蛇果─hebiichigo─

是我有病。

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三年不蜚不鳴。──『藍宇』其の弐拾詩
21:25
三年前の今夜は泣いていました。二年前の今夜は病院のベッドの上でした。一年前の今夜は、愛の水圧について考えていたように思います。同月同日の今夜。『藍宇』を観て、ぶつぶついうことにしました。
21:38
国中有大鳥、止王之庭。三年不蜚、又不鳴、王知此鳥何也。王曰、此鳥不飛則已、一飛沖天、不鳴則已、一鳴驚人。自分のこの三年も不蜚不鳴といえばいえるような。とはいえ一鳴驚人でも無い。これより無駄に囀る。では。
21:40
藍宇。
21:48
陳捍東が玉突きしてた同じころ。黒ラベルはおっさんがのむ酒だと思っていた。しかしV.I.ウォーショースキーが愛飲してたので憧れでもあったんだわ。実際のまないうちにウィスキーそのものがのめなくなった。『藍宇』観るたびに黒ラベル買っときゃ良かったとすこし悔いる。今日も買ってない。
21:57
藍宇降臨。捍東がテレビのヴォリュームを落とす理由がわからない。テレビの前を横切る捍東を鬱陶しそうによける藍宇。泥棒扱いされて傷ついた風で目を伏せる藍宇。藍宇の体臭(汗臭かったんだとおもう)をわずかに嗅ぐ捍東。寝るまえの段取りっぽいいたたまれないこの空気。なんか他人事じゃない。
22:03
捍東の胸で藍宇の精液が光る。そして藍宇の胸にも名残の飛沫。キスまでのあいだ、どこかでずっと、水の滴る音がきこえている。その水音にくちびるとくちびるがまじわる音が重なってそして浄闇。闇に消える刹那の胡軍さんの背筋がいつも素敵。
22:13
陽暦か陰暦かわからんが冬至。ふたりが死んで生まれ変わる夜。レックリ後、初見のときはここでおもわず「パ……パンチなのか趙雲……」と天を仰ぎました。藍宇野暮ったくてどんくさくていじらしくてああなんか劉燁いまよりおっさんじゃねえ? でも脱ぐとあんなにかわいいなんてかわいいなんて。
22:24
新年快楽。藍宇の下着が新品じゃないっぽいのがかなしい。清潔な純白だけど布地の薄さの向こうにこの子の生活が透けてみえるように思えて。それはともかくぱんつ脱がすとこがデンジャーゾーン寸止めではらはらしたり残念だったりして自分がわからん。胡軍さんの手際が見事。つか演技指導?
22:29
しまった枝豆茹でわすれた。どうしていつもいつもいつも枝豆を茹でわすれて『藍宇』を観てしまうのでしょう私。枝豆→焼き栗→南瓜の種(たぶん)と藍宇がずーっともぐもぐしてて冬眠前の栗鼠みたいでかわいいなあ、とかほんのりしてるといきなり「シャンプーなに使ってる?」。油断も隙も無え。
22:35
妹=胡のつくひとのリアル嫁。と思って観るとなんともいえぬ気持ちになります。なんかここだとびみょうに藍宇につんつんしてみえる小紅ですが気のせいでしょうか。そして衛東役の役者さんはいまなにをなさっているのだろうと気にかかります。実家場面観るときだけだが。あとはきれいにわすれている。
22:44
逢えたよ嬉しいよおおおんと大型犬にむしゃぶりつく大型犬(まだこいぬ)。倒れずに持ちこたえる胡軍さんは全身これ胆なりだな。藍宇のてぶくろが黒ってのがかわいいな。足先と鼻面としっぽが黒いこいぬだな。歯でくわえてひっぱって脱ぐしぐさもかわいいな。結局なんでもかわいいな。
22:55
天安門事件直前の不穏さに捍東の湿った焦燥が重なって息苦しい六月の午後。バーの場面の馴れ合いっぽさとか、このオフィスの場面の空気とか、捍東と劉征てかつて身体の関係があった仲なんだろうと思えてならない。劉征が未だわからない。劉征を読み解いてくのってすごくおもしろそう。
23:06
胡軍さんの背中がほんとうに佳い。天安門前の捍東には台詞がまったく無い。表情も封じて撮った、その背中だけがひたすら恋を語って饒舌。役者としての技量が優れているからできることなんだがそればっかじゃない。恋情がしんじつだから。彼の背中からあふれだす恋を読む。観客としてのこの至福。
23:23
陈先生也喜欢喝红酒吗? 赤ワインばかりのむようになった恋人とさよならする朝、せいいっぱい強気を装って「ウイスキーでものむ?」って訊く。かなしい台詞だね。とか、赤ワインのみながら書いている。
23:32
別れ話のくだりあたりから捍東の脅えとか弱さとか情けなさとか、これまで必死で隠してたものがぼろぼろ見えてきて、その鍍金の剥げ具合の見せ方がやっぱり胡軍さんはうまい。卑怯は百も承知で、卑怯だからこそひきずられほだされる。
23:36
やっぱり藍宇のお部屋すごくかわいい。すごくすき。どこよりもいちばん行きたい。けどぜったいに行けない。
23:43
寝しなの藍宇も起き抜けの藍宇も、着てるもんがいちいちいもくさくってくたびれてるんだけど、そんなものを纏う藍宇が頭抜けてきれいで、そのきれいさその価値は捍東だけが知っていればそれでいい。誰ともわかちあわない。つまりそれが生活。私は『藍宇』のなかの「生活」に病んでいるのかも。
23:47
捍東がオフィスで逮捕される直前の藍宇というか劉燁の横顔。何度みても超絶にうつくしい。視線の先にあのうつくしさをひとりじめできたら、といつも捍東の気持ちになってみとれる。
23:49
リアル嫁もとい小紅と藍宇がグラス合わせるとこが佳いな。
23:52
この先だんだん観たくなくなっていくんですけど。いつものことですけど。
23:58
たかだか86分の映画。映しとられた物語は永遠に変わらない。それでも、何度観ても、何度でも、嬉しくなったり、楽しくなったり、しあわせになったり、悲しくなったり、つらくて前へ進めなくなったりする。あじわう感情はそのときどきでちがう。三年前の今夜の『藍宇』と、三年後の今夜の『藍宇』。
23:59
さよなら『藍宇』。とりあえず今日の日は。
| 23:59 | 藍迷。 | comments(5) | - |
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【追記】

鑑賞に使用したのは『藍宇』日本版(『情熱の嵐〜LAN YU〜』)。三年前の5月13日つまり初心にかえるつう意味こめて敢えてボカシあり。

ツイッターは常用していませんしこの先常用するつもりもありませんが、
「時間と字数を制限し、映像から受けとった感情を反射神経で言葉に変換してみる」
という遊びとしては、つかってない筋肉が伸びるかんじで刺激がありました。しかしツイッターというメディアでやりたい遊びをするには、まだ自分は未熟だと感じます。なので同様のトライアルはまたしてみたいと思っています。
posted by レッド | 2012/05/14 11:01 AM |
「彼の背中からあふれ出す恋」

そうです。本当におっしゃるとおり。台詞のない静かなシーンでありながら、あの熱情と興奮。まさに胡軍の背中がリアル過ぎるのであります。

遅くなりましたが、藍宇3種年まことにおめでとうございます。私も愛し続けたいと思います。
珍しいトライアルありがとうございました。
posted by 晶 | 2012/05/14 10:14 PM |
あれっ??一瞬違うとこ開いちゃったのかとあせりました(笑)。
タイトルの『藍宇』其の弐拾詩…弐拾「詩」なのがにくいです(笑)。すてき。
あれ?「愛の水圧」のお話って1年前でしたか。もっと最近だったような気がしてました。びっくり。

22:03のつぶやき。
闇のなかの音がえらくなまめかしいといつも思います。そして胡軍さんの、背筋のみならず大臀筋もステキだと思います(爆)。

“レッドさんならでは”なつぶやきトライアル!ありがとうございます。うっとりしました〜。
制限のなかでの表現がもうさすが!!としかいえませぬ…(涙)。

ああほんと、あの部屋…いちばん行きたいけどぜったい行けないんですよね。
あの部屋が映ると、どこか見落としはないかここはどうなっていたかとか…その集中力、仕事に使えよ自分とツッコミいれたくなるほどなんですが(笑)。

きちんと手をかけてある、慎ましいあの部屋がとても藍宇らしく思えてだいすきです。
だからあの部屋にいるふたりがもっと観たかったなあああ(涙)。
posted by カエル | 2012/05/15 12:34 AM |
>晶さま

御言葉、どうもありがとうございます。
「石の上にも三年」と申しますが、石は最初からあったまってて、三年経っても体感温度が変わらないというかむしろ芯にこもる熱に変化してるなあ、という気がします。できることなら「面壁九年」を目指したいです(笑)。
道行、ご一緒できると嬉しいです。

で、この作品、胡軍劉燁のダブル主演とはいえ、
そして金馬奨は劉燁が受賞したとはいえ、
やはり「陳捍東の物語」なんだなあということが、あらためてこういう形で鑑賞してみるとよくわかりました。

藍宇=劉燁のみずみずしさに目を奪われがちですが、捍東=胡軍さんの無言の背中、それが語る重さが無かったら、ここまでのかがやきは放てなかったのではないかと思います。
監督の要求に耐え、役者として男性として試行錯誤をくりかえしつつ、これだけの仕事を残した胡軍さんはやっぱり自分が惚れただけのことはある役者なんだぜ、とかもうかなり自惚れております(笑)。
posted by レッド | 2012/05/15 9:54 AM |
>カエルさま

司馬さんの「愛の水圧」のことを書いたのって自分ではもっと昔のように思ってましたよ。たかだか1年前かと逆にびっくり(笑)。
そして、同性愛と同性愛者というものをああいうふうに描写した司馬さんだからこそ、『項羽と劉邦』の劉邦さんもあんななんだよなあ、とか(方向違いに)しみじみ(笑)。

>背筋のみならず大臀筋もステキだと思います

ス テ キ……
やっぱり「うしろすがた」なのかなあ、チャームは。
(その前の、おしっこしながらさりげなく尻を掻くとこも個人的にはス テ キ……)
しかし、一口に筋肉とは申せ、そして同じ男性であっても、質感がずいぶん違うもんですよね、胡軍さんと劉燁さん。10歳差というのもあるんでしょうけど。「性的」ということでいうならだんぜん胡軍さんだな! ちょっとゆるっとしてて、たっぷりしてて、あったかそう(笑)。

そして藍宇のあのお部屋。
丁寧に、質素に、でもかわいく暮らしてる感があちこちに感じられて、それだけで涙が出ちゃいますね。
藍宇とあそこで暮らし始めた捍東が、若くてお金があったころよりもだんぜん男前になってるとこを見ても、いかに居心地が良かったかということがわかります。あのお部屋についてはいずれじっくりネットリ、ラブまみれの記事書きたいと虎視眈々。

で、以前見せていただいた、カエルさん作のあのお部屋の間取り図。
素晴らしかったです!
いつかぜひ、公開してくださーい!
posted by レッド | 2012/05/15 10:18 AM |
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