蛇果─hebiichigo─

是我有病。

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生活と云う名の。──『藍宇』其の燦拾桎
もう他人同士じゃないぜ
あなたと暮らしていきたい
〈生活〉といううすのろを乗り越えて


デビューアルバム『BACK TO THE STREET』に収められた“情けない週末”という楽曲で佐野元春はそう歌った。1980年だった。パーキング・メーター。ウイスキー。地下鉄の壁。死んでる噴水。サイレン。ビルディング。「〈生活〉といううすのろ」とは一線を画したそうしたものたちを夢みていられた。長閑な時代だった。遠からず「〈生活〉といううすのろ」に追いつかれ咀嚼され呑み込まれることを予感しながら、だけどひょっとしたら逃げおおせることができるかも、地図ももたずに私たちは長閑に夢みていられた。


〈生活〉といううすのろさえいなければハッピーでビューティフル。ハッピーでビューティフルなまま死んじゃったひともいた。いっそ自分も死んじゃったほうがよかったかも。2014年のいまはなにかとうすのろな生活というものがけっこうすき。眠ったり起きたりごはんをたべたり風呂に入ったり、植木に水をやったり買い物に行ったり掃除をしたり、お茶を淹れようとしてうっかり茶碗を割ったり、トイレが詰まって往生したり。映画であれドラマであれ小説であれ漫画であれ、だれかが生活をする、うすのろなその様をみるのがすき。
うすのろな私の生活とすでに不可分になっちゃった『藍宇』でも、たとえばこの場面なんかすごくすき。


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「〈生活〉といううすのろ」を怖れず、共にそれを乗り越えていく。
捍東と藍宇がそう思い決めた刹那、呆気無く終わってしまう彼らの〈生活〉。

捍東と藍宇が其処にいたのに。
捍東と藍宇は其処にいない。

あとにのこるのは、うすのろなふたりの美しい10年。
その10年に囚われたまんまの、うすのろな私のうすのろな5年。



美しい名前。──『藍宇 Lan Yu』
シガ フタリヲ ワカツマデ。──『藍宇』其の拾参(2011年5月13日)
三年不蜚不鳴。──『藍宇』其の弐拾詩(2012年5月13日)
情熱の嵐。──『藍宇』其の燦拾讃(2013年5月13日)

| 23:03 | 藍迷。 | comments(6) | - |
Comment








日付変わりましたが、
「藍宇」との出会いから5年、おめでとうございます。
これからも二人と共にありますように。

改めて見ると捍東が若い!
posted by blueash | 2014/05/14 12:17 AM |
>blueashさん

ありがとうございます。
blueashさんが原文の『北京故事』を読み終えた日の翌日に私が『藍宇』に出逢った、という巡り合わせがなんとも不思議です。
5月って、やっぱりなにがしか「魔」が棲む月なんでしょうか(笑)。

昨夜はしんみり『藍宇』を観ました。
5年前は胡軍さんが趙雲を演じたときよりもおっさんくさく見えたもんですが、5年経ってみればやはりまだとても若く、藍宇以上にヴァルネラブルな風情が目についたりもします。

若くないゲイふたりが差別や偏見を越えて「家族」になるために足掻く姿を描いた『チョコレートドーナツ』という映画を先日観て、捍東と藍宇がさらに10年を共にしていたら、あんなふうになっていたかも知れないと思いました。
でもそうはならなかった(というか關錦鵬がそうさせなかった)『藍宇』の、「〈生活〉といううすのろ」に対する寸止め感が、その甘さが、やっぱり私はどこまでも好きです。
posted by レッド | 2014/05/14 10:23 AM |
こういう出会いは誰にでも起きるわけではなく
たまたま出会った不思議を運命と思うしかありませんね

私も「美少年の恋」でひこに出会ってから 全てがそれまでとは違ってしまいました

どうしてそうなったのか 神様のお導きとしか思えない奇跡です
でもとにかくそうなってしまったのですから 心は自由にひこに向かって生きてきました

そういうさだめなのでしょうね お互い(笑)
posted by usako | 2014/05/14 6:29 PM |
「昨日で5年」と書きたかったのに残念(笑)。
『藍宇』と出逢って5年、おめでとうございます。
いま仕事がぱつぱつ(涙)なので出遅れました。すみません〜。だもんで「カエル訳」ちょっとおまちくださりませ〜m(_ _;)m←@私信

やあ、この場面ほんと大好きです。
藍宇のお部屋が出てくるシーンは特に好き(笑)。
ひとを部屋に呼んで、食事して会話してあとかたづけもして(笑)
ビールの催促もするヤツがいて(笑)お茶飲んで…なんとも「生活」のなかのひとコマだなーという感じがしてだいすきなのです。

ああ。お写真2枚目の藍宇のお顔がええわ〜(笑)。
やっぱしあらためて観ると若いなあふたりとも。…あたりまえですが(笑)。
お写真3枚目、映画観るたび、あともーちっと右側も映してほしい(たぶんコンロがあるのかな)…つか台所の全景を映してほしいと思うのでした。むろんお風呂場もですが(笑)。←@間取り図の不明部分

…にしても。
このお写真1枚目、ふたりの、顔をあげて目が合うタイミングがばっちりすぎて(笑)たまりません。あんつぁまの上目遣いがこれまたたまらんですっ(笑)。

…このほんのちょっと前の、ふたりのあいだに胡軍リアル嫁がいる、ある意味スリリング(笑)なシーンも、何度観てもたまりませんが(笑)。
posted by カエル | 2014/05/15 12:24 AM |
>usakoさん

2009年のいまごろ、無闇と体温が高くって、泣き過ぎて毎日目が腫れぼったかったことをよく覚えています。
2009年の手帳を繰ってみると5月14日にインタヴューの起こし仕事が2本も入っていました。『藍宇』観た翌日にどういう精神状態でこれらの仕事をこなしていたものだろうかと可笑しくなります(笑)。

私は熱しやすく冷めやすく飽きっぽい人間でありますが、とことん惚れて見込んだものには腰を据えて執念深い体質です(笑)。
「もう5年」でもあり、「まだ5年」でもあり、しかしすくなくともこの継続は、私に力をくれています。衷心感謝、『藍宇』。
posted by レッド | 2014/05/15 11:01 AM |
>カエルさん

お仕事お疲れ様です!
「GW」という単語が辞書から抹消されてはや15年のわしですが、今週はやっとちょっと楽になってまいりました。
カエル訳、楽しみにしておりますがもちろんぜんぜん急がなくて良いです。どうぞお仕事に専心してくださいませ。

このキッチンかわいいですよねー。中国のアパートメントのキッチンがみんなこんななのかよくわかりませんが、実験室みたいな武骨なシンクと配管を見せた水道と、薄青と白に塗り分けられた壁もいなたくておしゃれ。
スペース狭いし収納無いし使い勝手もあんまり良くなさそうですが、でっかい男の子がちまちま葉っぱをむしったり刻んだりしてるところがなんともよい景色(笑)。
シンクのすぐ上の窓がバスルームですよね。バスタブとトイレと洗濯機置き場がひとつづきにまとまってるスタイルかな。
このアパートメントって、いまもまだ残っているんでしょうか。
もしかしたら誰かが住んでるのかもしれないけど、一度で良いから足を踏み入れてみたいですね。

捍東ム所帰りおめでとうパーティーにかけてのシーンは、捍東をみつめる藍宇が充足しきって幸せそうで、それを見ている自分も「よかったね、藍宇」とハッピーなきもちになります。
ほんとうは背後から抱いちゃいたいとこだけど、居間に劉征と妹(=リアル嫁)と大寧がいるからここはじっとがまんの子になっている捍東の、しかしおもわず滲み出てしまうニヤケっぷりもたまりませぬ。

これからもなにごとも無く続いていきそうな、凡庸でうすのろな生活描写の其処此処にうっすらと灯る、「終わり」の予兆のようなもの。
それが感じられるからこそ、こんなにも美しい場面になったのかも知れませんね。
posted by レッド | 2014/05/15 11:39 AM |
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