●2012年2月10日 後朝。──『藍宇』其の弐拾弐
●2013年2月10日 人人平安。──『藍宇』其の燦拾貳
●2014年2月10日 搬家。──『藍宇』其の燦拾勒
●2015年2月10日 切切偲偲。──『藍宇』其の是拾
●2016年2月10日 降冬的故事。──『藍宇』其の是拾翅
●2017年2月10日 化不可極。深不可測也。──『藍宇』其の是拾悉