蛇果─hebiichigo─

是我有病。

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喜従天降。
『ポリス・ストーリー レジェンド』、初日に観てきました。

お天気が災いしてか、初日なのにお客さんとても少なかったです。15時25分の回に比べたら18時15分の回のほうがまだしも入っていたけれど、それでも五分ぐらいの入りだったかなあ。このぶんだとロングランは期待できないかもだから、三度目も早めに行っとかなくちゃ。しかしやっぱり、スクリーンで観るのはいいもんでした。本作は香港版DVDでもう何度も観ていますが、印象ががらりと変わります。スクリーンのマジックってすごいね。いまいちのみこみづらかったところも日本語字幕のおかげで腑に落ちましたし。2回続けて観たら飽きるかな、と思ったけどぜんぜん飽きなかった。いわずもがなですがもっぱらこのひとを舐めるように愛でて飽きなかった(笑)。


武江.jpg

本作で劉燁さんが演じた武江(ウー・ジアン)の身辺にはやたらと蜘蛛のシンボルがちらついています。彼自身が身につけているチョーカーのチャームも銀の蜘蛛。というのが最後の最後でわかるんですが。自殺した父の借金の形に吉原に売り飛ばされもとい、父の残した借金を返済するために武江は泰拳(ムエタイ)の戦士になったという設定なのです。親父ゆずりの喧嘩好きにくわえて天性の才能が開花した武江は連戦連勝、いつしか「蜘蛛」と呼ばれる名うてのファイターになってゆくのです。

中国では蜘蛛は吉祥のシンボルであり、いっぽうで邪悪をもあらわすといいます。そういえば『SHERLOCK』(らぶ)シーズン1の第2話「死を呼ぶ暗号」に出てくる中国人の殺し屋のコードネームも「蜘蛛」でした。
本作では武江というキャラクターの二面性を蜘蛛に象徴させているような気もしました。パンフレットで、丁晟(ディン・シェン)監督は劉燁についてこんなことを言っています。

これまでの作品でも、悪役を人間的に描いてきたディン監督だが、本作のウー・ジアン役にはあえて、『アンダードッグ』でヒーローを演じたリウ・イエをキャスティングした。「普通の人間として、ウーを描くためには、外見からして典型的な悪人には見えず、ジャッキーとは対照的な魅力を持った俳優であることが最低条件だった」と語るディン監督。演技派として知られるリウ・イエは、ウーの背負った過去などの解釈も早く、抜群の演技力で、監督の要望に大きく応えることになった。


初日を観たある方が、ツイッターで本作の劉燁さんについて、
「善人にも悪人にも、策略家にも純粋にも見える」
なんて、おっしゃってくれていました。
なんかもう我が意を得たりというかんじで、とても嬉しうございました。
『硬漢/アンダードッグ』『硬漢2』につづいて丁晟監督との三度目のタッグとなる本作で、劉燁さんは、良い意味で監督の「手駒」として分を弁え、要求されたことにはきっちり応える、腹の据わった仕事をしていました。表情、視線、エロキューション、そこにこめられている感情と情報が(毎度のことですが)非常に濃厚で、しかし一見するとなんでもない芝居をなんということも無くさらりとやっている、みたいに映る。『藍宇』や『王的盛宴』などに比べると、撮影期間の短い本作では役作りにもさほど時間はかけられなかったでしょうし、シナリオ的にも武江という人物は、そんなに深く掘り下げて描き込まれているわけじゃ無い。「普通の人間」とはいえけっして平凡じゃ無い。わかりやすくエキセントリックなヒールでも無い。寧ろ地味だし堅実。だから難しい。拙い役者が拙い芝居でこれを演ったら映画そのものが台無しになりかねません。さっきエロキューションと書いたけど、この密室劇のサスペンスを宰領している要素のひとつは間違い無く劉燁さんの台詞回しの妙です。緩急とか抑揚とか自在。こんなふうに台詞を言えるひとだったのかといまさらながらメカラウロコですまんかった劉燁さん。本作は吹替版も同時上映されていますが、私はそっちはたぶん観ないでしょう。声優さんがどんなにお上手だったとしても、役者本人の声によるあの絶妙に豊かなニュアンスまではぜったいに再現できないです。吹き替えならば字幕が伝えきれないところまで伝わるし理解できる、というのは確かにそうですがでもそんな「理解」よりも惚れた役者の生声のマジックに魂つかまれる2時間の愉悦のほうがどんなにか、ああどんなにか。

| 11:09 | 警察故事2013。/ポリス・ストーリー レジェンド | comments(6) | - |
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ほええ。かいじゅうさんて韓飛行さんというお名前なんですね@前記事のコメ返し
次回はぜひ「ハマちゃん」の応援もいたしましょう(笑)!

しっかし、韓飛行さんといい『硬漢』シリーズの煙草のおっさん(笑)といい、ディンシェン監督の使われる役者さんズの味のあること(笑)。


ほんと、リウイエさんの台詞回しが絶妙でかっこよかったあああああ!!
…たとえ“ふごふご”声でも!(笑)
つかあの声あってのリウイエさんなんです。声優さんには申し訳ないんだけれど(苦笑)あのお顔から出る声はあれぢゃなきゃ私の脳は受け付けないのです(笑)。

…並べてくださった悪わんこのお写真ズにでれでれです(笑)。
ぬかりなく「逆光ふさふさ白まつげ」も入ってるし!!(笑)
かっこいいんだなあ、リウイエさんて…って今回しみぢみ思いました(おいおいおいっ!!・笑)。

そして。
ああぜひ『硬漢2』の日本版DVDが出ますようにっ!!!
posted by カエル | 2014/06/08 9:29 PM |
そうですよね〜俳優さんの声って好きの中で結構大きいです

私もひこの声はひこの体と同じ位好きです(笑)
だからたまに大陸の作品で吹替になってるともうガッカリで落ち込み泣いてます

そういえば私は今まで気付かなかったイエ君のふごふご(笑)
一緒に観た友人達が普通語が判る人達で よく聞き取れないと教えてもらいビックリしました

でもカエルさんじゃ無いけど あの声とあの喋り方がイエ君の魅力のひとつですよね
ひこも英語訛りの中国語で ずーと聞きとれないと言われてますけど
私の中ではそれでなきゃいけないのです(笑)

posted by usako | 2014/06/08 11:38 PM |
>カエルさん

かいじゅうさんはWBO(世界ボクシング機構)の審判員の資格をおもちなんですよ。そんなひとと散打チャンピオンのひとの両方と闘って、本作では両方とも手下にしてるリウイエさんがすげえ!(違

ジャッキー=石丸さんだから吹き替えでしか観ない、というジャッキー迷さんのツイート読んで、「そ、そういうものなの!?」とびっくりしまして。
自分が役者にほれる場合、声と台詞回しというのは非常に大きい要素なのです。最初に吹き替えで観たとしても、やはり役者さんの生声が堪能できる字幕で観たい!と思ってしまうんですが(たとえば『SHERLOCK』なども)、そういうのが普通だと思っていたんですが、世間様はそうでも無いんだなあ、と。

>あのお顔から出る声はあれぢゃなきゃ私の脳は受け付けないのです

自分もそうです。
最初に『藍宇』を観たときに、いもくさい容姿もさることながら(すまん)聴き取りづらいふごふご声に、「こんなのが……ヒロインなの……?」と、めのまえがまっくらになり(笑)。胡軍さんが朗々たるバリトンヴォイスだからよけいにそう感じたのかもしれません。でも5年経ったいまじゃもう、あの声じゃないと体が受け付けぬ!

あ、自分も昨夜は仕事終わってから『硬漢2』を観ました。
改めて観ると刑事とその妹というのが、本作における刑事とその娘、或いは武江とその妹という関係性のもとになってるような気もし。
銀行強盗の場面で小慧が人質に取られてガラスの破片を首に突きつけられるというのも、ほぼおんなじでしたね(笑)。
しかしリウイエさん。武江とはもうまるで違うひとだった。やっぱりすげえ。そしてやっぱり老三だいすき!!
posted by レッド | 2014/06/09 9:50 AM |
>usakoさん

声はほんとうに大きいですよね!
声にチャームがある役者の芝居って、容姿が多少難有りだとしてもそんなもの払拭してしまいますものね。
『王的盛宴』の項羽の声が吹き替えられていると伺ったときは私もびっくりしましたが、usakoさんさぞ無念だったことでしょう……。
リウイエさんも『始皇帝暗殺 荊軻』という古装電視劇で無情にもまるっと吹き替えられてしまっており……。だいすきなドラマなんですが、そこだけがかえすがえすも残念ですなりません。

リウイエさんの場合は、あの低くてこもった声がビジュアル(かわいらしいおめめとふさふさまつげなど)とは真逆なかんじで、最初はかなり戸惑ったものでしたが、今となってはあれ抜きでのリウイエさんはありえません!
でも本作での台詞回しは、素のインタヴューなどでの話し方ともぜんぜん違っていて、ふごふご三割増しで(笑)ますます聴き取りにくかったです。
内地の方言に詳しくないのでよくわからないのですが、もしかして上海訛りだったりするのかな、と。
posted by レッド | 2014/06/09 9:52 AM |
かっこいいお写真ズですね。
この役は、下手な人がやると、どうにも収拾がつかないだろうな〜って私も思いました。
脚本が弱いのかな〜。

いつにも増してのふごふご声も、役作りだって思ってましたよ。
あの役に、明瞭な言葉は不似合ですもん。

最後の妹の死に方がちょっと気に入りません。
あれじゃ、イエくんがかわいそう。
posted by yonko | 2014/06/09 12:21 PM |
>yonkoさん

お褒めいただきありがとうございます!

この監督は、過去と現在がある出来事を通じて交錯したり、登場人物の想像した未来が映像として瞬間的に現れたりといった、わりとトリッキーなことをやるひとなんです。本作でも観客を混乱させるようなことをやっているんだけど、これまで過去作品を観てきた身には、そこまでびっくりしないんですよ(笑)。
リウイエの演じた武江は、演じ方次第でどうにでもなりそうなキャラクターで、薄い芝居する役者が演ればストレートに薄い役になっちゃいそうな気がします。
過去2作付き合いのあるリウイエに、監督はある意味丸投げしたようなもんだと思って観てました。それだけ信頼が厚いってことでもあるんでしょうが。

カエルさんへのお返事にも書きましたが、これの前にリウイエが主演した『硬漢2』という映画で、のちに彼の恋人になる女の子が銀行強盗犯の人質にとられて首に硝子の破片を突きつけられる、というシーンがあります。
そっちではリウイエ演ずる老三が彼女を救うんだけど、本作では最愛の妹を救うことができなかった──というあたりに『硬漢2』の老三へのオマージュをこっそりこめてるんじゃないかな、なーんて贔屓の引き倒しで思ってしまいました(笑)。
posted by レッド | 2014/06/10 10:34 AM |
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